ヒントその67.オイル交換 半年3000km毎は正しい?

先ず最初にお断りしておきますが、僕はメーカー技術者でもバイク屋でもない、普通の一(いち)バイク乗りです。オイル交換は気が向けば自分でもやりますが、ショップに任せる方が多いです。

当然ここに書いてある事は、実験や検証に基づくものではありません。

僕がこれまでに見聞きした事や、自分の経験などから、「多分こんな考え方でいいんじゃないか」と思っている事を書いているにすぎません。

共感できる部分があればご参考に、なければ笑って許していただければ幸いでございます。

バイクのオイル交換のタイミングは半年、3000km毎・・・ってホント?

昔から(少なくとも僕がバイクに乗り始めた30年前から)言われているバイクのオイル交換のタイミングは「半年、または走行距離3000kmの早い方」というもの。

半年というのは「(たとえバイクを走らせなくても)オイルは空気に触れているだけで劣化するので、半年毎に換えるべし」というのが理由。

また距離が3000kmと短いのは「バイクのオイルはミッションの潤滑も兼ねている上、(車に比べると)ずっと高回転まで回すので、早く劣化するから」、と言われています。

僕はこれまでこの説を頑なに信じ、この「半年 or 3000km」サイクルでオイル交換をし続けてきました。

結果、オイルが原因でバイクが不調になった事はありませんし、ヘッドを開けてエンジンをチェックしてもらった時も ”十分キレイな状態” と言われました。

これは走行3万km超の時の写真。

ただ、聞くところによると、メーカー推奨のオイル交換時期は、この「半年・3000km」よりずっとロングライフらしいのです。

本当なのか? という事でちょっと調べてみました。

メーカーの推奨は?

ホンダの公式HPを見ると、以下のように書かれています。

http://www.honda.co.jp/maintenance-motor/exchange/exchange.html

空冷車(ただしドライサンプ車およびオイルクーラー付車を除く)

→初回1000kmまたは1か月。以後は3,000kmまたは1年毎

250ccまでの水冷車/ドライサンプ車およびオイルクーラー付空冷車

→初回1000kmまたは1か月。以後は6,000kmまたは1年毎

251cc以上の水冷車

→初回1000kmまたは1か月。以後は10,000kmまたは1年毎

スズキは・・・

http://www1.suzuki.co.jp/motor/inspect/parts.html

強制空冷車油冷車及び水冷車

→初回1か月または1,000km 以降1年毎または6,000km毎

空冷車

→初回1か月または1,000km 以降1年毎または3,000km毎

ヤマハはより細かく分かれています。

https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/yamaha-motor-life/2015/11/post-1.html

251cc以上の水冷車

→初回1,000kmまたは1か月目 以降10,000km毎または1年毎

126cm3から250cm3の水冷車ドライサンプの空冷車オイルクーラー装備の空冷車51cm3以上のスクーター水冷車(YP250、CP250、YP400Gを除く)

→初回1,000kmまたは1か月目 以降6,000km毎または1年毎

③YP250、CP250、YP400G(いずれもスクーターですね。)

→初回1,000kmまたは1か月目 以降5,000km毎または1年毎

125cm3以下の水冷車50cm3のスクーター水冷車50cm3以上のオイルクーラー未装備の空冷車

→初回1,000kmまたは1か月目 以降3,000km毎または1年毎

⑤T50N

→初回1,000kmまたは1か月目 以降2,000km毎または1年毎

⑥T90N(ヤマハ ニュースメイト)

→初回1,000kmまたは1か月目 以降1,000km毎または1年毎

こうしてみると、空冷車や小排気量のバイクは交換サイクルが短めですが、水冷の大型車については6000km~10,000km毎。期間についてはどのバイクも1年毎、というのがメーカーの推奨交換時期のようです。

いずれにせよ、「半年 or 3000km」よりはずっと長いですね。

メーカーの指定交換時期は「イージーコンディション」なのか?

