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ヒントその65.シートカスタムの勧め?

シートカスタムはマニアック?

シートのカスタムは意外とマニアックなカスタム、だと思います。

ハーレーのような一部のバイクを除けば、あまり既製品の交換用シートは販売されていません。人気車種でもせいぜい1、2種類あるかどうか。

よってバイクのシートカスタムと言うと、ノーマルシートの加工、またはワンオフでの作成、というケースが多くなります。

シートを変えると外観も大きく変わりますが、ライダーがバイクに一番接する場所だけに、その乗り心地、さらには走行性能にもとても大きく影響します。

しかもノーマルを加工する場合は、簡単にはもとに戻せません。

そういう意味では意外と難しいカスタムでもあるのです。

あんこ抜きで足つきは悪化する?

シートのカスタムというと先ず頭に浮かぶのが「あんこ抜き」でしょう。シート高を下げ、足つき性を良くする目的で、シートの中のスポンジを削ってやる加工です。

チビの上に短足な僕は(涙)、これまで3台の愛車でこの「あんこ抜き加工」をしてもらいました。あんこ抜きをする事で、チビの僕でも足つきバッチリか?というと

「・・・微妙。」

というのが正直なところです。なぜか?

あんこ抜きで確かにシートの高さは低くなるのですが、シートの幅が変わらないと、あまり足つき性は良くなりません。むしろ、シートの幅はそのままで、単に座面の高さだけが下がると、シートに跨った時に足がノーマルより広がる形になってしまい、かえって足つき性が悪くなることもあります。

あんこ抜きする時は、単に座面を下げるのではなく、シートの幅を狭めたり、足が楽に下せるようシートの角を削ったりしないと、意外に足つき性は改善しないのです。むしろシートの高さは変えず、スッと足を下せるように角だけを削ってやる方が足つきが良くなったりもします。

その辺は是非、豊富な経験を持つシート加工の専門店に相談してみてほしいところです。

あんこ抜きの意外な弊害

あんこ抜きをすることで、いろいろ弊害もあります。あんこ(スポンジ)が薄くなるのでクッション性が少なくなり、乗り心地が悪くなる、というのは何となく想像がつくと思うのですが、逆にコシがなくなる(事がある)、というのはちょっと意外かもしれません。

ノーマルのバイクのシートはスポンジを削って作られるのではなく、型にウレタンを流し込んで作ります。すると、型で焼く食パンと同じように、パンの耳、シートでいうと表面の部分は硬く、中は柔らかくなるんだそうです。(食パンほど極端な違いではないでしょうけれど。)そんなスポンジをあんこ抜きすると、表面の固い部分を削る事になるので、コシがなくなる事があるらしいです。

この辺もシート屋さんによっては、成形した後のスポンジの表面にやや硬いスポンジを貼り足したりするケースもあります。この辺も専門店ならではのノウハウですね。

ポジションへの影響

あんこ抜きをすることで、座る位置が低くなりますが、その事により、足の曲がりが大きくなる、というのも頭に置いておく必要があります。あまり足の曲がりが大きいと、下肢への血の巡りが悪くなり、長距離走ると非常に疲れます。

また、あんこ抜きをすると、着座位置が下に下がるだけでなく、(削る形状にもよりますが)ノーマルより座る場所が少し後ろにずれます。(下の写真)

着座位置が下に下がって少し後ろに下がるとどうなるか?

答えは ”ハンドルが遠くなる” のです。

「あんこ抜きが必要」=「足が短い」≒ 「手も短い」(涙)なので、ハンドルが遠くなるのも長く乗ると疲れる原因になります。

実のところ、僕はこれが嫌で、せっかく大枚はたいてあんこ抜きしたシートをヤフオクに出し、ノーマルシートを買い直した事があります。

運動性能への影響

バイクのポジションを設計する際、一番最初に決めるのはシートの位置だという話を聞いた事があります。重さが1トンを超える車とは違い、大型車でも200~300kg程度のバイクにおいて、40~100kg(それ以上の人も?)もある人間がどの位置に乗るのか、という事は、運動性能を決めるうえで比較にならないくらい重要だからです。

あんこ抜き、あるいはあんこ増し(?)でライダーの乗る位置が変わると、少なからず運動性能に影響します。良い方向に行く可能性もありますが、普通はノーマルでバランスが取れているハズなので、大なり小なりハンドリングは悪化します。

また、先に書いた通り、着座位置が少し下、少し後ろに下がると、頭の位置がハンドルから(というかステアリングヘッドから)離れます。するとどうしても前輪の接地感が希薄になる、という傾向もあります。

(個人的な意見ですが、)シートの形状を変える場合、足つき性の向上が目的だとしても、あまり極端な着座位置の変更はお勧めしません。

厚みを増やすと乗り心地アップ?

