先日、ウインカースイッチ(ターンシグナルエクスチェンジャー)の交換作業をしようとして取付部を破損させてしまった僕のロードスター(XL1200CX)。
修理を依頼すべく購入ディーラーへ持ち込むも、あまりに高額なパーツ代(¥52900+工賃)に二の足を踏み、一旦修理を保留して引き上げてきました。
さて、どうするか。
①はディーラーのサービスマン氏にも相談してみたのですが、「まだBCMモデルが出て間が無いので、中古パーツは少ないと思いますね・・・。」との事。
近年のハーレー(XLは’14年から)は「BCM」( ボディコントロールモジュール)というコンピューター制御による電装系のコントロールユニットが採用されていて、それ以前のモデルとは電装系パーツが大きく異なるらしいです。
ヤフオクなどを覗いてみても、ハンドルスイッチは時々出品されているものの、外した元のバイクの年式などが明確になっていないものが多く、なっていても古い年式のものがほとんどです。一か八かで買ってみて適合する可能性は低いと思われます。
仮に中古パーツが見つかったとしても、ディーラーに交換をお願いするのは無理でしょう。
では②はどうか。
正直なところ、バイクを一旦引き取ってきたのはこの②を試してみたかったからです。
僕の頭の中には一つの勝算(?)がありました。それは「プラリペア」を使って修理する事です。
「プラリペア」はプラスチックパーツを修復するための補修キットで、知る人ぞ知る商品です。アクリル樹脂の粉を溶剤で溶かし、その樹脂で壊れたパーツ同士の隙間を埋める事で強固にパーツ同士を接着する事が出来ます。
僕自身使ってみた事はなかったのですが、バイクの修理には欠かせない商品として、数十年前からその存在は知っていました。
ネットで調べてみると、(もっと高いイメージがあったのですが)意外と価格も安く、使用した人の評判も上々の様です。
プラリペアを購入
早速ネットで「プラリペア」を購入しました。
幾つかサイズがありますが、今回はごく小さなパーツの補修なのでもっとも量の少ないキットです。また、念のため補強用につかうガラスクロスも同時に購入しました。
使用方法は決して難しくはありませんが、いくつかコツもあります。製品パッケージにも使用説明が載っていますが、下記HPでより詳しく解説されているので、事前に熟読しておくことをお勧めします。
ちゃんとくっつければ相当な強度を期待できるプラリペア、なのですが、今回使用するにあたっては不安が2つありました。
1.この寒い時期に屋外での作業になるため、外気温が寒いなか、ちゃんと固まるのか。
説明書によるとプラリペアは25℃の室温なら5分で硬化するらしいのですが、最近の気温は日中でも10度に届くかどうか。この温度で果たしてちゃんと固まるかどうか。ちょっと不安です。
2.今回の壊れたパーツがプラリペアで補修できる種類のプラスチックなのかどうか。
あらゆるプラスチックを強固に固めるプラリペアですが、すべての種類のプラスチックを固められるわけではありません。溶剤でアクリルの粉とパーツを融かして固める事で接着力を発揮するので、溶剤で溶けないプラスチックは接着できません。
バイクパーツに良く使われているABS樹脂やPC(ポリカーボネイト)などは大丈夫ですが、PE(ポリエチレン)・PP(ポリプロピレン)・PTFE(フッ素樹脂)・PA(ナイロン)・エンプラ系樹脂等は接着できません。
今回壊れたパーツがどういう材質なのかは判らないので、これは実際にやってみるしかありません。
作業は難航
週末を待って早速作業開始。心配した気温は10℃を超えているようで、ここ最近としては比較的暖かい感じです。
T25のトルクスでカバーを外し、割れたパーツのかけらを元の位置にあてがってみます。当然ながらピッタリ。
普通の接着剤ならこのまま断面に接着剤を塗布して貼り付けるのですが、プラリペアは溶かしたアクリル粉が隙間を埋める事で接着するので、接着面に沢山、溶けたアクリル樹脂が溜まるよう、断面を斜めに削って、接合面に溝を作ります。
削りすぎてパーツの形が変わらないように、やすりで少しづつ慎重に削っていきます。
パーツをつなげた形で落ちないよう、養生テープで固定しますが、非常に小さいパーツなので、とっても作業しづらい。ピンセットを駆使して作業しますが、老眼が進んできたオヤジには非常に厳しい作業です。
何とか固定しました。
