鬼門の作業を前に、情報を調べまくる
前回の続きです。
以前、国産4気筒に乗っていたときには、何度か自分でハンドル交換をやったことがありました。けれど、ハーレーはもちろん初めて。
ハーレーにはいろいろ国産車にはない ”お作法” がありますし、事実、これまで何度か自分でロードスターをいじっては痛い目にあっています。特にハンドルスイッチ周りは僕にとっては鬼門。なので本当はプロに任せたいところです。
そこで、自分で作業するにあたっては、インターネットで検索しまくって、いろいろと情報をかき集めました。
その結果、問題になりそうな点は・・・
といったところ。
さらに調べまくった結果、②と③については有力な対策情報が得られたので、ようやく重い腰を上げ、トライしてみることにしました。
いよいよハンドル交換作業スタート
猛暑日となった連休最終日。真昼を避け、日がちょっと傾く時間帯を待って作業開始です。
XL1200CXのノーマルハンドルです。低くあまり手前に引かれていないので、やや遠く感じます。幅は広く、押さえは効きますが、すり抜けはしづらいです。(なお、ハンドルポストについているのは、スマホナビ用のRAMシステムと自作のベースプレートです。)
先ずはレバーホルダーとスイッチボックスを外していきます。レバーホルダーはこの2か所のトルクスネジで止まっています。
スイッチボックスは上下2か所のトルクスねじで固定されています。上側はここ。
下側はここです。(下から撮影)
同様にクラッチ側もこの2か所
スイッチもブレーキ側と同様
下はここです。(下から撮影)
使う工具は T25のトルクスレンチ(断面が星形のレンチです。)
まず最初にクラッチ側のスイッチボックスのトルクスねじを外します。(上下とも)
続いて、レバーホルダーのねじも外します。これでクラッチ周りが外せます。
クラッチ側のスイッチBOXから伸びているケーブルは、途中でこういうパーツ’(なんていうんでしょう?)でハンドルに止まっています。外し方がわからず、カッターで切り取ってしまおうかと思ったのですが、ハンドルとの隙間にマイナスドライバーを差し込み、ぐりぐりとコジると(多少てこずりますが)するっと抜けました。
こんな形状になっていました。
クラッチ側が外れました。
さて、問題のブレーキ側です。壊してしまいやすい、といわれるブレーキスイッチはこんな感じでついています。(ハンドルから外した後で撮った写真です。)
赤い丸がブレーキスイッチのボタンの部分で、ブレーキレバーの根元で矢印方向に押されます。
問題はこのスイッチが、押されている状態がOFFで、離すとONになるスイッチだという事。つまりブレーキをかけていない状態のとき、ブレーキレバーでずっと押されっぱなしになっています。なので、その状態のままレバーホルダーとスイッチBOXを付けたり外したりすると、このスイッチを破損する可能性がある、ということのようです。
そこで、対策として、常にレバーが握られた状態(=ブレーキレバーとスイッチが接触していない状態)でレバーを固定してやります。
僕が用意したのは、100円均一のダイソーで見つけた地震対策で家具転倒防止用に床に挟むプラスチックプレートです。軟質のプラスチック製で断面がくさび状になっています。
まずはこれをレバーの幅似合わせてカッターで切ります。そしてやや長すぎるので先端を少しカットします。
こんな感じのクサビ状のパーツが出来ます。
これを、ブレーキレバーを握ったときに出来るレバーホルダーとの隙間に差し込みます。
これでブレーキレバーが握られた状態で固定されます。
ここからブレーキ側を外していきます。
先ずはレバーホルダー(黄色い斜線部分)を外し、次にスイッチボックスとスロットル(赤い斜線部分)を外すのですが、その時スロットルに繋がっているアクセルワイヤーを外す必要があります。
けれど、アクセルワイヤーを外すためには一旦アクセルワイヤーのアジャスターを目一杯緩めないと外せないので、今度は取り付ける際、アジャスターの再調整が必要になります。この作業が非常に面倒臭い(と色々なサイトに書いてあった)のだそうです。
そこで、アクセルワイヤーを外す代わりに、ハンドルバーをクランプから外して、ハンドルを左側に引っ張ることにしました。
スイッチボックスの固定ネジは取り外さず、緩めるだけにして、スロットルと一体のままハンドルを抜く作戦です。
ハンドルクランプの固定ボルト(赤い丸の部分)を緩め、ハンドルを外します。
ハンドルクランプボルトを外すのは、1/4インチのヘックス(六角)レンチを使います。
ハンドルクランプが外れました。ロードスターはハンドルクランプがメーターステーと一体になっているので、メーターごと外れます。
ここからスロットルを持ったままハンドルを抜くのですが、色々なところを押さえつつ、独りで作業するのはけっこう大変です。(*_*)
しょうがないので電話で息子を呼び出し、手伝ってもらいました。(炎天下の作業に文句タラタラでしたが。(笑))
ハンドル交換に限りませんが、バイクメンテをするときは、誰か手伝ってくれる仲間を呼んでおくことを強くお勧めします!
