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MY スポーツスターとのお別れ

虎は死んでも皮を残す?

フレームの曲がりを指摘され、修理することを断念した我がスポーツスター(XL1200CX ロードスター)。

” 修理をあきらめます ” と告げたものの、バイク屋さんとの会話はまだ続きがありました。

「そうですか。うーん残念ですね。スイマセン。」

バイク屋さんもなんだか残念そうです。

「いえいえ。こちらこそいろいろとお手数をおかけしてすいませんでした。」

「とんでもないです。お役にたてなくて。」

そう言った後、バイク屋さんが意外なひとことを言いました。

「じゃあ、バイクは買い取りでいいですか?」

ん? 買い取り?・・・廃車じゃないの?

「廃車じゃないんですか? 値段なんてつくの?」

「廃車にはなると思いますけど、いくらかでは買い取れると思いますよ。」

・・・マジか。

実は我が愛車。まだ1年ローンが残っているのです。少しでも値がつくなら有難い。

「買い取ってもらえるならうれしいですけど。」

「そうですか。じゃあちょっと査定聞いてみますね。」

ということで電話が切れました。

***

待つことしばし。三度(みたび)バイク屋さんから電話がかかってきました。

「すいません。査定聞いてみたんですけれど、、、、エンジンももう4万キロ近く走られているという事で。ちょっと。」

ああ、やっぱり無理なのね。

「10万円だそうです。」

10万円。ゼロじゃないんだ。10万円でもありがたい。

10万円が妥当かどうかはわかりませんが、少なくとも僕があのバイクを引き上げたからといって10万円に換えられるとは思えません。

そもそも引き取ってくる方法もありませんし。

「いくらでも、値段がつくなら有難いです。お願いします。」

「そうですか。ではこちらで買い取らせていただきます。」というわけで、買い取っていただけることになりました。

ダメ元でお願いしてみると・・・

というわけで、傷ついた我がバイクは10万円の値がつきました。

正直、ローンの残金はもう少し残っているので、もうちょっと欲しいところですけれど。

(さっきまで廃車だと思っていたのに。人間欲深いですね・・・)

そこでダメ元で相談。

「あの~。いくつかパーツ付いているんですけど。たとえばオーリンズのリアショックとか。これを引き取らせてもらう、なんていうのはダメですかね。ノーマルパーツはあります。」

