待てど暮らせど・・・
北海道ツーリングの最終日にエンジンがかからなくなってしまった我がスポーツスター。(XL1200CXロードスター。)
”どうしたんだ? ヘイヘイ ベイべ~。 バッテリーはビンビンだぜ!?”
なんて歌う元気はもちろんなく、意気消沈して北海道から帰ってきました。
幸いにも保険屋さんのおかげでレッカーしてもらい、神奈川まで運んでもらえることになったのですが、果たして、修理代に一体いくらかかるんだろう?と考えると、気が重くなります。
バイクが戻ってこない間、乗れなくて悶々とした日々が続いていたかというと、案外そうでもありませんでした。
今年は梅雨明けが遅く、ずっと雨ばっかり降っていたとから、ということもありましたが、長年夢に見た北海道ツーリングを終えて、むしろ『燃え尽き症候群』というか、ちょっと満足してしまっていたところがありました。
とはいえ、それでも2週間、3週間と過ぎれば、さすがにちょっと心配になり始めます。
確かに保険屋さんは「安い便を探すために、運ぶのに最長1か月は掛かります」と言ってはいましたが、まさか本当に1か月たっても帰ってこないとは・・・
この長雨の中、我が愛車はどこか空の下で雨ざらしで放置されているのかと思うと、なんだか居ても立っても居られない気持ちになるのでした。
ディーラーから電話が
いつもお世話になっているディーラーから電話がかかってきたのは、北海道でバイクを引き渡してからちょうど1か月たった時でした。
「バイクが届きました。早速見てみようと思いますが、バッテリーが上がっていてエンジンが掛からないので、まずは充電してます。」
あーあ。せっかく2か月前にバッテリーを換えたばかり、しかも高価な純正バッテリーを買ったのに、もう上げちゃったのか。
バッテリーは一度上げてしまうと、たとえ充電しても寿命が縮みます。
こんなことなら安い社外バッテリーにしとくんだったなあ。
「もういちど、どんな症状だったか聞かせていただけますか?」とメカニックに聞かれ、その時の状態を説明しました。
・コイン洗車場で洗車したらエンジンが掛からなくなった。
・それまでは問題なく走っていた。
・ガソリンは十分残っていた。
・セルは元気よく回っていたが火が入らない。
・プラグを外して火花をチェックしたところ、火花はかすかに飛んでいたが、弱々しかった。
「う~ン。やっぱりどこか電気系統に水がはいっちゃったんでしょうね。バッテリーが充電出来たら、ひととおりチェックしてみます。」
とメカニック氏。
よろしくお願いします、と告げて電話を切りました。
チェックして壊れたパーツが分かったら、パーツを手配して交換。
故障パーツの特定はすぐだとしても、パーツが届くのにしばらく時間がかかるんだろうなあ。
ましてや今年はコロナやら半導体不足やらで、バイクやクルマのパーツもなかなか入荷しない、なんていう噂も聞いている。ひょっとしたらこの夏はバイクに乗れないかも・・・
その上、ハーレーのパーツは高価。BCMなんかが壊れてたら、パーツ代だけでも優に10万以上かかるもんなあ。(←経験済み)
まあ、まずは待つしかなく、悶々とした日々が続く・・・ハズでした。
原因不明!?
ところが、翌日。ふたたびディーラーから電話が入りました。
「バッテリーが充電できたので、つないでエンジン掛けたら、あっけなく掛かりました。」
えっ!? まさか・・。
いや、正直、ある程度予想していた事ではありました。
***
セルは回り、弱いながらもプラグから火はとんでいる。
となると、プラグコードかイグニッションコイルに水が入って電気がリークしてた可能性が高い気がします。
(分かったように書いてますが、そんなにわかってません。電気系に弱いので。w)
だとすれば、そんなに精密な部品というわけじゃないので、入った水が乾くと復活する可能性もあるんじゃないか? そんな予想もしていました。
ガソリンが噴射されていなかったという可能性もありますが、インジェクター関係の故障ならチェックランプが灯るんじゃないかと思われます。
***
「原因ってなんだったんでしょうか?」
「う~ん、わからないんですよね。現象が出ないから。いちおう怪しげなところは一通りチェックはしてみたんですけれど、特に悪くなっているパーツも見つかりませんでした。」
「ただ、とにかくあちこちエアブローしてみたんですけれど、やっぱり結構水が入り込んでましたね。」
原因が特定できなければ、同じような状況でまたエンジンがかからなくなる可能性も残ります。
もちろん、もう高圧洗浄機で洗車したりはしませんが、普通の洗車や、場合によってはツーリング中に出会った ” ゲリラ豪雨 ” でもエンジンが止まるかもしれません。
けど、これ以上ディーラーさんに調べてくれ、というわけにもいきません。
仕方が無いので、翌日引き取りに行くことにしました。
再会
ディーラーへ行くと、表に変わらぬ姿の我がバイクが置いてありました。
オー! やっと帰ってきた!!