これでようやくハンドルが外れました!
新旧ハンドルの比較です。シルバーがXL1200CXのノーマルハンドル。ブラックがXL883Nのハンドルです。
883N用の方が全体の幅が狭く、真ん中の直線部分が短いので、グリップ位置がより手前に来ていることがわかります。
※本当はこの段階で、ハンドルの幅を測り、バーの中央に目印をつけておけば、後々の組み立ての際にセンター位置が出しやすいです。(僕は後から気づいたので苦労しました。涙)
横から見たところ。高さも883Nの方が高いですね。
息子はとっとと帰ってしまったので、また一人作業です。スイッチBOX&アクセルスロットルをハンドルバーに差し込み、ハンドルをクランプで取り付けます。
一人作業ですから、パーツを持たなくていいように、とりあえず大まかな位置決めで組みつけていきます。微妙な位置出しは後でゆっくりやります。
こちらはクラッチ側のスイッチ(赤い丸の部分)です。クラッチが握られている事を検知し、ギアが入っていてもセルモーターが回るようになります。ここが壊れると、ギアをニュートラルにしないとセルモーターが回らなくなります。(僕のロードスターは以前その状態になり、ディーラーへ持ち込んだところ、無償修理になりました。スイッチの先端がなぜか折れていたそうです。)
ただ、こちらのスイッチは、先述のブレーキスイッチとは異なり、クラッチを握っていない状態でOFFなので、レバーを握らないとレバーとスイッチが接触しません。よってブレーキ側のスイッチ程気を使う必要はないと思います。
しかし・・・・
クラッチレバーホルダーを先に取り付け、そのあと、スイッチBOXを取り付けようとしたところ、件のクラッチスイッチが邪魔で取り付ける事が出来ません。
先にスイッチBOXを取り付けてからクラッチレバーホルダーを取り付けるべきでした。
という事でやり直しです。(ToT)
ようやく無事クラッチ側のスイッチBOXも取り付けられたので、次に左ハンドルグリップを装着します。パーツクリーナーを吹いて、脱脂します。
左側のグリップは前のハンドルについていたものを再利用せず、新たに新品を購入しました。
グリップをきれいにはがすのが面倒だったのと、万一もとのノーマルハンドルに戻す際、より簡単に戻せるよう、もとのハンドルにグリップをつけたまま残したかったからです。
この純正グリップ。なんと左側だけでその価格¥2000!左側だけで販売してもらえたのは幸いですが、もし左右両方となると、単なるゴムグリップが¥4000という事になります。
さすがハーレーの純正パーツ。お高いです。
ハンドルバーを脱脂したら、接着剤を塗っていきます。使ったのは普通の「セメダインC」。
あるサイトを見ると、グリップの固定には、この「セメダイン製のスーパーXクリア」がオススメとありました。普通のゴムグリップであれば問題ないものの、ウレタン製のグリップなんかだと、普通の接着剤では接着できないそうです。
セメダインをハンドルバーに塗ります。グリップの幅一杯に・・・ではなく、端から1/2ぐらいの位置でも十分です。
ハンドルグリップルを回転させながら差し込んでいきます。
ネットで調べると、スムーズにハンドルグリップを差し込む方法として、グリップの内側にパーツクリーナー(出来れば遅乾性のもの)を吹き付けてから差し込む、という方法が紹介されていました。パーツクリーナーが潤滑剤の役割をしてスムーズにハンドルグリップが差し込め、いずれ乾くと、接着剤でがっちり固まる、という算段です。
プロのバイク屋さんも含めこの方法を紹介していたので、たぶん大丈夫なのだとは思うのですが、接着剤で張り付けるパーツにパーツクリーナーを塗布する、というのは、何となく不安に思ったので、僕は接着剤をつけただけでグリップを押し込みました。
それでも比較的スムーズにハンドルにはめ込むことが出来ました。
今回はスムーズに嵌められましたが、入りにくいときもあります(以前、国産車でグリップ交換したときは中々入っていかず苦労しました。)。そんな時はグリップエンドをプラスチックハンマーなど叩いていくと、すこしづつ嵌っていきます。