「うーん。正直10万円ということは、ほとんどオーリンズの値段じゃないかと思うんですよね。だからちょっと・・・」

「ですよね~。」

そりゃそうです。というわけで、素直に10万円で引き取っていただくことにしました。

***

ところが、さらに10分ほどして四度(よたび)バイク屋さんから電話が。

「査定の係と話したら、オーリンズ持って帰ってもらってもいいそうです。ただし、こちらに来てご自分でノーマルショックと交換いただけるのであれば。」

「え!?ほんとですか。そりゃありがたい。」

「ほかにも何か、ノーマルと交換されます?」

「えーと。できればマフラーが欲しいけど・・・」

僕のスポーツスターにはDLIVEのチタンマフラーが付いています。

「あー、マフラーですよね。ただ、さっきもお伝えした通り、フレームに押されてエキパイがちょっと変形しているんですよね。フレームが邪魔して外せないかも・・・」

そうだった。

バイクは左に転倒したので、右出しの2in1であるDLIVEのマフラーは一見無傷のように見えましたが、実は曲がったフレームがエキパイに当たって凹んでいるとのこと。

仮に脱着できたとしても、エキパイが凹んだマフラーが果たして売れるものか。もし売れても曲がっていて取り付け出来なかったりすると、後々購入者ともめるかもしれません。

チタンだから修正もできないだろうし。

というわけで、マフラーは諦めることにしました。

「エアクリーナーはどうですかね?」

「ああ、S&Sのね。これもキレイなままですからいいんじゃないですか。持って帰ってもらって。」

エアクリーナーも車体右側にあるので無傷です。こちらは交換作業も自分でやったので、ノーマルに戻すのも簡単です。

というわけで、リアサスとエアクリーナーを返してもらうため、後日ノーマルパーツを持って修理センターを訪れることになりました。

フレームの曲がり

後日、手元にあるすべてのノーマルパーツと車検書類を持って、ディーラーの修理センターを尋ねました。

そこは大きな倉庫で、修理を待つバイクが沢山並んでいるところでした。

クルマを停めて近づくと、見慣れた我が愛車が停めてあるのが目にとまりました。

胸が締め付けられるような思いがしました。

事務所へ行って、電話で対応していただいた担当の方にご挨拶し、さっそく作業させていただくことにしました。

追突事故を起こした我がバイクの状態は

その前に、我がバイクの状態について、あらためてご説明いただきました。

右側から見ると、一見 何の問題もなさそうな我が愛車。

でも左側から見るとこの通り。

ハンドルが曲がり、ヒットしたタンクは大きく凹んでいます。クラッチレバーはぐにゃりと曲がっています。

わずかに曲がったフロントフォーク。よく見ると微妙にエンジン側へ曲がっているのが分かります。

そして、これが問題のフレーム。写真で見てもよくわからないですね。

でも実際見るとすぐわかるのですが、フロントのネック部分から下に伸びるダウンチューブが、黄色い線で示したように途中で折れ曲がっています。結果、赤丸の部分でエンジンヘッドに接触していて、緑の丸の部分ではエキパイに当たり、パイプを押しつぶしています。

メカニック氏曰く、

「ここではもう何台もハーレーを修理していますが、こんな風にフレームが曲がってしまったのは殆ど見たことがありません。」

「普通は正面からぶつかると、フロントフォークが簡単に曲がってしまうんですが、逆にフレームにまで影響が及んでいることは殆どありません。」

「結局、倒立フォークで剛性が高い分、加わった力がフォークだけじゃなく、フレームを押し込んでしまって曲がったんでしょうね。」

とのこと。

昔、雑誌のインタビュー記事で、ホンダのエンジニアが

「倒立フォークは剛性が高いですが、市販車の場合は倒立フォークでもフレームより先にフォークが曲がるように設計している。」

と語っていたのを見たことがあります。

我がロードスターの場合、他の正立フォークのスポーツスターと共通のフレームに、剛性の高いフロントフォークを装備しているので、相対的にフォークが強すぎてフレームが曲がってしまったのかもしれんね。

修理センターでパーツと格闘

さて、ではいよいよノーマルパーツへの交換作業を始めます。

交換作業に必要な道具は一通り貸していただけるという話でしたが、一応自分の持っている工具も出来るだけ車に積んで持ってきました。

ところが担当のメカニック氏は、奥からフロントタイヤ用のスタンドとジャッキを持ってくると、我がスポーツスターをジャッキアップしてくれました。(こういうやつです。↓↓↓)

さらに、いくつかのハンドツールを床に並べ

「これで裏からナットを押さえながら、こっちのラチェットでボルトを緩めてください。」と作業方法の説明までしてくれました。

まるであらかじめ材料と道具をそろえて並べてくれている料理教室の生徒みたいな状態です。

店の敷地の隅っこで勝手に作業しとけ、と言われることを覚悟してきただけに、正直その対応にビックリ。本当にありがたかったです。

しかも作業中は僕に付きっきり。

「もうちょっとジャッキを下げて、ボルトが抜けるように位置を合わせた方がいいですよ。」

などと適宜アドバイスをくれます。

僕はといえば、慣れぬ作業にあたふた。バイクのリアサス交換は自分でも何度かやったことはあるのですが、このバイクでは初めて。しかもプロの目の前で作業するとなると、なんだか妙に緊張します。

なんとかオーリンズのリアサスを抜き取りました。

リアサスはこけた左側にも付いていましたが、幸いサドルバッグサポートを付けていたために無傷ですみました。

今度はノーマルのサスペンションを取り付けます。

「今度もジャッキで高さを調整して、無理な力がボルトにかからないようにして入れてください。ノーマルとオーリンズでは長さが違うので、再度高さを調整しないと。下手にやるとボルト穴が削れます。」

・・・ううう。簡単な作業のハズですが、妙にプレッシャーを感じます。

ここで僕は更に厚かましいお願いをすることにしました。

「すいません。あのー。これ、工賃をお支払いするので、ノーマルサスを取り付けてもらえませんか?」

「え?ここまでやったのに?」(そりゃそうです。あとはボルトを締めるだけ。)

