なが~い梅雨がやっと終わったと思ったら、つぎは猛暑!
連日体温を超えるような暑い日が続いています。
こう暑いとバイクも楽しめない、というか、危険ですらあります。
頭を覆うヘルメット。
路面のアスファルトからの照り返し。
信号待ちの車の列から発せられる排気ガス・・・。
気づいたら脱水症状を起こして熱中症になってしまうかもしれません。
そこまで行かずとも、熱さで頭がぼーっとして、判断力が鈍ったりバランスを崩したりしたら・・・。
危険極まりないですよね。
”いやいや、走っていれば、風さえ浴びていれば大丈夫!”
・・・なんて考えているおやじライダーは、若いころと同じ調子で無茶をしていると、いつ痛いしっぺ返しにあわないとも限りません。(自分の事です。 笑)
つまり、安全で楽しいバイクライフを続けようと思ったら、もはや暑さ対策は必然!という事なのです。
寒さにはヒーティングジャケット、暑さには・・・?
バイクの大敵、寒さ対策には高性能なジャケットや、電熱線入りのヒーティングジャケットが大人気ですが、では暑さ対策はどうすればいいのか。
ある日バイク用品店の店頭で、おもしろそうな商品を見つけました。
オランダのバイクウエアメーカー MACNA(マクナ)の 「COOLING VEST EVO」です。
COOLING VEST EVO
これは、ジャケット内に含ませた水が蒸発するときの「気化熱」で体を冷やす、というもの。
この手の商品は以前からあり、ちょっとネットで調べても、様々なメーカーから同様の商品が出ています。
ただ、バイク用に特化した商品は少ないようで、なんとなく見た目が・・・というか、ジャケットの下に着ると違和感を感じそうなデザインのものが多いです。
マクナも、以前からこうした冷却ベストを販売していましたが、他社の商品に比べてデザインも良く、”なんか面白そうだなあ”と思って見ていたものの、購入には至っていませんでした。
新しい「COOLING VEST EVO」は以前のタイプに比べても、よりスリムになっているようで、これならバイク用ジャケットの下に着ても違和感が少ないだろうと思います。
気化熱効果ってどうなの?
こういう ”冷却効果を持つウエア” にもいろいろなタイプがあり、気化熱を利用したモノのほか、
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保冷剤をポケットに入れるもの
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ファン内蔵でウエアの中にエアを流すもの
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バッテリーとポンプで水を循環させるもの
さらには
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コンプレッサーにつないでエアを送るもの
・・・まであります。
コンプレッサーに繋ぐタイプはさすがにバイクには使えませんが、背中にファンが付いたウエアなんかは、最近工事現場の職人さんが着ているのをよく見かけますから、結構実用的なのかもしれません。
ただし、こと「バイク用ウエア」という前提で考えると、あまり大げさな装備のものは着用するのが大変ですし、なにより見た目がいま一つ。
また、ある程度長時間使えるものでないと、距離を走るツーリングでは役不足になりそうです。
ファン内臓のタイプは比較的手軽で、渋滞の時なんかは効果がありそうな気もしますが、ウエア内にエアが流れる空間が必要なので、走行中に風圧を受けるバイクだとどうなのかな?という気がします。(そもそも走行風を受けているならファンはいらないですけれど・・・笑)
その点、気化熱を使うクーリングベストは、バイクでの使用を考えると、かなり合理的な方式だと思えます。
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バイクなら走行風による気化促進で、より冷却効果が得られる。
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ポンプやファン、電源など、かさばる重い装備が要らない。
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電源が不要なので長時間使用が可能。
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水なら出先でもいつでも調達が可能。
などなど。
これ、いいんじゃね?(←すいません。若者ぶって言ってみたかっただけです。)
という事で、かなり興味を持ってはいたのですが、一方で疑問に思うこともいくつかあります。
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暑さですぐ生温くなるんじゃないの?
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風通しが悪くなって、いっそう暑く感じられるかも?
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ずっと濡れた服を着てるみたいになって気持ち悪いかも?
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水が濁って臭ってきたりすんじゃね?(←すいません。言ってみたかっただけです。)
ネットの評価を見ても、肯定的な意見が多いものの、ネガティブな意見も散見され「賛否両論」という感じ。
まあこれが数千円なら試してみてもいいかな?と思うのですが、この商品、そこそこいいお値段がします。(機能性バイクウエアとして考えると充分安いですが。)
ということで、ちょっと躊躇していたのです。
なんと、お試しさせていただけることに
店頭で手にとってみた感じはヒンヤリとした肌触りでよさげな感じです。
けれど、こういう商品は実際に使ってみないと、その良さも弱点もわからないもの。
とはいえ、周りに使っている人は居ないし、、、
そこで、この商品の発売元であるマクナジャパンさんへメールを送り、
”ブログで紹介したいので、商品を試着させてもらえませんか?”
