ハーレーでは初めてのユーザー車検。その顛末記の続きです。
いよいよ本番の検査ラインへ
シフトパターンの表示にダメ出しをされ、不合格。
テープの上にマジックで書いたのはダメだそうです。
でも気を取り直し、それ以外の検査をパスすべく、検査ラインへと進みます。
検査では、不合格ならそこで終わり、ではなく、他の項目がパスできれば、後で不合格だった項目だけを修理して再度受け直すことが出来ます。この場合、すべての検査を受け直す必要はなく、落ちた検査だけを再度受ければOKです。
「検査は受けたことありますか?」
「いえ、初めてです。」
・・・ウソです。すいません。でも毎回こう言っています。
なぜなら、初めてというと親切に教えてもらえるからです。(ごめんなさい)
” もう何回も受けてるんなら、いい加減、手順なんてわかっているんだろ?”
と言われれば、まあその通りなのですが、、、
過去に一度、
”何度か受けたことがあります”
と言って自信満々で検査に臨んだら、その年から検査の機械が新しくなっていて勝手が分からず、慌てて検査員の方に助けを求めた、、、という苦い経験があるからなのです。
昔は検査員の人がいっしょについてきて、ひとつひとつの検査項目に合格するたびに、ハンコを押してくれていたのですが、ある時から、検査機に自分で検査票を突っ込むと自動でハンコが押される方式に変わりました。そんなこと知らなかったので、検査機の前でひとり途方にくれました。(涙)
***
初めてと聞いた検査員さんは
「じゃあ、一緒について回りますから。すぐ戻ってきますので、前の方の検査があるまで、このまま並んで待っていてください。」
といって、僕の後ろに並ぶバイクの検査に行ってしまいました。
待てと言われたので、ずっとバイクにまたがったまま並んでいました。
けれど、前のバイクの人が検査を終えても、検査員さんは帰ってきません。
すると、どこかのバイクショップの店員さんと思しきお兄さんが、
「さあ、前に進みますか~。わからない事があったら聞いてください。」
と親切に声を掛けてきました。
なんて親切な、と思いつつも、
「ありがとうございます。でも、検査員に『戻ってくるまで待っとけ』と言われたんですが」
というと、お兄さん曰く、
「ああ、そうなんですか。」とニッコリ笑い、そしてちょっと離れたところにいた別の検査員に
「ねえ、誰かついてあげてよ~!」と叫びました。
すると慌ててその検査員さんが飛んできて、
「あ、初めてですか。じゃあついて回ります」
と言ってくれました。
”よろしくお願いします。”
と言って、ふと後ろ振り向くと、僕の後ろには長蛇のバイクの列が・・・
どうやら結構迷惑を掛けていたようです。(汗)
(親切なバイク屋のお兄さんも、進もうとしない僕に業を煮やし「これじゃ仕事になんない」と思ったんでしょうね。申し訳ないことをしました。)
ブレーキ~スピードメーター検査
検査ラインに入ると、ブレーキのチェックをします。
フロントタイヤをローラーの上に乗せ、ニュートラルにし、ブレーキレバーを離した状態で待ちます。
「ハイッ!ブレーキかけて」(前の掲示板に「ブレーキ」と表示されます)
と言われたらブレーキレバーを握ります。
特にタイヤが鳴ったりすることもなく、ブレーキが効いたんだかどうだかわからないような感じですが、目の前の掲示板には「○」の表示が。
つづいてリアブレーキ。同様にリアタイヤをローラーの上に乗せ、ニュートラルでしばらく待ちます。
「ハイッ!ブレーキ。」の声でブレーキレバーを踏みつけます。
「はい、オッケーです。」
次にスピードメーター検査です。
「これ、(スピード検知しているのは)フロントかな?リアかなあ?」
「リアです」
「このフロントについてるケーブルは?(メーターケーブルじゃないの?)」
「それ、ABSの回転検知用のケーブルだと思います。」
「あ、そうなんだ。じゃあリアで」
というやりとりがあって、リアタイヤを乗せたままスピードメーター検査になりました。
このスピードメーター検査。いつも結構緊張します。
車体の横50cmほどの所にある鉄の棒(鉄の板?)がスイッチになっていて、まずはこれを足で踏みます。
これです。
そしてメーターが時速40kmになったらこのスイッチを離すのですが、ローラーでタイヤを回転させているので、車体が不安定になっている中、足を床から離すのは、僕のようなチビ&短足オヤジには、結構緊張する動作なのです。
ユーザー車検はだれでも簡単に受けられる試験ですが、この検査だけは足つきの厳しい人にはちょっとハードルの高い検査だ思います。
ですが、今回はハーレー。ロードスターは(ハーレーとしては)車高が高いので、両足べったり、とはいきませんが、今までのバイクに比べれば余裕です。(笑)
・・・なのですが、ふとスピードメーターを見つめると、すごい勢いで数字が上がっていきます。
しかも、真横で検査官がじっとメーカーを覗き込んでいます。
予備検査場で「41kmでスイッチ離せ」って言われたけど、検査官が見てるし、40km/hで離さないと怒られるかなぁ(汗)、なんて考えているうちに、、、
え、もう 39?、40、41 ここだ!、あっ! 42!!
