今回はまったく個人的な思いをつづった記事です。
Bandit1200の生産終了が発表される
9月からの生産車に対して適用されるという新しい排ガス規制の影響で、今年多くのバイクがラインナップから消えていこうとしている。
我思い出のバイク、スズキ バンディットシリーズもそのひとつ。僕は既にバンディットを降りてしまったけれど、この思い出深いバイクの名前が消えてしまうのは本当に淋しい。
僕のバイク遍歴の中でも最も長く乗り、最も思い出深いバイク、バンディット。その思い出を振り替えってみたい。
バンディット400にひとめぼれ
最初のBandit(バンディット400)は1989年に誕生した。レーサーレプリカブームが行くところまでいってしまい、そのアンチテーゼとして登場したカワサキのZEPHARが爆発的なヒットを記録していた。
僕も当時、レプリカ一辺倒のメーカーラインナップには辟易していたが、ZEPHARについては「なんでこんなカッコ悪いバイクが売れるんだろう」と思っていた。(特に初期型はカッコ悪かったと思う。)
そんな時、スズキから発売されたのがBandit400だった。
空冷エンジン、二本サス、アップハンドルと懐古主義的なZEPHARに対し、バンディットは水冷エンジン、モノサス、セパレートハンドルと、走りを犠牲にしないパッケージ。
デザインは直線的な構成を見せるフレーム、ボリュームあるタンク&シートカウルに対して絞られたサイドカバー、コンパクトな水冷ながら、空冷的なフィンを持つエンジンなど、どこかイタリアンバイクに通ずるようなスタイルが目をひいた。
「カッコいいなあ~」
一目惚れしたものの、そのとき既に大型免許を持っていた僕は購入には至らなかった。
「これの大型が出たらなあ~」
ほどなくバンディットは大人気車となり、それをうけて250ccモデルも発売された。
250ccもやはり大人気車に。そして雑誌には、近々ナナハンモデルが出るらしい?という憶測記事がまことしやかに書かれていた。
バンディット!? GSF1200が発売
その後も待てど暮らせど大型のバンディットは発売されず、僕はあきらめて別のバイク (カタナ1100) を買い、バンディットの事などすっかり忘れていた (400&250は引き続き販売されていたが)。
そんなある日、雑誌にあるバイクの写真が載っていた。その1200ccのネイキッドバイクはスズキの輸出専用モデルだったが、車名は「Bandit1200」と紹介されていた。
「バ、バンディット1200!!」
スズキ独自の油冷エンジンを積んだそのバイクは、鉄のパイプフレームにモノサス、丸目のヘッドライトと確かにBanditの流れを汲んだバイクだったが、ハンドルはアップハンドルでフレームは400&250の直線的なものとはちがい、ダブルクレードル。全体はよく言えばコンパクト。悪く言うと寸詰まりな感じ。まるで前後から押されて曲がってしまったかのようにフレームは曲がり、リアシートは妙に反りあがって見えた。
「なんだこれは?これがバンディット!?」
・・・いや、これは外国人向けの輸出モデル。日本国内には違うスタイルでナナハンが出てくるに違いない。
そう理解した僕は、きっと国内版のナナハンが出てくるんだと信じ、そうなったら買い換えようと、およそ5年越しの恋を再び燃え上がらせていた。
ところが、Bandit1200は海外モデルそのままのデザインで、「GSF1200」という名前で国内発売されたのだった。
僕は大いにがっかりした。こんなのバンディットじゃない!(BanditじゃなくてGSFなのだから当然なのだが)と嘆いた。
(GSFファンの皆さん、申し訳ありません。)
つ、ついに誕生!Bandit1200
再びスズキにフラれた僕は、あきらめて違うバイク(XJR1200)を購入し、バンディットの事などすっかり忘れていた (400はBandit400Vとなり、引き続き販売されていたが) 。
そんなある日、雑誌にあるバイクの写真が載っていた。その1200ccのネイキッドバイクはスズキの新車で、発売前のスクープ記事だったが、車名は「Bandit1200」と紹介されていた。
「バ、バンディットぉ~!1200!!」
スズキ独自の油冷エンジンを積んだそのバイクは、鉄のパイプフレームにモノサス、丸目のヘッドライトと確かにBanditの流れを汲んだバイクだった。ハンドルこそアップハンドルだったが、フレームは400&250を思わせる直線的なもの。(実はダブルクレードルだが。)そう、これぞ正真正銘、大型のバンディットだった。
僕は実車を見る事もなく、バイク屋へ行ってこの「Bnaidt1200」を注文した。ほどなく納車になり、バイク屋の店頭で初めて見たBandit1200は、まさしく長年待ち焦がれたバンディットだった。実にBandit400が登場してから11年越しの恋が実ったのであった。
同じ思いの人が・・・
ちょうどこの頃、例によってバイク雑誌 (今はなき「GOGGLE」誌) を眺めていると、ひとつのコラム記事が目に留まった。その記事を読んで僕はびっくり!