よくこういう話になると、

「あれはあくまで走行距離が短くて、あまり飛ばさないとか、渋滞に遭わないとかいう、比較的シビアでない使い方をした場合の事であって、実際の使い方だともっと早く交換しないとダメ」

とか

「メーカーが言っているのはあくまで『壊れない』というだけで、良い状態を維持する、という事とは全然違う」

などという意見が出てきます。

本当にそうなのでしょうか? 僕はそこのところがどうも腑に落ちません

たとえば燃費なんかについては「10.15モード」とか「JC08モード」などで測った数字は実際の燃費とはかけ離れた数字が出てきます。

けれど、品質保証にかかわる部分である消耗品の交換サイクルに、メーカーが「イージーコンディション」を想定した交換サイクルを指定してるとは思えないのです。

(まあ、「メーカーなんか信用できるか!不正が連日報道されているじゃないか!」と言われれば返す言葉もないのですが・・・)

確かに、たとえばホンダのHPを見ると「シビアコンディション時の点検整備」という項目があり、

「一般的な使われ方より厳しい状態(シビアコンディション状態)で車が使われた場合、部品の劣化が通常よりも著しく進行することがあります。次に示すような厳しい使われ方の場合、通常より早目に点検整備を行ってください。」

と記載されています。(引用元 http://www.honda.co.jp/maintenance-motor/environment/environment.html

でもこれは点検頻度の話。もちろん消耗品交換も早いサイクルで行うべきなのは確かでしょう。けれど、メーカーはそうした悪条件での使用も考慮し、様々な実証実験を行った上で、

「このサイクルで交換してくれれば(安全マージンを見込んだ上で)大丈夫」

というサイクルを指定しているのではないでしょうか。

いずれにせよ、「半年、3000km」という数字は、少なくとも最近の水冷大排気量車については絶対的な指標ではない気がします。

オイルはなぜ劣化する?

そもそもオイルはなぜ劣化するのでしょうか。

要因はいくつかあります。

①熱

②酸化

③圧力による「せん断」

④水分やガソリンによる希釈

⑤ブローバイガスによる汚れ

etc.

こうした劣化要因が多ければ多いほど、交換サイクルは早目に、という事になります。自分なりに交換サイクルを考える上で、自分の使用状況においてこうした要因が多いか少ないかを考える事はひとつの判断材料になるでしょう。

① 熱による劣化

昔からよく聞いたのは「油温が120℃を超えると一気に劣化が進み、粘度が戻らなくなる」という話。僕の知っているバイク乗りでこれを頑なに守っている人がいて「オレは油温計の数字が一度でも120℃を超えると、どんなに走行距離が短くてもオイル交換する」と言っていました。

けれど、油温計を付けてみると分かりますが、ちょっと渋滞にハマると120℃なんて簡単に超えてしまいます。本当にそんな温度ですぐダメになってしまうのでしょうか?

これについては雑誌などの記事で複数のオイルメーカー開発者が「その程度でダメにはならない」と回答しているのを見た事があります。

じゃあ何度まで?というと、条件にもより一概には答えられないようですが、少なくとも100%化学合成のオイルについてはもっと限界は高いようです。

ただし、ベースオイルは大丈夫でも、使われている添加剤はダメになる、という話があります。特にマルチグレードオイルにおいて、高温時の粘度を保つために使われる「ポリマー」は、限度を超えると分断され、徐々に粘度が保てなくなるらしいです。

よって僕なりの結論としては

・熱負荷の大きなバイク(=空冷、大排気量など)、渋滞を良く走るバイクなどは、出来るだけ100%化学合成、かつノンポリマーのオイルを選ぶ。

・上記オイル使用を前提とするなら、油温120℃くらいでは問題ない。(すぐにオイル交換しなくてよい、という意味で、ずっと120℃で走っていても平気、という事ではないです。)

と考えています。

②酸化

「エンジンオイルは(たとえエンジンをかけなくても)空気に触れているだけで酸化が進む。よって半年に1度は交換しないといけない」というもの。

これについては先述のとおり、各バイクメーカーが交換サイクルを1年毎としている事を考えると、そこまで(半年で)劣化するものではないように思います。この辺はオイルも日進月歩で進化している、という事なのかもしれません。

③圧力による「せん断」

エンジンオイルはエンジンの中で様々な形で機械的に圧力がかかったり、叩かれたりする事で分子構造が壊れ、劣化していくのですが、ここでも「ポリマー」の話が出てくることが多く、曰く「圧力せん断で、まずポリマーが壊れ、粘度が保てなくなる」という記事をしばしば見ます。ここでも「ノンポリマー」のオイルが有利なようです。