結果は・・・「○」。ホッ。
検査官も何も言いませんでした。
もちろん、メーターには許容誤差があるので、多少ずれても問題なくパスするのですが、デジタルメーターは1km/h単位で数字が上がるので、ちょっと焦りますね。
車検の保安基準で認められている実速度とメーター誤差は
メーター40km/hに対し実速度30.9~42.55km/h(平成19年1月1日以降製造)
メーター40km/hに対し実測度30.9~44.4km/h(平成18年12月31日以前製造)
実測度より高く表示される分には許容範囲が大きいことが分かります。
車検でいうと、スイッチを離すタイミングが遅い分には余裕がある、ということですね。
光軸検査~排ガス検査
続いて光軸検査です。
前輪を指定の場所に乗せて、バイクにまたいだままハイビームにします。
そしてハンドルを真っ直ぐにして待っていると、予備検査場と同じような受光器が正面に現れます。
ただし、予備検査場とは違って、自分のバイクの光軸がどっちにどの位ズレているか、という事は表示されないのでわかりません。
まあ、これは予備検査でちゃんと調整してもらっておけば問題はないでしょう。無事「○」の表示が出ました。
昔は一緒についている検査官が「ああ、もうちょっと上だねぇ」とか「右過ぎるヨ」なんて教えてくれたので、不合格なら自分で調整して再検査を受ける、なんてことも出来たのですが、ひとりでラインを回る方式だと「○」「×」という結果しかわかりませんから、やっぱり予備検査は必須ですね。
最後は排ガス検査です。
(排ガス規制対象外の古いバイクは関係なしですが。)
これは「プローブ」といわれる棒状のセンサーをマフラーに突っ込み(スポーツスターのマフラーは二本出しですが、前後どちらに突っ込んでもOK。)、アイドリングのまましばらく待っていると、「○」とか「×」とかの表示が出ます。
この検査は簡単。
けれど、この検査で落ちたら結構厄介です。
素人の手にはなかなか負えないからです。
(素人が出来ることはエアクリーナーをきれいにしたり、プラグを新しくしたりするくらいでしょうか。基本的にノーマルなら問題ないハズですが。)
と言うことで、無事一通りの検査を終えました。
不具合を直し、再度検査へ望む
無事検査は終えましたが、シフトパターン表示が「×」なので、これを直します。
駐車場の隅にバイクを停め、メンディングテープを剥がすと、持ってきていた油性マジックで「1-N-2-3-4-5」とシフトパターンを書き込みます。
クランクケースに直接シフトパターンをマーカーペンで記入
これでOK!です。
※ネットで調べてみると「クランクケースに油性ペンで直接書いたけど『ダメ』って言われた」という報告もありました。今回はOKでしたが、ダメと判断される場合もあるようです。
再び検査コースに戻ります。
検査官は僕を見るなり「ああ、再検査ね」といいました。どうやら覚えていてくれたらしいです。
(そりゃそうか。さっきダメ出しされてからまだ10分しか経ってないし。笑)
今度はOK。無事ハンコをもらえました。
その後は再び検査コースへ。もちろん他の検査はすべて合格しているので、全てスルーします(各検査機の「通過」のボタンを押します。)
書類が違う!?