約一か月ぶりの再会です。
変らない姿、と思いましたが、よく見ると全体に艶が無く、やや薄汚れ、タンクにはガムテープか何かを貼ってあったかのような汚れ?キズ?もありました。
でも、まあ 無事帰ってきてくれたのです。よかったよかった。
***
店に入り、メカニック氏と会話しました。
「うーん、いろいろチェックはしてみたんですけどね。特にどこかが悪いということはないみたいです。やっぱりどこかに水がはいって、それが抜けたので復活したんでしょうね。」
とのこと。
「まあ、多分大丈夫だと思うので、しばらく乗って様子を見てみてください。」
と言われました。
ところで、今回の修理?点検?費用はおいくらですか? と聞くと、
「いや、今回は結構です。修理もしてないし。」と言われました。
えっ!? ホント? いいんでしょうか。
前にバッテリー上がって充電してもらった時は2000円取られたけどなぁ・・・と思いましたが、口には出さず。
ていねいにお礼を言って店を出ました。
早速跨り、キーを差し込んで セルボタンを押すと、一発でエンジンが目を覚ましました。
おー!!!これこれ、このエンジンの音。あの日、北海道で聞きたかったなあ~。
運送費は なんと15万円!!
無事バイクが戻り、およそ二ヶ月近くが経ちました。
この間、毎週のようにバイクに乗り、毎週のように走りました。
2度ほど雨に降られ、2度ほど洗車をしました。けれど特に問題はなく、洗車直後でも何事もなくエンジンは掛かりました。
(もちろん高圧洗浄機ではなく、家の水道から引っ張ったホースで水を掛けましたけど。)
ホントに大丈夫か?ちょっと心配でしたが、とりあえず当面問題はないようです。
***
ある日、保険会社から一通の封書が届きました。
事故処理報告書でした。
見ると、レッカー移動代が書かれていたのですが、その額、なんと15万円!!!
ひぇ~!!
もちろん保険適用で運んでもらったので、ぼくは1円たりとも支払う必要は無いのですが、それにしてもビックリの金額です。
そういえば最近、北海道への異動が決まった会社のバイク仲間が、業者にスポーツスターを運んでもらったのですが、その費用、たしか7万円とか8万円とか言ってました。それに比べれば、今回の輸送費はあまりに高いですね。
(安い便見つける、と言ってたのに、結局みつからなかったのでしょうか。・・・まあいいんですけど)
この15万円という金額は、いわゆる「定価」的なもので、おそらく提携しているであろうレッカー会社に保険会社が支払う金額は、割引価格だったりするんじゃないか?なんて推察もするんですが、どうなんでしょう? とにかくビックリしました。
***
結局今回のこのトラブルで掛かった費用ですが、バイクの輸送費は保険会社が支払ってくれたので 0円。
修理もバッテリーを充電してもらったりしましたが、結局は 0円。
あとは自分が乗って帰った飛行機代。これがおよそ3万円。
ただ、帰りのフェリー代はキャンセルさせていただけたので0円。フェリーに乗っていれば新潟港についてから、自宅までの走行(約400km)にガソリン代と高速道路代がかかるわけで、それらを併せて考えれば、かかった飛行機代とほぼトントン、という感じです。
つまりは、費用的なコストはほとんど発生しませんでした。
最後までツーリングを完結できなかったのは残念でしたが、北海道でやりたかったことは、ほぼ全部できました。そう考えれば、今回はホント不幸中の幸いでした。まさに保険会社様々です。
後々思い出に残る旅、という意味ではまさにそうで、最後まで楽しめた(?)旅だったんじゃないかなと思います。(ちょっとちがうか。笑)
「もうこれで最初で最後の北海道!」
バイクが止まってしまった時は本気でそんな風に考えたのですが、
今はまた ”いつかはまた北海道” という気持ちになれたのでありました。