早朝ツーリング。行きはヨイヨイ 帰りは・・・
今年の夏は連日の猛暑。ちょっと異常です。しかも当面それが続きそう。
昨年まで乗っていたハーレー(スポーツスター)に比べれば、今の愛車 KYM 890 Dukeは発熱が少なく、ずっと楽なのですが、それでもこの猛暑では堪えます。
僕の場合、夏用のライディングウエア(上は吸湿速乾性のインナー+メッシュジャケット。下はパンチングメッシュのレザーまたは先日購入したMAX Fritzのライディングパンツ)を着れば、気温30℃まではまあ問題なし。30℃を超えるとちょと厳しく、35℃を超えると限界、という感じです。(あくまで「短時間」 & 「まめな休憩」が必須条件ですが。)
ここまで暑ければ「夏はバイクに乗らない」という判断もアリでしょう。エアコンはおろか、走っていれば水分補給もままならないのがバイクです。熱中症の危険も大いにあります。
でも乗りたい!(笑) 19歳で精神が成長をやめてしまった僕みたいな人間は、たとえ暑くとも雨が降っていない限り、走りたくなってしまいます。
そこで、夏のツーリングはもっぱら早朝のショートツーリング。朝は道が混み始める前に家を出て、涼しいうちに山へ。コーヒーを飲んで午前中には帰宅、というのがパターンです。
山は午前中なら30℃を超えることはそうそうないので、夏も快適・・・なのですが、問題は山を降りた後。市街地を1時間弱走って帰ってくるのですが、最近は午前中でも優に30℃を超えるので、この時間は結構辛いものがあります。
どうしてもきつそうな時は高速に乗って一気に帰ってくるのですが、暑いことに変わりはありませんし、それなりにお金もかかります(半日ツーリングで高速使うのは、なんかもったいない気がしてしまいます)。
更に早い時間に走る、という手もありますが、そうすると一杯のコーヒーを飲むための店も早すぎて開いてませんしねぇ。
なんとかならないものでしょうか。
アイスリングって何?
話変わって、最近ネットを見てると、アイスリングという商品を見るようになりました。
「クールリング」「クールネックリング」「ネッククーラー」などの呼び名もあるようです。
冷たく冷やしておいたリングを首にかけて涼を得る、という商品のようです。
この手のアイデア商品は毎年いろんなものが出てきますが、最初は冷たさを感じられるものの、長持ちしないのでツーリングで使うにはいまひとつ、という商品が多いと思います。
なのでこの商品も「ふーん」ぐらいにしか思っていなかったのですが、先月のモーターサイクリスト(2023年8月号)でバイクエッセイストの「コバユリ」こと小林夕里子さんが、夏の愛用アイテムとして紹介されているのを見て、ちょっと興味がわいてきました。
冒頭に書いた通り、夏は暑いので朝涼しいうちに走るのですが、帰り道はどうしても暑い市街地を走って帰ってくることになります。その間、約1時間。
ツーリングの間中体を冷やしてくれるアイテムがあれば一番いいのですが、せめてこの1時間を快適に過ごせるアイテムがあれば、かなり夏のツーリングが楽になるのになあ~、と思うのです。
そこで、ひょっとしたら、このアイスリングが使えるんじゃないか。そんな気がしてきたのでした。
※注 Kindle版にはネックゲイターは付属していません。
アイスリングについて調べてみました。
あらためてアイスリングについて調べてみました。
アイスリングは熱を吸収・放出しながら一定の温度をキープする「PCM」(Phase Change Material)という素材を利用した商品です。
(これもお決まりの「NASAが開発した」という文句が謳われていますがほんまかいな。)
PMCは「相変化材料」といわれるもので、相変化の際の潜熱(凝固熱・融解熱)を利用して蓄熱する物質のことです。・・・なんか難しいな。
氷は熱を加えていくと0℃で溶けますが、この時、いきなり水になるわけではなく、徐々に溶けていきます。これは氷(個体)から水(液体)に変化(相変化)する際に熱を奪う(融解熱)性質があるためで、溶けている間は氷の温度が0℃から上がりません。つまり氷は溶けながら0℃をキープするように働きます。
アイスリングは0℃ではなく、例えば28℃(製品によって違う)で固まる(or 溶ける)物質が中に入っていて、ずっと28℃を保とうとします。28℃は体温より低いので ひんやり感が続くというわけです。
28℃という、かなり高い温度(水に比べると)で凍るので、冷房の効いたところで放置したり、流水で冷やすだけでも凍るらしく、出先でも簡単に凍らせて使える、というのがメリット。また氷とちがい、結露が起きにくいので表面が濡れず、さらっとしているというのも特徴です。
いろんなメーカーから出ているアイスリング。どれを選ぶか。
このアイスリング。(僕の調べた限りでは)もともと「SUO」というメーカーがブームの火付け役だったらしいのですが、今や実にいろんなメーカーから発売されていて、値段も1000円前後から4000円前後までと、かなり幅があります。
これら多くのネックリングの中から、どういうポイントで選べばいいのか。同じ「PCM」という材料を使っていても性能に差はあるのでしょうか?