全ての検査を終えたら、コースの最後にある小さな窓口へ行き、検査票を渡します。ここで最終確認されて、はじめて合格になるのです。
「あれ?構造変更じゃないの?ハンドル測ってないじやない。」
「あ、そうだったんですけど、ハンドルの寸法が許容範囲だと言われて、普通の継続検査になったんです。」
「えー、あっそうですか。でも、継続検査だと書類が違うんだよなあ。」
え、駄目なの?と驚いていると、
「300円安いんですよ。ここじゃ返せないからあっち行ってこっちへいって、、、」
「いや、あのお金返してもらえなくてもいいので。」
「あ、そうなの?じゃあ窓口へこれもって行って。」
と、書類にハンコを押して返してくれました。
300円のために面倒な手続きが増えるくらいなら、そのままでいいです。
書類を持って、指定された窓口へ向かいます。
書類を提出すると、窓口の係の方が、
「あれ?構造変更じゃないの?」
「いや、そうだったんですけど、実際に測ってもらったら、、(以下省略)」」
「あー、そうなんだ。でも書類が違うんだよなあ」
「あ、いや、検査料は、、、」
「この書類書いて」
「え?」
「この書類書いて」
「あ、、、、はい。」
結局また書類を書くことに。
こんなことなら初志貫徹で構造変更にしとけば良かった、と思っても後の祭りです。
ようやく書類を書き終え、再び窓口に提出すると、
「はい、これ。買ったところに持っていってね。」
といって、300円の印紙をくれました。(現金じゃないのかヨ~)
***
そのあと、別の窓口へ書類を提出し、ようやく新しい車検証とステッカーをもらえました。
あー、やっと終わった~。
この時点で10:00。
長かったように思いましたが、それでも約一時間て全工程が終わりました。
戦い済んで・・・
無事、新しい車検証をもらい、やれやれ、と思いながらバイクの所へ戻ってくると、隣でバイク屋さんらしきオジサンが、車検を終えたバイクを軽トラに乗せようとしていました。
そのXJR400は、『族車』とまでは言えないにしろ、ちょっとヤンチャ系のバイク。
絞り気味の鬼ハンドルに二段シート。キャブは「ヨシムラ」の文字がまぶしいTMR。テールカウルにはわざわざご丁寧に ”爆音!”というステッカーまで貼られています。
けれど、ステッカーとは裏腹に、排気音は思いの外静か。どう見てもノーマルマフラーではないので、おそらく詰め物しまくりの”車検仕様”なんでしょう。
僕は、
”やっぱりプロってすごいなあ~。あんなバイクでもなんとか車検通しちゃうんだ~。”
と感心(?)して見ていました。
すると、バイク屋仲間とおぼしきお兄さんが近づいてきて
「ヨォ、今日はもう終わり?」
と声を掛けていました。
すると軽トラにバイクを乗せ終えたオジサンが一言。
「いや~『ダメダメダメ~!!!』って言われちゃったよ。ココもあそこもダメだって。まいったなぁ。」
日本の車検制度はちゃんと健全に機能しているようです。(笑)
***
こうして、ハーレーでは初のユーザー車検は無事終わったのですが、残念ながら(?)「構造変更」にはなりませんでした。
別に「構造変更」にも出来たわけですが、一瞬悩んだものの、継続検査に切り替えた理由は、継続検査なら受検日にかかわらず、満了日から2年間の車検有効期限になるのに対し、「構造変更」はその日から2年間の有効期限となる、という違いがあったからです。
継続車検は満了日の1か月前から受けられますから、最大で1か月の差が生じます。
9月30日が有効期限満了日の場合、9月1日に車検を受けても、次の車検証の有効期限は満了日から2年後の9月30日になりますが、9月1日に「構造変更」を申請すると、次の車検証の有効期限は2年後の8月31日になります。
今回の場合、満了日は10月11日。受験したのは10月8日。
構造変更より3日間の得?・・・うう、たった三日間かあ~。
”まあいいや、印紙代の300円得したと思えば”
と思い直しつつ、ハーレーに乗って家路を急ぎました。
***
” ああああ~!! 印紙を換金するの忘れた!!!”
・・なにやってんだろう、オレ。(涙)