④水分やガソリンによる希釈

ユーザーの使い方によってエンジンオイルの寿命に与える影響としては、これが一番大きいんじゃないか?と思っています。

まず水分ですが、これは寒い時期に走った後エンジンを切ると、冷えて内部で結露が起き、その水分がオイルに交じる事で乳化が起こります。これがエンジンに多大な悪影響を与えます。

この水分はエンジンを掛け、オイルの温度が上がると徐々に蒸発するのですが、だいたい30分位はエンジンを回さないと、完全には抜けきらないそうです。

したがって、冬に短い距離の走行を繰り返すと、水分によるオイルの劣化が激しくなります。

「通勤(通学)で毎朝駅まで10分間だけ乗る」みたいな方は、冬が終わったら(走行距離が短くても)オイル交換した方がよさそうです。

一方、ガソリンによる希釈は、エンジンが冷えている状態で、まだエンジン各部の隙間がまだ適正になっていない(金属が膨張していない)時に、ピストンとシリンダーの隙間からガソリンが漏れ、クランク内のエンジンオイルに交じってしまう事が主な原因です。

(エンジンが温まっていないと、ガソリンが気化しないで液体のままシリンダーに入りやすい、という事もあります。)

よってこれも「ちょいのり」が多い人ほど劣化が進むことになります。

また、構造上エンジン各部の隙間(クリアランス)の設定が広めになっている空冷エンジンの方が、隙間を狭く設計できる水冷エンジンより劣化が早いと言えます。

各バイクメーカーのオイル交換推奨サイクルが、水冷より空冷エンジンで短くなっているのは、熱による劣化以外に、こうした事情があるんだろうと思います。

⑤ブローバイガスによる劣化

これは上記④の「ガソリンによる希釈」とほぼ同じ現象です。未燃焼の混合気が温まり切っていないシリンダーとピストンの間から抜けると、クランク内のオイルと混じり、オイルが劣化していく、という事です。

こうした劣化要因をみると、エンジンオイルを早めに交換した方がいいケースは、

・頻繁に渋滞を走る。あるいは全開走行を続ける。
・短距離、短時間の走行を繰り返す。(特に冬場)
・空冷エンジン
・小排気量車(回転が高い。オイル量も少ない。)

などに当てはまる場合、といえると思います。

逆に言うと

“ 最近の水冷大排気量車で、乗るのはもっぱらツーリング。長距離を高速道路でたんたんと走ります。 ”

・・・みたいな乗り方だと、エンジンオイルは殆ど劣化しないのかもしれません。

高いオイルは何が違う?

エンジンオイルはベースオイルと添加材で出来ています。

ベースオイルは文字通り、ベースとなるオイルで、その種類によって大きく性能が変わります。

原油から精製した「鉱物油」、化学的に精製した「化学合成油」、その両方を混ぜた「半化学合成油」に別れ、一般的には化学合成油が最も高性能とされます。

さらに化学合成油はPAOとかエステルとかいくつかの種類に別れます。(さらには「エステル」と一口に言っても全て同じではなく、あくまでも総称に過ぎないらしいです。)

一般的に高性能なベースオイルほど、精製に手間がかかっていて、コストも高くなります。

また、添加物は以下のようなものが入っています。

・粘度指数向上剤

・酸化防止剤

・摩擦調整剤

・加水分解防止剤

・消泡剤

・極圧剤

・流動点降下剤

・清浄分散剤

当然これら添加材も種類と量によってはコストに跳ね返ってきます。

けれどやはり傾向としては、高価なオイルほど添加材に頼らず、ベースオイルにグレードの高いものを採用しているようです。

従って、やはり高価なオイルほど、高温や過酷な使い方にも強く、それだけエンジンを守る能力が高い、という事が言えると思います。

高いオイルを長く使う?安いオイルを頻繁に交換?