amazonで数多く売っているアイスリングを見比べたのですが、選ぶポイントは3つありそうです。
1.凍結温度
選ぶポイントの一つに凍る温度の違いがあります。同じPCMを使っていても、28℃で凍る(溶ける)もの以外に、24℃や18℃で凍るものもあります。
では18℃と28℃(あるいは24℃)ではどちらがよいのでしょうか?
18℃凍結
メリット:冷感が強い。
デメリット:
- 凍りにくい。凍らせるのに時間がかかる。
- 保冷時間が短い。
- (人によっては)冷たすぎる。
- 結露しやすい?
28℃凍結
メリット:
- 凍らせやすい。短時間で凍る。
- (比較的)保冷時間が長い
- 結露しずらい。
デメリット:あまり冷たく感じない。
24℃凍結はその中間的特性という感じでしょうか。
凍結温度が高いということは、高い温度でも凍りやすいということ。28℃で凍るので、エアコンの効いた室内で放置するだけでも凍ります。もちろん18℃凍結の製品も冷水をかけ続けたり、冷蔵庫や氷で冷やせば凍るのですが、28℃凍結の製品は18℃凍結のものより早く凍ります。
また、溶ける温度が高いということは、なかなか溶けにくいということ。その分、冷たさが持続することになります。
ただ、28℃を保とうとしますから、18℃で凍結する商品に比べると冷たさを感じにくいようです。
2.製品の重さ
同じように見えるアイスリングですが、調べてみると、製品によって結構重量が違います。サイズによっても違うのですが、同じサイズでも85g~226g(全て調べたわけではありませんが)とかなり差があります。
必ずしも同じ材料が使われているとは限らないので、単純に重量=PCMの量とは限りませんが、重い製品の方がPCMの量が多い=冷感が長持ちする、という可能性はあります。
ただし、重いと疲れる、と言う人もいるかもしれませんけれどね。
3.デザインや質感、丈夫さなど
デザインは好み次第ですが、質感や丈夫さなどは製品によってばらつきがあるようです。粗悪な製品だと破れやすかったりするものもあるようですし、肌に触れるものですから、チューブの質や接合部の仕上げ具合などによっては、首にあたると不快だったりするかもしれません。
この辺りはWEBで写真を見ても良くわからないケースもあると思います。レヴューなどをチェックするしかないですかね。
僕はこれを購入してみました。
まあ、何はともあれ、まずは買って使ってみようと思い購入しました。
選んだのは「Genki Labo」というメーカーの製品です。
選んだ理由は融解温度が24℃であること。18℃だとすぐ溶けてしまいますし、28℃だとあまり冷たく感じないような気がしたからです。
それとPCMの量が多そうなこと。「PCM量が70%アップ」とあります。まあ元が少なかっただけかもしれません(笑)が、重量がLサイズで226gということなので、他の製品に比べて重く、その分持続時間が長い・・・かも。
あとは値段。3000円越えの商品もあるなか、¥1799と安い(もっと安い製品もありますが)ので、お試しで買うにはまあいい線かな、と思いました。
早速 気温33℃で使ってみました
さっそく購入したアイスリングを使ってみました。
この日も朝6時過ぎに家を出発。この時点ではまだ27℃ぐらいなので、メッシュジャケットで走ると非常に快適です。
アイスリングは前日から冷蔵庫に入れておいたものをシートバッグに忍ばせておきます。
山に着いたのが7時過ぎ。既に下界は30℃近くになっていると思いますが、山の上は27~28℃。やっぱり快適です。
2時間ほど走り、途中カフェでアイスコーヒーいただいたりして、楽しくショートツーリングを楽しみました。
山を降りてきたのが9時過ぎ。ここから我が家までは約1時間弱です。
この時点で気温は既に32℃。走っていればまだしも、止まると汗が噴き出てきます。
いよいよアイスリングの出番です。
シートバッグから取り出したアイスリングは、冷蔵庫から取り出してから既に4時間近く経っていますが、まだ固く、わずかにヒンヤリしています。
とはいえ、このままでは大して冷たくは無いので冷やします。
コンビニに立ち寄り、ロックアイスを購入しました。
コンビニで買ったロックアイスと家から持参したジップロックに入れ、そこにアイスリングを入れます。これでロックアイスが溶ければアイスリングが冷たく凍るはず。