という厚かましいお願いをしてみました。
もちろんダメ元です。
すると、なんとびっくり。
”ちょうど試着用の商品が空いてるから、よかったら試してみて” とのお返事が。
もちろん「ぜひ!お願いします!!」と即座に返信。
ほどなく試着用の製品が送られてきました。
実際に着て走ってみたら・・・
早速ショートツーリングで使ってみました。
まずはペットボトルから水道水を約600ミリリットル注ぎます。注ぎ口のふたをぴっちり閉めたら、隅々まで水がいきわたるよう、ベストを上下左右に傾けます。
そのまま着用してみると、かなりヒンヤリと感じられます。
上から胸部プロテクター付きのメッシュジャケットを着て、バイクを停めてある駐輪場へ。
二重に被せてあるバイクカバーを外し、前後に装着したロック類を外して、なんてやっていると、普段ならこの時点で既に汗が吹き出し始めます。
でも今日はその感じがありません。
装着して15分以上たっていますが、まだかなりヒンヤリ感が続いています。
***
エンジンを掛けてバイクをスタート。
走り始めるとヒンヤリとして超快適!!・・・かというと、ちょっと微妙な感じです。
確かにヒンヤリとはしているのですが、風がほとんど通り抜けないので、なにやら濡れたシャツをそのまま着ているような感じ。例えると夏場に屋外のプールに入っているかのような感じがします。
気持ちいいと言えば気持ちいいし、良くないと言えば良くない。(どっちやねん。)
もちろん、ベストの内側が湿っているような感じはなく、あくまでサラッとはしているのですが、風が抜けないので爽快感がありません。
この辺の感触を良しとするかしないかで、このベストの評価が真逆になってくる気がします。ネット上の評価が二分しているのも ”なるほどなあ” という感じです。
***
渋滞している一般国道をほとんど速度を上げられないまま、およそ40分ほど走行。
徐々にヒンヤリ感は無くなり、30分も走ればクーリングベストの効果はほとんど感じられなくなりました。
その後、国道を逸れて田舎道へ。一気に交通量は減りましたが、クルマの後ろを大人しく走ります。
それでも渋滞路よりはペースが上がったので、徐々にまた冷えてくるのかと思いきや、一度失われたヒンヤリ感は戻ってきませんでした。
「やっぱり時間がたつと効果がなくなるんだなあ~」と思いつつ走っていたのですが、ふと道路脇の温度計を見てびっくり。
この時は未だ朝の10時前だったのですが、気温はなんと35度。この時点で猛暑日決定です。
そしてあることに気づきました。
「普段35℃もあったら、(ハーレーで走った時の)暑さって、こんなもんじゃないよなあ~」
そう、明確なヒンヤリ感はなくても、クーリングベストによる冷却効果は、ちゃんとあるような気がします。
更に走る事約40分。家を出てから2時間弱ほどで、いつものカフェにたどり着きました。
上着とクーリングベストを脱いで、内側を触ってみると、まだ少しヒンヤリしていました。
人間、どんな温度でも、その温度に慣れてしまうとほとんど感じなくなってしまいます。この「マクナ クーリングベスト」の効果も同様、1時間ちょいも走ると、もはやその恩恵は全く感じなくなってしまいます。
けれどもその裏で、このベストはちゃんと仕事をしてくれていたようです。
帰り道(といってもこの時点でまだ12時ちょい過ぎ)は来た道を引き返したのですが、このベストの独得な感触にも徐々に慣れてきたこともあり、快適に走ります。
途中でちょっとルートを変え、高速道路へ。
飛ばせば冷えるかな?と思いましたが、30分程度の走行ではさほどそれは感じられませんでした。
とはいえ、おそらく高速道路上の温度は余裕で40℃を超えているでしょう。受ける走行風ももはや ”熱波” です。サウナで「ロウリュウ」を浴びているようなもの(笑)。
にもかかわらず、大した汗もかかずに走り切れたのは、やはりこのクーリングベストのおかげなんじゃないかな、と思いました。
翌日は箱根へ
翌日は朝7時過ぎに家を出て東名高速を西へ。小田原厚木道路を通って箱根まで足を伸ばしました。
前日よりは気温が低く、東名を走っていた時の温度はおそらく28-30℃くらい。
2日目で慣れたこともあり、ほとんど違和感も感じず、というか、着けている事を忘れるくらいの感じでした。
箱根の山から下りて、昼飯を食べに湯河原へ向かう途中の135号線は、そのほとんどが渋滞でしたが、あまり暑さを感じていませんでした。
普段ならここでへばってたかもしれません。
COOLING VEST EVO は買いか?
この二日間、約300kmを、渋滞の一般道路から山道、高速道路と走りました。
試用前に思っていた疑問点については・・・
結局、このクーリングベストは買いか?と聞かれると、
「お勧めできるけど、(先に書いた通り)風通しが悪くなるという点をどう感じるかによる」
というのが結論です。
着心地は下に着るアンダーウエアにもよりますし、このベストの上に着る服にも左右されるでしょう(僕のメッシュジャケットはかなり素材が厚く、メッシュジャケットとしては風通しが良くありません。)。
ただ、熱中症対策という意味ではたしかに効果的だと思います。
風が当たれば確実にウエア内の温度を下げてくれますし、体感上のクールさも欲しければ、途中のコンビニで冷たい水を買って入れれば相当ヒンヤリします。
実際、猛暑の中二日間走った割には、疲労感が少なかったです。
「最近暑さが体にこたえる」
「どうしても夏場、暑い時間帯でもバイクで走らないといけない」
という方にはぜひ使ってみてほしいと思います!
p.s.マクナジャパンさん、どうもありがとうございました!
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