僕とおんなじ、というか、まるで ”僕自身が書いたんじゃないか!?”と、思えるような文章だったからだ。
「真っ赤なバンディット1200でいざ勝負!」と題されたその文章は、、、
・バンディット400に魅せられた事
・ナナハンの登場を心待ちにしていた事
・待ちきれず別のバイクを買った事 (しかもカタナ)
・登場したGSF1200に失望した事
・Bandit1200の登場に、ようやく納得した事
など、まるで僕と同じような事を考え、熱い思いをつづっているのだった。
唯一違うのは、即購入した僕と違い、国内販売されたバンディット1200の地味なカラーリングを嘆き、真っ赤なバンディット1200の登場を望む、というところで文章を終えている点ぐらいだろう。(僕はシルバーを選び、派手にペイントしてしまったけれど。)
想像するに、当時、僕やこのコラムの筆者のような思いをしていた人がきっと大勢いたのだろうと思う。それだけBanditのデザインは個性的で魅力があったのだ。
満を持して登場したBandit1200は・・・
じゃあ、満を持して登場したBandit1200は大人気車になったのか?と言えば、残念ながらそれほどではなかった、と言わざるを得ない。(ヨーロッパでは大人気だったそうだが。)
理由はいろいろあると思うが、僕は「GSF1200」という名前を継承しなかった事、そしてスズキがノンカウルの「Bandit1200」ではなく、カウル付きの「Bandit1200S」の方を前面に押し出したことが理由だったと思っている。
そのため、Bandit1200は正真正銘GSF1200の後継車だったにもかかわらず、どちらかというと別のツアラーバイクのように扱われ、当時雑誌でよく載っていた、各社ノンカウルバイクの比較記事には、ほとんど登場しなかった。(イナズマ1200が載っていたりした。)
それが故に今一つ人気が盛り上がらなかったのだと思う。
その後、僕はBandi1200オーナーズクラブにも参加。マイナーバイクにもかかわらず大勢のオーナー仲間と友達になり、いろいろと楽しい思いをさせてもらった。
雑誌に載せてもらったこともあったし、スズキミーティングにも参加した。
ペイントをし、いろいろカスタムもしたが、見た目だけでなく、乗っても実に楽しいバイクだった。
結局16年間乗り続け、約8万キロを走破。さすがにガタが来はじめ、オーバーホールをするかどうかで悩んだ結果、泣く泣く手放してしまった。
コンパクトでいてパワフル。シンプルで軽量。空冷(油冷)で味わいがありつつも、決して遅くない。こんなバイクは残念ながらもう出てこないだろうなあ~、と思うと、やっぱり手放さず手元においておくべきだったかなあ~とちょっと後悔している。
ありがとうBandit。さようならバンディット。
コメント
最近、このサイトを見つけ、楽しい文面に魅了されています。
そして、僕と同じ想いの人がいた!と思った文面だったのでコメントさせてもらいました。
初期型のバンディットにとても魅せられたこと。でもこの先は違って、ちょっと違うと感じながらもGSFに手を出し、でも思いの外良いバイクで12年も付き合い、そして丸目のバンディット1250に乗り換え、今も乗り続け11年が経ちました。
今もバンディット1250にゾッコンでまだまだ乗り続けるつもりです。
これからも楽しいサイトを作り続けてください。また遊びにきます。
TAKUMIさん。はじめまして。ヨシダです。
コメントありがとうございます。バンディットオーナーさんからのコメント、うれしいです。
そうですか。やっぱりGSFを「なんか違うなあ」と思った人は多かったんですね。(笑) でもGSFは本当にいいバイクみたいで、これ以外考えられない!というオーナーさんが沢山いました。見慣れてくると武骨でカッコイイんですよね。
丸目のBanit1250ってあまり見かけませんが、きっといいバイクなんでしょうね。もっと売れてもいいと思うのですが。大切に乗ってあげてください。
こんなサイトですが、よかったらぜひまた覗きに来てください。よろしくお願いします。