ハーレーでは初めてのオイル交換
我がハーレー ロードスター(XL1200CX)の修理が無事完了したものの、一番いい季節にほとんど乗れず(涙)。気が付いたら急に季節が進んだ感じで、一気に寒くなりました。
つい最近までクールビズでノーネクタイだった気がするのですが・・・。
という事で、暑い夏の間がんばってくれたエンジンオイルを交換することに。
とはいえ、給料日前、ボーナス前で金欠気味(まあ、年中ですが。笑)ですし、メーカー保証期間の3年も過ぎたので、今回は自分でオイル交換する事にしました。
昔は結構自分でオイル交換をやっていましたが、面倒なのと、意外と節約にはならない(工賃が安い&余ったオイルの分割高になる)ので、最近はもっぱらバイク屋さんで交換してもらっていました。
もちろん、ハーレーのオイル交換は初めて。XTENSIONさんで何度か作業は見せてもらっていたので、大体の手順は理解していましたが、念のため、本やネットで下調べをして作業に臨みました。
オイル選びで悩む・・・
自分でオイル交換をするために、まずはオイルを購入します。
さて、何を入れるか・・・。
国産に乗っているころは、いろんなブランドを試していました。
モチュール、ワコーズ、シルコリン、NUTEC、YACCO、etc.。
ところが、ハーレーの世界に入ると、国産車の世界ではあまり聞きなれないメーカーの名前が出てきます。
レブテック、DRAG、スペクトロ、BEL-RAY、ロイヤルパープル などなど。
なかでもレブテックは純正並みの性能でありながら値段が手ごろということで入れている人が多いようです。
また、ロイヤルパープルは、100%化学合成ながら比較的手ごろな値段で、ハーレー用の高性能オイルとして推しているサイトをよく見かけます。
一気に選択肢が増えたので悩みます。
スポーツスターに最適なオイルとは?
ハーレー、特にスポーツスターのエンジンオイルとして最適なものを考えてみます。
スポーツスターのエンジンは、今では”絶滅危惧種”といえる空冷Vツインエンジンです。
(1) 空冷、大排気量
⇒ 熱負荷が非常に大きい。
⇒ 各部のクリアランス(隙間)が大きい。
(2) 比較的低回転しか使わない
⇒ ”低フリクション”の追求はそこそこでOK。
(3) ロングストローク
⇒ (回転数の割には)ピストンスピードは速い
⇒ クランクが大きいのでピストンの首振りが大きく、アタリがキツイ。
といった感じでしょうか。
となると、オイルは最近のトレンドである「柔らかく」「油膜が薄い」「低フリクションオイル」よりも、「油膜が厚く」「熱にも強い」「固めのオイル」の方が良さそうです。
熱負荷を考えれば「化学合成100%」のオイルが断然有利ですが、値は張ります。
それに一言で「化学合成100%」と言っても、中身は様々らしく、なかには「なんちゃって化学合成100%」というオイルも有るようです。
オイルの良し悪しって・・
そもそもオイルの良し悪しの判断って難しいですよね。
メーカーのホームページを見ると、どのオイルももっともらしい説明が並んでいて、如何にも良さそうに書いてあります。
でもまあ宣伝ですから。本当に何が正しいのかを知るのは難しいです
エンジンノイズの低下やシフトフィーリングの良し悪しなんかはわかりますが、それがエンジンの保護性能とイコールか、となるとわかりません。
となると、頼りになるのは「信頼出来るプロ(バイク屋さん)の意見」や「メーカーそのものの信頼性」で選ぶしかないのかなぁ、と思います。
まあ、「メーカーの信頼性」なんていうのも(我々素人のレベルでは)所詮はイメージなんですけどね。(笑)
僕のオイルの選択基準
僕のオイルの選択基準は
「年2回(春と秋)交換を前提に、自分の払える範囲で出来るだけ良いオイルを入れる」
です。
年2回換えるのは、「熱負荷の厳しい夏」と、「結露による水分混入の機会が多い冬」を超えたらオイルを交換したいから。
一方で走行距離はあまり気にしていません。
もっとも、僕の年間走行距離は約7000km前後ですから、半年でオイル交換していれば、それほどの大した距離にはなりません。
↓この辺の話はココにも書きました。(よかったら読んでください。)↓
折角自分でオイル交換するのですから、バイク屋さんで交換するよりはリーズナブルに済ませたい。そうすると、一回のオイル代は7000円~8000円かなあ。
となると、1リットル ¥2500前後のオイルがターゲットということになります。
今回僕が選んだのは・・・
ということで、散々悩んだあげく、今回僕が選んだのは、ワコーズの「Tough Touring」です。
※今回は20w-40を選びましたが、夏は25w-50を推奨しているホームページが多いです。
・信頼の日本製
・「自社内に研究開発設備と研究者を有し、現場での情報収集から分析・製品開発、そして現場へのフィードバック。」(ワコーズHPより)
・「コンプレックスエステル」を配合したノンポリマーエンジンオイル。
「エステル」は化学合成油の一種。但し化学合成100%ではないようです。
ポリマーはオイルに粘度を持たせる添加剤(粘性維持剤)ですが、
熱や圧力で壊れやすいので、それに頼らないオイルの方が
せん断や熱に強いと言われています。
・油膜が厚く、油膜形成力が強く、熱にも強い。
・値段も手ごろで、どこでも手に入れやすい。
・・・などなど。
ハーレーには最適、というか、明らかにハーレー向けに開発されたオイルだと思います。
でも、ロイヤルパープルとどっちにするか、最後まで悩んだんだよなあ~。
オイル交換の実践
スポーツスターのオイル交換作業なんて、ネットにいくらでも情報がありますが、まあ自分自身の備忘録を兼ねて書いてみたいと思います。