これも昔からよく議論のテーマになっている事ですよね。

僕の個人的な意見としては、

「交換頻度がどうであれ、純正以下のオイルを入れるという事はあり得ない」

と考えています。

なぜか? 性能が担保されないからです。

世の中に数多あるオイルの中には、本当に高性能で、かつ純正より安いオイルが存在するかもしれません。でも安いオイルは必要な性能を満たさないかもしれません。

「いや、おれは格安オイルを使い続けているけれど、エンジントラブルなんて起きた事がない」

という方もいらっしゃるでしょう。そうかもしれません。

ただ、僕はオイルの評価ってそんなに簡単に出来るものなの?といつも思うのです。

オイルに求められる最大の性能は「長期にわたってエンジンを保護する性能」だと思います。

ただし、これは評価がむずかしい。

「〇〇を入れたらエンジンが軽く回るようになった」「雑音が減った」などは判りやすいですが、ひょっとすると長期のエンジン保護性能を犠牲にしているかもしれません。(極端な話、粘度を落とせばエンジンは軽く回りますから。)

あらゆる条件をそろえ、「長期にわたってエンジンを保護する性能」を評価するなんて、おそらく出来るのはバイクメーカーやオイルメーカーだけだと思います。バイク屋さんでも定量的に評価するのは難しいでしょう。

となると、やっぱり「純正オイルが最低限のオイル」という選択になるんじゃないかと思うのです。

その上で、何Kmで変えるのか、どのタイミングで換えるのか、という話になるんだと思います。

それに、「オイルを換えると良くなる」というのは、換える前のオイルがダメになっていた、という事。

高性能オイルは性能が長持ちするので、(同じオイルに)交換しても、極端に良くなったりはしないものです。

よって、あえて二者択一をするのなら、僕は「高性能オイルを長く使う」派です。

正規輸入品と並行輸入品は違うのか?

交換頻度の話からはちょっと逸れますが・・・

時々見かけるバイク用オイルの「並行輸入品」と「正規輸入品」とは、一体何がちがうのでしょうか?

たとえばモチュールの300Vなどは、並行輸入されたものがかなり出回っています。

裏をみると

「この製品は日本向けに作られていないので、日本国内ではクレーム対象になりません」

といった事がわざわざ日本語で書かれています。

”日本向けの正規品は高温多湿の日本向けに調合されている”、といった話も聞きますが、実際のところどうなのでしょうか?

「日本向けとその他の国向けは調合などが別物。同じ銘柄でも並行輸入品は日本では十分な性能を発揮できない。」
「いやいや、正規品を高く売るためにそう言っているだけで、中身は大した違いはない」

前者は正規輸入品を扱っている店後者は並行輸入品を扱っている店で聞いた話です。まあ、当然と言えば当然ですよね。(笑)

正規輸入品と並行輸入品。おそらく多少の違いがあるのは本当なのでしょうが、それが大差なのか、そうでもないのか・・・?

・・・私にはわかりません。

どなたか事情通の方。教えてください。

で、結論は・・・?

で、結局のところオイルの交換時期はどうすればいいのか?

僕なりの結論はこうです。

オイルは最低でも純正オイル。空冷エンジンなど熱的に厳しいエンジンには出来るだけ化学合成100%、ノンポリマーのオイルを使いたい。
②交換時期は年2回、春と秋。ただし、走行距離が短ければ1年毎でもよい。たとえば「今年の冬は全く乗らなかったけれど、半年過ぎてるからオイル交換しないと」という考え方は必要ないと思う。
③半年で交換する前提なら、走行距離は水冷エンジンなら10,000km以内。空冷なら5000km~6000km以内。
④ちょいのり(一回の乗車時間が30分以内)が多いなら、早めにオイル交換する。

「②はなぜ?1年毎じゃないの?」という声があるかもしれません。

これは、時間的には1年毎で良いとしても、「熱的に厳しい夏」「結露による水分混入の可能性が高い冬」という厳しい季節を超えたタイミングでオイル交換をする、というのは理にかなっていると思うからです。

だから逆に「この冬は殆ど乗らなかったけれど、半年過ぎたから」という理由では、無理にオイル交換をしなくてよい、と思っています。

ハーレーはどうなの?

ところで、わが愛車、ハーレーダビッドソンのオイル交換タイミングはどうなのか?

マニュアルによると「8000km毎または1年毎の早い方」となっています。日本車のマニュアルと大差ありません。

けれど、ハーレーの場合、これは米国のマニュアルをそのまま日本語に訳したもの。

高温多湿、渋滞頻出の日本では、もう少し早めの交換をした方が良いと思います。

なにしろ(如何にドライサンプとはいえ)設計の古いOHVの空冷大排気量エンジン。しかも燃調が薄くて燃焼温度が高く、常にエンジンあちあち・・・なのですから。

という事で、「半年に一度、3000km~5000km」では交換したいなあ、と思っています。

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