逆にお尻が痛くなるのを防ぐ目的で、スポンジを厚くするカスタムもあります。(短足の僕からみればうらやましい限りですが。)この場合はどうか?

僕自身あんこ増しした経験はありませんが、以前シート屋さんに聞いた話だと、あまりフカフカなスポンジはお尻が沈み込み、前後左右に動きづらくなる事から、おしりの筋肉がうっ血し、かえってお尻が痛くなる、という事もあるそうです。

もちろん、そうならないためにそれに合わせた硬さのスポンジを選ぶとか、違う材質のものをスポンジに貼るとか、これもいろいろなノウハウがあるらしいので、やはり経験豊富なシート屋さんと相談するのがいいと思います。

じゃあシートカスタムはNGなの?

いろいろネガばっかり書きましたが、「おまえはシートカスタムに反対なのか?」、と言われると、決してそんなことはありません。

確かに僕は先に書いた通り、わざわざカスタムしたシートをやめて、ノーマルシートを買い直した事もあります。どちらかというとシートに限らず、バイクのポジションは基本的にノーマルから変えるべきではない、というのが僕の考え方です。

でも、シートカスタムはポジションを変えるだけではありません。

ノーマルのバイクシートは非常重要な機能パーツであるにも拘らず、非常にコストの制約を受けている、というか、はっきり言って安っぽい作りものが多いようない気がします。

形状やポジションなどはトコトン煮詰められているのだと思いますが、表皮にしても中のスポンジにしても、材質的にはあまり良いものが使われているように見えません。

その点、カスタムシートはその形状もさることながら、表皮が厚くやわらかで、縫製も丁寧だったり、中のウレタンも部分的に硬さが変えられていたりと、非常に凝ったつくりになっているものが多いです。

こうしたシートはライダーが直接触れる部分だけに非常に乗り心地がよくなったり、疲れにくかったり、よりタイヤの接地感が伝わってきたりします。

こういう狙いで行うなら、シートカスタムは非常に有効なカスタムだと思います。

バイクの印象を大きく変えるパーツ

さらにシートの色や形によってバイクの印象は大きく変わります。ノーマルのシートは黒一色が多く、無難ではあっても面白いとは言えません。特にネイキッドやクルーザーなのではシートの面積が大きいので、それを変えるとガラッとバイクの雰囲気が変わりますよね。

R nime Tの各派生モデル。違いはシートの色だけじゃないけれど、シートで結構印象が変わります。

BMW Motorrad Japan HPより

滑りにくいシートが良いシート!?

バイクのシートの表皮を語る時「滑りにくい表皮」がさも良い表皮のように言われる事が多いですが、僕は必ずしもそうじゃないんじゃないか?と思います。

滑りにくいシートは確かに加速の際は楽ですが、あまりにも滑りの悪いシートは自由に動きづらいからです(前後にも左右にも)。

このへんはバイクに乗る時にどんな服装で乗るかによっても変わってくると思います。

確かにジーンズで乗るなら滑りにくいシートの方がいいでしょうが、革パンツでそういうシートに座ると、非常に動きづらく感じると思います。

ただ、市販車のノーマルシートは、往々にしてジーンズで乗ると滑りすぎる気がします。メーカーの開発ライダーはきっと革パンツ(というか革つなぎ?)で試乗してシートを決めているんじゃないでしょうか。

バイクに乗る時はいつもジーンズ。あるいはナイロンのライディングパンツ、という人は、より滑りにくいシートをオーダーするのがいいかもしれません。このあたりも経験豊富なシートカスタムショップに相談ですね。

シートカスタムするなら新しいうちに

じゃあシートをカスタムしてみようか、という事になるのですが、「そろそろこのシートもくたびれてきたし・・・」という理由でカスタムに踏み切るケースが多いかもしれません。

けれどノーマルシートを加工する前提なら、出来るだけ新しいうちにカスタムした方がいいそうです。

バイクシートの中身であるウレタンは、非常に水に弱く、雨水が染み込んだりすると、いずれ加水分解という現象が起きて、ボロボロになったり、カビが生えてきたりします。こうなるとノーマルを加工してシートを作る、なんて事は出来なくなるそうです。

もちろんシート加工の専門店なら、ボロボロになったスポンジをすべてオリジナルの材料で置き換えてシートを作ってくれるかもしれませんが、やはりそれなりに(非常に)高価なシートになってしまいます。

よってシートのカスタムを考えているなら、加工についてはなるべく早く着手するのがベターだと思います。

さあ、あなたもシートカスタムにチャレンジ!してみてください。

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