今回購入したものです。タフツーリングは冬なので20W-40を選択。1リットル缶を3本用意。ダンボール箱は廃油を吸わせて処理出来るオイル処理パックです。

オイルフィルターはガッツクロームさんが販売しているもの。ハーレーのオイルフィルターは意外と色々な型番があり、しかも結構互換性があったり無かったりするので、選ぶのは案外大変です。最終的には直接お店に電話して教えて貰いました。

オイルフィルターレンチはデイトナ製。切り欠けのあるタイプです。9.5sqのレンチを刺して回すようになっていてます。ハーレーの一部の車種では、この切り欠けがないとフィルター手前にあるセンサーが邪魔してセット出来ないらしいのですが、スポーツスターは関係ありません。

スポーツスターのエンジンオイルは他のバイクのようなドレインボルト式ではなく、ドレンホースからオイルを抜きます。ドレンホースはココ。左サイドカバーの下辺りにあります。

こんな感じでフレームパイプにクリップ止めされています。

クリップを外して引き出したところ。初めてオイル交換する様子を見た時はびっくりした。こんなんでええの?という感じ。どこかのサイトに「犬のお○ん○んみたい」って書いてあったけど、言い得て妙。(笑)

これが刺さっているプラグ。単なるプラスチックの栓です。
オイル交換の記事を読むと、よく「交換前にエンジンを掛けてオイルを温めてから抜かないと充分抜けない」みたいなことが書かれています。
これについては少し疑問があって、確かにオイルが温まっている方が排出しやすいとは思うのですが、エンジンを掛けてしまうと折角オイルパンに落ちてきているオイルが、オイルポンプでエンジン各部へ流れてしまいます。
すると、結果的にオイルを抜く量が減ってしまうのではないか、と思うのです。
(実際、オイル交換での事前の暖気は不要、というバイク屋さんの意見も聞いたことがあります。)
ただ、スポーツスターはドライサンプです。エンジンオイルはオイルパンではなく、エンジンと別のオイルタンクに溜まっていて、オイル交換するときはそこからエンジンオイルを抜きます。

オイルタンクとドレンホース
エンジンを切っている時は、自然落下でオイルタンクからエンジン側へオイルが落ちているはずなので、エンジンを掛けてオイルポンプでオイルタンクへオイルを戻してやらないと、十分に抜けない・・・のかもしれません。
(どなたか詳しい方、教えてください。)
という事で、ここは素直に近所を走り、エンジンを温めてからオイルを抜きました。

勢いよくオイルが抜けます。確かにドレンボルトを外すより簡単ですし、手にオイルが掛かったりすることもありません。
ちなみに、このオイルドレンホースはゴムなのでいずれ劣化します。オイル漏れはエンジンにとって致命傷になりますから、定期的な交換が必要なんだそうです。

オイルを抜いている間、オイルキャップを開けておくと、より早くオイルが抜けます。

オイルが抜けたら、再びドレンプラグを差し込み、金属バンドをマイナスドライバーで締めこみます。(ピンボケごめん。)
今回は写真の通り、金属バンドを締めてからドレンホースを元に戻したのですが、金属バンドの向きによってはフレームにネジ部分が当たってキズが付く可能性があります。
なので、ドレンプラグを差し込んだら、金属バンドを締めこまず、先にフレームにクリップ止めをしてから、金属バンドの金具がフレームに当たらない位置になるようバンドを回し、その後締めこんだ方がいいかもしれません。(くれぐれも締め忘れに注意!)