「いや、僕は手放す側なので、どうなってもいいんですけど、ヘタな作業でノーマルサスを傷つけてしまうと申し訳ないなと思って。」

「なるほど。・・・う~ん。じゃあ、スイマセンが工賃として1000円だけ下さい。それで取り付けしますよ。」

まあ1000円というのは、1000円もらってもしょうがないんでしょうけれど、一応タダでやるわけにはいかない、という意味なんでしょう。

「もちろんお支払いします。」

ということで、リアサスの取り付けはプロに任せることにし、ぼくはエアクリーナーの交換作業に移りました。

こちらはつい先日自分でやったばかりの作業。特に問題もなくサクサクと終わりました。

こうして無事、オーリンズのリアサスとs&sのエアクリーナーを引き取ることができました。

Good by my Harley Good by my Sportster

作業を終え、次は事務手続き。車検証と自賠責保険証を渡し、譲渡書類にサインをします。

そしてその場で10万円を受け取り、取引完了となりました。

手続き後、メカニック氏としばし談笑。

ハーレーの話やバイク業界の話などでしばし盛り上がりました。

本当にいろいろと親身になって相談に乗ってくれたメカニック氏に感謝々々です。

***

そして別れの時。

メカニック氏にあらためてお礼を言い、修理センターを後にしました。

去り際、あらためて見た我がロードスター。

いや、ほんとうにかっこよく、本当に最高のバイクでした。

6年間ほんとうにありがとう。そして、潰しちゃってごめん。

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コメント

  1. maruse より:

    作業お疲れさまでした。自分もロードスターに乗っていますのでいつも楽しく拝見しておりました。愛車との別れは辛いでしょうが何はともあれ御自身の身体が無事だった事が1番の救いではないでしょうか。事故を起こした時バイクの事が気になったのと同じ思いをバイクも思っていたかもしれません【オーナーが無事でヨカッタ】と。
    自分も昔15年所有していたバイクを手放す時、悲しくてローダーに積まれ去って行く愛車を見えなくなるまで泣きながら見送った事があります。
    ロードスターに乗って4年になりますが良いバイクですよね(^▽^)/

    • kento-yoshida より:

      maruseさん
      温かいコメントありがとうございます。
      そうですね。ほんと、体が無事で良かったと後になって思いました。
      ハーレーって長く乗り継がれていくものなので、
      今となっては貴重な空冷ハーレーを一台潰してしまったというのは非常に申し訳ない気持ちです。
      あまりバイクを擬人化して考えたりしない方なのですが、このバイクとはたった6年しか乗っていないのに、
      良くも悪くもとても濃い付き合いだったなあ、と思います。
      ご自身のロードスター、どうか大切に乗り続けてくださいね。
      ありがとうございました。

  2. コタロウ より:

    いつもブログを拝見させて頂いております。
    (たしかFP3関連の記事を探していた時に、こちらのブログを初めて訪問した記憶があります)
    今回の事故と愛車を手放す状況、大変つらいと思います。心中お察しします。
    それにしても怪我が無くてなりよりですね。
    今は難しいかもしれませんが、ぜひまたハーレーに戻ってきてください。

    • kento-yoshida より:

      コタロウさん
      いつもブログを見ていただき、ありがとうございます。またコメントありがとうございます。
      そうですね、怪我がなかったのは幸いでした。
      ちょうど空冷スポーツスターが終了し、この貴重な空冷Vツインを10年20年と乗り続けていこうと思っていた矢先だったので、自分でも残念です。
      またいつか乗れるといいなあ、と思っています。
      これからも引き続きよろしくお願いします。

  3. ところ より:

    バイク乗りとして、またスポスタを愛するものとして、ここ数回の記事を心を痛めながら拝読いたしました。
    これまでもバイクやツーリングへの向かい方というか感じ方に共感しながら楽しんできました。
    傷心の只中とは思いますが、バイクライフへのご復帰とブログの新展開が始まることを祈念して止みません。

    • kento-yoshida より:

      ところさん
      はじめまして。コメントありがとうございます。
      当サイトを楽しんでいただきありがとうございます。(「共感」と書いていただき大変うれしいです。)
      今まさにハーレーロス、バイクロスの真っ最中です。日々に張り合いがないです。
      少し時間がかかっても、何らかの形でバイク乗りに復帰したいとは思っています。引き続きお付き合いいただければ幸いです。

  4. 辰蔵 より:

    Yoshidaさん フレームが曲がってたんですか!
    私は椿ラインの左のタイトコーナーを曲がった先の右側にある駐車場に入ろうと止まっていた車に追突したことがあります。
    私のは、883Rで正立フォークだったので、インナーチューブを交換するだけ(それでもなんやかんやで20万円くらい掛かりましたけど)だったのですが、倒立だと、フレームが曲がっていたかも知れませんね。
    排気量は違えど、同じスポというところで色々と参考にさせてもらってたところが大きいブログだけに、今後の展開(車種選定など)が気になります。
    またスポなら嬉しいですが…
    稲フェスで会いたいなぁとも、思ってます。
    今後も引き続き読ませていただきます。

    • kento-yoshida より:

      辰蔵さん
      はい。ぱっと見は気づきにくいレベルですが、間違いなく曲がっておりました。
      あの場所が曲がるという事は、一番重要なステムヘッドチューブの部分が曲がっている可能性が高く、完全な形にするのは難しいらしいです。
      今後このサイトでどんな情報を発信できるかわかりませんが、ほそぼそ続けていきますのでよろしくお願いします。

  5. Masa72 より:

    はじめまして。XL1200Vに乗っている者です。たまたま昨晩ブログを拝見し、しかもたまたまごく最近ロードスターを手放すことになった、と知りコメントさせて頂きました。

    以前ディーラーのメカニックさんと話をしていて、「エンジンガードが付いてると立ちゴケくらいのダメージは軽減できるけど、スピードが乗った状態で転倒するとエンジンガードが支点になってフレームを曲げちゃう」と言う話を聞きました。(いずれの場合も脚は挟まらないんでしょうけどね)
    フォークにせよエンジンガードにせよ、ダメージがどこに抜けるか、なんでしょう。
    もしかすると、被害者さんや、主さんに掛かるダメージを、ロードスターが吸収してくれたのかも知れませんね。
    「大事にしてくれてありがとう」って

    バイクは危険が付き物なので、私は気軽に人に勧めないようにしていますが、主さんにはこんなかたちでバイクライフを諦めて欲しくないなー…、と思いました、個人的に。

    またちょくちょくブログ見にきますね^ ^

    • kento-yoshida より:

      Masa72さん はじめまして。ヨシダケントと申します。
      コメントありがとうございます。
      そうですね。スピードがさほど出てなかったとはいえ、結局ほぼ無傷ですみましたから。
      飛ばさなくても楽しいスポーツスターだからこそだったのかもしれません。
      ぜひまたバイク乗りに復帰したい・・・と思ってはいるのですが、いろいろと障壁が。
      でも懲りずにまたブログ覗きに来てください。よろしくお願いします。

  6. あんぷ より:

    はじめまして。

    当方も2016年式のスポスタに乗っており、購入以来、車両カスタムや整備の際にはこちらをちょこちょこ拝見させて頂いておりました。
    今回の事故の件、非常に残念でしたが、怪我が無いことが、本当に何よりでした…。

    今は愛車のロスでお辛い状況とは思いますが、心と身体が落ち着いて、またバイクに乗れる日が来ることを願っております…。

    • kento-yoshida より:

      あんぷさん
      はじめまして。ヨシダです。
      コメントありがとうございます。
      普段あまりコメントを頂くことがすくない当ブログなのですが、事故以来、沢山の皆さんから励ましのお言葉を頂き、とてもありがたく思っています。
      事故を反省しつつ、またバイクに乗りたいという気持ちではいるのですが、、、、なかなか簡単ではなさそうです。
      ともあれ、スポーツスターの情報は発信できないかもしれませんが、ブログは続けますのでよかったらこれからもお付き合いください。

  7. ゆずりん より:

    はじめまして。
    私もロードスター乗りですが、今年の、一月に転倒してしまいました。右から転倒してタンクが、凹みハンドルも曲がり、スイッチボックスとグリップヒーターがもげてしまいました。幸い体は打撲だけですみました。しかし、修理に80万かかると言われてしまいました。大半がタンク代金だったのでそれ以外で最低限の修理をして20万でなんとか乗れるようにはなりました。なんで、お気持ちが身にしみてわかります。今迄も陰ながら応援、拝読していましたが、新たなバイク人生が始まることを切に願っています。

    • kento-yoshida より:

      ゆずりんさん
      はじめまして。コメントありがとうございます。
      転倒、ご愁傷様です。そうですか、やっぱり修理代もとんでもなくかかるんですね。もともとハーレーの純正部品は高いですが、この円高で更に値上がってるみたいですね。
      でも修理されて乗り続けられているとのこと。是非大事に乗り続けて上げてください。