氷の入ったジップロックをシートの上に放置し、人間にはアイスクリームを投入します。
ところが、この暑さですぐに溶けるだろうと思っていたロックアイスは一向に溶ける気配がありません。恐るべしロックアイス。でもこれではうまくアイスリングが冷えません。
仕方なく、氷の入ったままのジップロックをシートバッグにしまい、もうしばらく走ることにしました。
最初はヒンヤリ!!やがて冷たさは感じなくなってきますが・・・
15分ほどバイクを走らせ(氷投入から25分ぐらい)、取り出してみると、まだロックアイスは殆ど溶けていませんでした。(う~ん、ロックアイスをなめてました。)
けれどこのままでは人間が先に溶けてしまうので、仕方なくここでロックアイスを捨て、いよいよアイスリングを付けてみることにしました。
首に巻くとヒヤ~っとします。これは気持ちいい!!。かといって氷を直接当てるような冷たさではなく、ここちよい冷たさです。
この状態で走り始めます。
首筋を冷やすというのは想像以上に気持ちいいです。首を通る太い動脈を直接冷やすことになりますから、脳に行く血液が冷やされるわけで、熱さで頭がぼ~っとするような気温でもシャキッとします。
また、結露が起きないので、首筋が濡れるような不快感もありません。
装着による違和感は特にありません。ウエアやヘルメットの形状にもよると思いますが、首を動かしたりする動作には一切問題ありません。
これはすばらしい!!と思いましたが、このヒヤっとした感覚が続くのは約10~15分ぐらいです。
10分以上経つと、アイスリングが温まってしまうのかというとそうではなく、どうも人間の方が冷たさに慣れてきてしまうようです。その証拠にちょっとアイスリングの位置を動かしてやると、まだひんやりとした冷たさを感じます。
その後どんどん冷たさは感じなくなり、でも結構粘ってくれる感じで、既に33℃を超えた猛暑の中、走り始めて30分を経過しても、まだわずかに効果は感じられました。
***
この日は比較的道が空いていて、結局アイスリングを装着してから40分ほどで自宅に着きました。
この時点ではほとんど冷たさは感じなくなっていましたが、ヘルメットを脱ぎ、アイスリングを外すと、明らかに暑く感じます。明確に冷たさは感じなくても、まだちゃんと効いているようです。実際、手に持つとまだヒンヤリしています。
家に着いたらフクピカで車体やホイール、チェーンなんかをササっと拭くのですが、この時期はいつも、この作業で汗だくになります。でも今日はアイスリングを首に巻いているせいか、さほど汗は出てきませんでした。やっぱりあるのとないのとでは随分と違うようです。
アイスリングは「アリ」なのか、「ナシ」なのか?
アイスリングをツーリングに使ってみての感想ですが、やはり「非常に気持ちいいものの、その効果は長続きしない」というものです。ただし、ひんやりとした冷たさは15分程度しか続かないものの、冷却効果そのものは40分~1時間ぐらいは続いているようです。(当然条件によりますが。)しかも脳へ行く血液を冷やせる点からも、熱中症予防には効果的だと思われます。
とはいえ、ツーリングに使うとなると、その使えるシーンはかなり限定的です。家で冷やしておいて装着するぶんには問題ありませんが、出先で冷やそうと思うとそう簡単ではなさそうです。ソロツーリングならまだしも、マスツーリング中に一人コンビニに立ち寄ってロックアイスを買って・・・というのはなかなか難しいと思われます。
けれど、工夫の余地はいろいろありそうです。アイスリングを2つ買っておいて、交互に氷で冷やしながら使うとか、ランチの時にエアコンの風の当たるところに置いておくとか。
そんなに高くもないですし、嵩張るものでもありませんから、一つ持っておいて、使えるシーンがあったら使う、というぐらいなら、案外使えるような気がします。
逆に、通勤や通学で毎日数十分バイク(自転車や徒歩でも)に乗る、という人にはうってつけのアイテムだと思います。(毎朝自転車通勤している息子の分を早速追加購入しました。)
普段の生活でも首にかけておくと快適ですし、バイク乗りなら、夏のメンテナンスや洗車の時に首に掛けておけば、熱中症予防に効果があるはずです、
過度な期待は不可ですが、使い方によっては「アリ」というのが僕の結論です。少なくとも夏の早朝ツーリングには、これから毎回持っていくことになると思います。
あなたもおひとついかがでしょうか。