道志みちでウイニングラン?
先日、いつものように道志みちを走ってました。
しばらく走っていると、2台のバイクに追いつきました。
前は男。うしろは女性。
女性はたぶん初心者なんでしょう。かなりゆっくりしたペースで走っていて、男はそれにペースを合わせている様子でした。
やがて、対向車線から10台近いバイクの集団が、こっちに向かって走ってきました。
すると前を走る男はステップの上に立ち上がり、ハンドルから両手を離して大きく手を振り始めました。
MOTO GPでウイニングランするバレンティーノロッシみたいです。
それを見た対向車線のバイク乗りも、みんな楽しそうに手を振り返していました。
そう、最近では「ヤエー」と言われるバイク乗り同士の挨拶です。
・・・でも、なんなんだこれは。
前を走る男は両手を上げたまま、ステップの上に立って、曲がりくねった道を右に左にと走っていきます。
見事と言えば見事です。僕にはあんなマネはできません。
でもさぁ・・・万が一かもしれないけれど、もしコケたらどうすんねん。
真後ろを走ってる彼女も、きっと巻き込まれるでしょう。
なんか見ててだんだん腹が立ってきました。
”ろっしもどき” を見た対向車線のバイク乗りも大喜び。
大きく手を振り、なかには(立ち上がりこそしないものの)両手を上げて振るやつも何人かいました。
そして、そのままの勢いで、僕のほうにも手を振ってきます。
そうか、僕もこいつの仲間に見えるんだろうな。
なんかいたたまれなくなり、
普段、手を振られたら必ず振り返す僕も、この時ばかりはスルーして、
少し強引に前を二人を追い抜いてしまいました。
***
むかし、バイク乗り同士がすれ違う瞬間にサッと出すハンドサインは「ピースサイン」と言われていました。
すれ違う瞬間、左手で(右手はアクセル握ってるから)サッと「Vサイン」を出す。
そんなバイク乗り同士の挨拶が「ピースサイン」でした。
左手で右の肩あたりにピッと出すのがカッコイイ、なんて言われていました。
Vサインじゃなく、サムアップする人もいましたね。
社会のマイノリティー同士が、お互いの無事を祈り、短く交わす合図でした。
そう、小さく、さりげなく、そしてカッコよかったんです。
一方、ヤエー。
イエー!(yeah!)のつづりを間違えたやつが「ヤエー」(yaeh!) と書いたのがきっかけで始まった言葉だそうです。
いえー!という脳天気な言葉を、さらに間違えたやつが言い始めた言葉です。
とにかく明るく、大きく、騒がしく。なんでもあり、です。
ピースサインとは似て非なるもの・・・だと僕は思っています。
いいんです。みんな楽しんでいるのであれば、ピースだろうが、イエー!だろうが、ヤエー!だろうが。
でもやっぱり僕は、「ヤエー」より「ピースサイン」の方が、ずっとカッコイイ・・・そう思っています。
さっきも書いた通り、僕は対向車から手を振られたら、必ず振りかえします。返す余裕がない時は、頭を下げて会釈します。
けれど、内心では
「おれのは ヤエー!じゃなくて、ピースサインだかんね。」と思って返しています。
こういうのって「カッコ悪い~」っていわれるんだろうなあ。
でも、昭和のオヤジのささやかなこだわり、というか、抵抗(?)なのです。