雨で乗れない休日をバイクムービーを見て過ごす
折角の休みですが、雨です。土砂降り。バイクには乗れません。
(オレは雨でも乗るぜ!っていう猛者もいらっしゃるかもしれませんが。)
まあ、注文したバッテリーもまだ届いていませんし。今週は大人しくしていることにします。
で、前々から見ようと思っていた映画をレンタルしてきました。
2004年公開の映画「モーターサイクル・ダイヤリーズ」です。
南米縦断バイク旅を描いたロードムービー
革命家 チェ・ゲバラが書いた、若き日の南米旅行記『チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記』をもとに、ロバート・レッドフォードが映画化したロードムービーです。
アルゼンチンの医学生 エルネスト(チェ・ゲバラ)が、先輩の生物科学者 アルベルト・グラナードとともにバイクに乗って、南米大陸横断の旅に出かけた際の様子を描いています。
チェ・ゲバラは有名な政治家・革命家ですが、この物語は彼が革命家として目覚める前の青年期の旅の思い出をつづったもので、冒険あり、友情あり、恋愛ありの青春ムービーである
・・・・という映画評を以前読んでいたので、思想的なものとは無縁の、娯楽性の高いエンターテインメントムービーだという風に思っていました。
けれどそれは半分は正解。半分は違っている、というのが僕の印象です。
二人はバイクにのって旅を始めるのですが、バイクに乗って旅をするのは127分の映画のうちの約半分。そのあとは徒歩やヒッチハイク、船などで旅を続けます。
バイクに乗って旅している前半部分は、確かに「冒険活劇」的な感じなのですが、後半は次第に社会派映画・・・とまでは言わないにしても、南米の貧しい労働者や先住民族たちの生活、ハンセン病患者たちとの出会いや交流を経て、それらが後の革命家にどういう心情を芽生えさせたのか、ということが描かれています。
登場するバイクは 「ノートン500」
二人が乗って旅する中古バイク。「ポデローサ(=”怪力号”)2世 (Poderosa II)」※と名付けられたのは、イギリス ノートン500です。
このノートン。劇中では中古のオンボロバイクとして描かれていて、実際オンボロなのですが、これが旅のシーンで南米の大自然の中を爆走しているのを見ていると、その風景の壮大さとあいまって、だんだんとカッコよく見えてくるから不思議です。(我々バイク乗りだけかもしれませんが。)
もちろんノートンと言えば「第1回マン島TTレース」を制した名門中の名門。戦前は無敵の性能を誇ったバイクですから、カッコイイのは当然といえば当然です。
二人が実際にのったノートンは、Wikipediaなどで見ると「ノートン500」と表記されていましたが、調べてみた限り「ノートン500」というモデルが実際にあったかどうかはわかりませんでした。
1951年の時点で「オンボロ」なのでそれ以前のバイク。ノートンは1947年からテレスコピックフォークを導入したらしいので、このガーターフォークのマシンはそれ以前のモデルと思われます。(某サイトには39年式と書かれていました。)
どうやらこの「ノートン500」というのはノートン ES2という500ccのモデルを指しているようです。(ES2は1927年から1964年まで製造された。)
ちなみにノートンというメーカーは戦後日本車などに押されて低迷し、倒産と権利売却による復活を繰り返しています。
ノートンはアパレルブランド!?
話は変わりますが、最近「Norton」のロゴが入ったウエアをしばしば見かけます。
アパレルメーカーにライセンス提供しているものだと思いますが、バイクをあまり知らない人は「Norton」をアパレルブランドだと思っている方もいるかもしれません。
べつにバイクメーカーだとは知らなくても、ファッションで着るのは全然アリだと思うのですが、ホンダやヤマハのスクーターに乗って「Norton」のウエアを着ているライダーを見かけると、
”それはちょっとなあ~”
と思ってしまいます。
「Mercedes-benz」って書かれたウエアを着て、TOYOTAに乗ってるようなものですからね。
リアリティー溢れる映像がかっこいい ドキュメンタリームービー
閑話休題
後半、バイクを降りてからの旅は、前半に比べれば淡々としたシーンが続きます。
映像はドキュメンタリー的で、メッセージ性が強く、逆に言えばエンタメ的ではありません。
ただ、場面々々の映像がとてもリアルでカッコイイ(←われながら陳腐な表現で申し訳ないですが。)。
ただキレイで壮大な風景、というのではなく、そこに住む人々の表情をとても写実的に描いています。
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「これは偉業の物語ではない 同じ大志と夢を持った2つの人生が しばし併走した物語である」
この映画の冒頭のメッセージです。
「キューバー革命のチェ・ゲバラ」の物語、ではなく、青春ロードムービーとして、気軽に見ても何かを感じられる佳作じゃないかな、と思います。