続いてオイルフィルターを外します。いろんなサイトで紹介されているように、牛乳パックを適当に切り開いてオイル受けを作ります。フィルターレンチをはめ込み、レンチを差し込んで回します。回しますが、これが固い! ちゃんとT字ハンドルを使ったのでなんとか外せましたが、柄の短いラチェットレンチなんかだと難しかったかもしれません。(まわりにハンドルが当たるかもしれませんし。)
T型ハンドルは絶対一本は持っておくことをお勧めします。かさばりますが、ラチェットよりずっと便利です。

無事オイルフィルターが外れました。結構オイルが漏れてきます。床にこぼさないよう、オイルパック&古新聞でしっかり養生しましょう。(デジタル化が進むと、新聞紙が無い家もあるんだろうなあ)

新しいオイルフィルターです。

左が今まで使っていた純正のオイルフィルター。右が新しく用意したサードパーティー製です。よく見ると周りに空いている穴の大きさが違います。この穴は中心から入ったオイルが濾紙でこされた後出てくる穴だと思うので、あまり流量に影響しないのかもしれませんが、純正より穴が小さい、というのはちょっと気になります。(ほとんどのサードパーティー製はこのタイプのようですが。)

新しいオイルフィルターにあらかじめオイルを入れておきます。また、周りのシールゴムにオイルを塗っておくと、締めこむ際にゴムが変形してオイル漏れを起こしたりするリスクが減ります。

オイルフィルターは必ず手で締めます(ネジの噛み込み防止と締めすぎ防止)。締めこんで当たったところから半周締めます。目印にシールの切れ端を貼って・・・・

半周締めます。

100均で買った漏斗。差し込み部が短いので養生テープかなにかで車体に固定すると使いやすいかも。
1リットルのオイル缶を2本入れ、3本目は様子を見ながら半分ほど入れます。
サイドスタンドを立てた状態でディップスティックでオイルレベルを測るのですが、その前にエンジンを掛けて1,2分。オイルが回るのを待って計測します。(ディップスティックには「CHECK OIL HOT」とあります。)
一旦きれいなウエスでオイルを拭き取ってから、再度ディップスティックを差し込み、FILLとFU(FULL)の間(オイル量にすると1クォート=0.946リットル)までオイルが付けばOKなのですが、ここでも疑問が。
ディップスティックでオイルレベルを測るときは、
「フィラーキャップをねじ込まず、差し込んだだけの状態で測る」
というのが一般的です。
ところが、今のスポーツスターのフューエルキャップは、ねじ込み式ではなく、ディップスティックをオイルタンクの入り口に差し込んだ後、キャップを90度ひねり、その後キャップを上から押し込むようになっています。
この一連の動きのどの状態の時にオイルレベルを見ればいいのでしょうか?
いろいろ調べた結果、差し込んで90度捻った状態(まだキャップを押し込まない)でディップスティックをみるのが正しいようです。

この状態(差し込んで90度捻った状態)でオイルレベルを計測するのが正しいらしいです。(キャップを押し込んだ状態でも可)
正しい量のオイルを入れられたら完成です。
ドレインホースをつなぐクリップがやたらと堅い、とか、オイルフィルターがとんでもなく締まっていて外すのが大変、などを除けば、特別難しくはない作業です。
フィラーキャップの閉め忘れにはご注意を。

オイル交換時の総走行距離は20,296km。年間走行距離は6000km~9000kmという感じです。
ということで、初めてのハーレーのオイル交換が出来ました。
作業自体はまあ難しくは無いのですが、国産車とはいろいろ ”お作法” が違うので面喰いました。
ショートインプレッション
オイル交換を終え、早速街中をひとっ走り。
明らかにエンジン音が低く静かになっています。
オイルを変えても、すぐに新しいオイルと置き換わるわけじゃないので、1,2km走っただけで評価するのはどうか、とも思いますが、今までより振動の角が取れたようなフィーリングに変わっています。
油膜が厚い、という事は、エンジン音を抑える意味でも大切なんですね。
ということで、初めてのハーレーのエンジンオイル交換が無事終わりました。
こんどは機を見て、ミッション&プライマリーエンジンオイルの交換についても、調べてまた書き込みたいと思っています。
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スポーツスターのプライマリーオイル交換に初挑戦!・・したけど。