クラッチ側のグリップのつばの部分をスイッチBOXにはめ込みます。
写真では先にレバーホルダーとスイッチBOXを取り付けてからグリップを差し込んでいますが、これは間違い。グリップ→ スイッチBOX→レバーホルダーの順に取り付けていかないと位置が決まりません。行き当たりばったりの作業なので、着けたり外したり。中々作業が進みません。
***
一通り取り付けたら、各部の位置調整をしつつ、本締めしていきます。
↑ ハンドルのローレット部分が少し見えています。ハンドルのセンターがクランプの真ん中に来ていない証拠です。先に書いた通り、あらかじめハンドルの両端の距離を計測し、中心に何らかの記しを付けておくべきでした。
ハンドルクランプは「片側(前方)をぴったりあうように先ず締め、その後もう後ろ側を締める」という車種と、「前後を均等に締める」車種があります。
ふつうは、どちらなのかクランプの接合部を見ればわかるのですが、XL1200CXはクランプがメーターバイザーと一体になっていて、クランプの接合部が見えないので、どちらのタイプかわかりません。(前側を合わせるタイプだと思うのですが。)
しょうがないので前後を均等に締めてみたり、前側を先に締めてみたりして、しっくりくる方で取り付けようと、いろいろ試しましたが、「よしっ!着いた!」と思ってよく見るとメーターが車体に対し微妙に曲がっていたりしていて、またやり直したり、、、。
あちこち緩めては位置をさぐり、またネジを締める、を繰り返します。
ハンドルのグリップ位置はあまり低くするとタンクにウインカースイッチが当たります(写真はタンクが傷つかないようにカバーをかけています。)。
たとえ当たらなくても、ギリギリにセットすると、万一立ちごけしたときにハンドルがしなってタンクが凹むと思われるので、少なくとも2cm位は間を開けたいところです。
ETCアンテナは再び同じステーを使ってハンドルに留めたのですが、ハンドルの水平部分が短いので、きれいな形では取り付けられませんでした。
こんな風に斜めについています。
因みに右側に目一杯ハンドルを切ると、ETCアンテナのステーがタンクにヒットしそうです。
ひととおり装着できました。確認のためハンドルを左右に切ってみます。エンジンを掛けて、アイドリングの状態でハンドルを切っても、エンジンの回転数が急に上がったりはしません。けれどブレーキホースはパツンパツンで全く余裕がありません。
クラッチケーブルは、ハンドルが短くなって、クラッチワイヤーがいままでより小さなRを描くようになってしまいました。結果、クラッチはまあまあスムースに動きますが、ケーブルを触ってみると強くテンションがかかっていてカチカチです。あまりいい状態じゃない気がします。
ともあれ、ようやく完成です!!
早速エンジンをかけて、ハンドルを左右に切った時、急に吹け上がったりしないかチェックします。アクセルの遊びも特に違和感はありません。灯火類やウインカーも問題なし。
Before
After
Before
After
クラッチ側のタンクとの距離は1.5cm位か?
同じくブレーキ側
ETCアンテナステーはギリギリ
ハンドル交換したXL1200CXにまたがってみましたが、全く何も感じません。あまりにも自然で、全く違和感を感じません。
「あれ?前はどんなだったっけ?」
と真面目に思いました。
ほとんど車体構成が同じバイクについていた純正ハンドルだから当然といえば当然ですが、そもそもこれが標準でした、という風に見えてしまいます。
ただ、またがった状態でサイドスタンドで立てた状態から車体を起こそうとすると、非常に重く感じます。
今までに比べハンドルの幅が狭くなった分、てこの原理が働かなくなったからでしょうか?
では、乗ってみてどう感じるか?早速試してみよう?と思ったところで日没サスペンディット。試乗は週末に持ち越されてしまいました。
今度の週末が楽しみです!
(それまでに腰治るかなあ~。(*_*))
本件、その3に続く。