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コラム:僕のバイクカスタムペイント遍歴(その3)

Banditに一目ぼれ

ある日、今はなきバイク雑誌「Clubman」に新型車のスクープ記事として、スズキの大型ネイキッドの写真が載っていました。その小さな写真を見た瞬間、

「こ、これはカッコいい!」

と一目惚れした僕は、実車も見る前から購入を心に決めました。

それが「Bandit1200」でした。

写真はカウル付 bandit 1200S

ブルーをやめてシルバーに

このBandit1200にはシルバーとブルーの二色のカラーバリエーションがあり、さんざん悩んだあげく、(実車も見ないうちに)ブルーに決めて販売店に予約を入れました。

ところがしばらくするとその販売店から電話があり、「先行してシルバーを先ず作っているらしく、ブルーは一ヶ月後になる」といわれました。さすがはスズキ。なんて呑気な生産計画。などと妙に感心しつつも、5秒ほど悩んだ末に「じゃあシルバーにします。」と返答しました。

一ヶ月も待つと、間近に迫ったゴールデンウィークに間に合わないことも理由のひとつでしたが、もうひとつ別の考えが浮かんだからでした。

それは「ブルーのフレームよりシルバーのフレームの方が、ペイントするとき色を選びやすい」という理由でした。そう、その時点でもうフルペイントすることを考えていたのでした。

「神奈川県第一号車だよ」、と言われたシルバーのBandit1200がバイク屋に届き、納車されました。初めて見る実車は小さくてシンプルな車体で僕の好みにぴったりでしたが、シルバー単色のデザインは少々地味すぎるような気もしました。しばらくはそのまま乗りましたが、本格的な冬の到来を機に、フルペイントする事にしました。

もちろん、今回はペティーさんのところ(「ペティーペインターズバラダイス」)で塗ってもらうつもりでした。

再び 「ペティーペインターズパラダイス」へ

連絡をとって店を尋ねると、ペティー鈴木さんは僕の事を覚えてくれていました。

「うれしいねえ。新車のうちに塗らせてくれるなんて。大抵みんな、いろいろいじり倒してから、最後に色塗るんだよね。で、今回はどうしたいの?」

という鈴木さんに、僕は凝りもせず

「いろいろ考えたんですけれど、やっぱりイエローに塗りたいんです。」

というと、鈴木さんは

「ええ!?、確か前のバイクもイエローじゃなかったっけ?同じじゃつまんなくない?」

と驚いていました。

「なんか違うのにしようよ。」

それから二人でバイク雑誌を見たり、過去の鈴木さんの作品の写真を見たりしながら、あーだこーだと相談しました。僕がそれでもイエローに後ろ髪をひかれていると、

「じゃあさあ、ちょっとデザイン考えてみるからさ、それ見て考えようよ。それでやっぱり黄色が良かったら黄色で塗るからさ。」

と言ってくれたので、その日はいったん帰りました。

ペティーさんの提案

翌週、あらためて店を尋ねると、鈴木さんがラフスケッチを見せてくれました。

「ブルーがいいと思うんだ。キャンディーブルー。普通はシルバー吹いてから、その上にブルーを塗るんだけれど、まだ(バイクが)新しくてきれいだから、ノーマルのシルバーはそのまま生かして、上からブルーを吹けばきれいだと思う。で、センターはシルバーのまま残してツートンにしようよ。」

という提案でした。

キャンデーブルーはシルバーのベースの上に、ブルーを混ぜたクリアを吹いて下地のシルバーが透けて見えるようにする色です。実際にキャンディーブルーに塗られたパーツも見本としてその場にあったのですが、僕はどうも明るく輝くシルバーベースのキャンディー色は好みじゃありません。

「キャンディーと言っても、クリアに混ぜるブルーを濃くすれば、殆どソリッドのブルーに近くなる。見る角度によって微妙にシルバーが透ける程度にすればカッコイイと思うよ。」

どうしようかと5分ほど悩み、正直不安もありましたが、せっかく鈴木さんに塗ってもらうのだから、鈴木さんのセンスに任せてみよう、とその提案のままに塗ってもらう事にしました。

僕からのお願いは、タンクに描く「SUZUKI」のエンブレムは、純正の書体と大きさで書いてほしい、という事だけで、あとはお任せとしました。

まるで生まれ変わった僕のBandit

それから待つこと約1か月余り。予定の日を過ぎてもなかなか完成の連絡が来ず、やきもきしながら待っていましたが、ようやくその日がやってきました。後で聞いたことですが、一度塗ったキャンディーが気に入らず、一度やり直してくれていたそうです。(キャンディーはクリアがベースなので色むらが出やすく、プロでも難しい色なんだとか。)

数日前に風邪をこじらせたそうで、その日鈴木さんはちょっと辛そうでした。

店に入るとBanditのタンクとフェンダーとテールカウルがまだ車体に載せられず、床に置いてありました。

「ごめん、ここ2,3日寝込んでたんで、まだ最後の仕上げが出来てないんだ。ちょっと待ってくれる?」

というと、タンクにコンパウンドを塗ってバフでクリアを磨き始めました。そのままでも艶のある塗装がされたパーツは、見る見るうちに輝きを増し、ツヤツヤになっていきました。

タンク、フェンダー、テールカウルと磨き終えると、それぞれを裸のBanditのフレームに載せていきました。

完成したBanditを見て、思ったこと。

一つは ”なんてカッコいいんだろう!” という事。

もうひとつは、”これに俺が乗るの?” という事でした。

パッと見るとソリッドの青に見えますが、光が当たった部分は下地のシルバーが透け、よく見るとキャンディーブルーである事が判ります。タンクを上から見ると真ん中がシルバーのツートンカラーになっていて、その境界線には黄色いピンストライプに縁どられた白いラインが引かれています。そしてタンクの「SUZUKI」のエンブレムは、書体は純正のままのそれですが、明るいブルーになんとピンクで縁どりされています。

キャンディーブルーにピンクを刺し色で使いながら、それが全体としてヤンキーっぽくなったりせず、まとまったデザインになっています。自分では絶対に思いつかない配色だなあ、と思いました。

シンプルでありながら派手。でも決して派手過ぎない。間違いなく人目を引くデザインで、バイクだけ見れとてもかっこいいのですが、果たして僕が乗って似合うんだろうか?という不安が頭をよぎります。

「大丈夫だよ、すぐ見慣れるって。」という鈴木さん。

「まあカスタムペイントは5年飽きずに乗れたら成功だから」との事。派手過ぎて飽きが来ないギリギリの線を狙っているという事なのでしょう。(結果的に僕は飽きることなく、このデザインのまま16年乗る事になります。)

バイクを外にひっぱりだすと、少し時間がたって見慣れてきたのか、太陽光で色の見え方が違うせいか、最初の印象ほど派手には思えず、これなら僕が乗っても浮かないかな、と納得できました。

思い切ってペティーさんにすべてお任せにしてよかったと思いました。

因みに料金も格安でした。本来キャンディー塗装はまずシルバーを塗り、そのあと色を混ぜたクリアを塗るので、二色塗りの料金になるのですが、今回は下地のシルバーを純正塗装のまま利用しているので、格安でキャンディーカラーを塗ってもらう事が出来ました。

***

今の愛車であるXL1200CXにはまだ鈴木さんの筆は入っていません。

折角のハーレー。レタリングの似合うアメリカのバイクなのですから、出来るだけ早くかっこいい文字を入れてもらいたい思っています。そしていつかお金がたまったら、またフルペイントしてもらいたいなあ、と夢想しております。

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