次はいよいよプラリペアを充填していきます。
これがプラリペアのセットです。ビンに入った溶剤を右端の容器にスポイト(写っていませんが付属)で移し、針を付けて使います。真ん中の丸い容器にはアクリルの粉末が入っています。
容器を押して針先から溶剤のしずくを落とします。
この針、穴は先端ではなく、針の中ほどの腹に開いていて、しずくは針を伝わって先端から落ちます。そのため、先端に粉が付いても詰まりにくくなっています。(ここが特許らしい。)
しずくが落ちるとアクリルの粉が溶けて小さな団子状になるので、これを針先ですくってパーツの接続部に充填していきます。
ところが、今回は非常に小さいパーツなので、作った溝に対して団子が大きすぎ、充填、という感じになりません。しょうがないので溝の上に団子を並べ、そこに溶剤を垂らして溶かしていきます。
出来るだけ厚く、均一になるように慣らします。
はっきり言って表面はデコボコですが、まあ溝はカバーできたので良しとします。どうせ見えない部分だし。ちゃんと溶剤がパーツを融かしてくれていれば、見た目は悪くてもガッチリ固まるはずです。
「プラリペア」にはこのアクリルの粉の色違いの商品が何種類か売っています。普通は目立たないようにクリアか、パーツと同色(この場合は黒)を選ぶのですが、今回は見えない部分だからと、たまたま一番安く売っていたホワイトを選びました。けれど今回に限ってはホワイトで正解だったと思います。クリアやブラックだと、ちゃんと充填できたかどうかが分かり辛かったでしょう。
充填に失敗したアクリル粉の塊を触ってみると、もうすでにカチコチンでした。今日はここ数日では暖かい日で、なんとか化学反応が進む気温だったんだろうと思います。
ターンシグナルエキスパンダー
ちなみに、これがノーマルとオプションパーツの比較です。ノーマルの1.4倍位の長さでしょうか。
上から見るとこんな感じ。
ここでふと疑問が。これ、どちらが右でどちらが左用なんだろう??
一瞬迷いましたが、よ~く観察してみると、上下で穴の大きさが違う事に気が付きました。
ひとまず作業は終わり。プラリペアは5分ほどで硬化(25℃の場合)するのですが、気温が低いのと、完全硬化するまで触りたくないので一日放置です。
少しでも化学反応が促進するよう、少しでも暖かくするべく、使い捨てカイロを巻いておきました。(まあ気休めに過ぎませんが。)
無事固まる事を祈ります!!
失敗・・・(ToT)
まる一昼夜置き、今日、固まり具合を確認。恐る恐る養生テープを剥がしてみます。
パッと見たところは固まっているように見えます。
ちゃんと固まっているかどうか不安ですが、とりあえず進めます。
はみ出した白い樹脂部分をやすりで慎重に削っていきます。
ところが、この時点で何やら嫌な感じが・・・・。
白い樹脂がガリガリと削れるハズなのに、なぜかペリペリと剥がれ落ちます。
とにかく少しでも抵抗を少なくしようと、押し込む部品の穴の周りにシリコングリスを塗り・・・・
慎重に押し込んでいったのですが・・・
パキッ!
という嫌な音が。
プラリペアで付けた白い部分は、全く溶着していなかったようで、ポロっと剥がれ落ちました。真ん中にはヤスリで削った溝の形がそのまま再現されています。
いよいよ万事休す・・・
残念ながら、今回破損したパーツの材質は、プラリペアでは溶着出来ない材質だったようです。(エンジニアプラスチックかも・・・。)
試しに折れたパーツの破片に溶剤を塗ってみましたが、全く溶ける様子はありませんでした。(少しでも溶ける材質なら溶着可能。事前に試せば結果は判っていたのですが・・・。)
さあ、困りました。いよいよ万事休す、です。(涙)
コメント
お疲れ様です><
何故か人事に思えず拝見しましたが、思わぬ落とし穴があるものですね。
同じ立場であれば、同様にプラリペアを使っていたと思います。
どうしても補修するなら①今回作ったプラリペアを補強材として瞬間接着剤等で母材にくっつける②自分も知りませんでしたが「ボンディック」なるものを見つけました。
容量を考えるとちょっと高価ですね。
ダメもとで①を、保険で②なんてどうでしょ?
deadcawさん、こんばんは。コメントありがとうございます!
気にかけていただけて嬉しいです。
ボンディックですか。ググって見ました。紫外線硬化樹脂なんですね。そういうものがあるのは知っていましたが、この商品は知りませんでした。価格は許容範囲ですが(何しろ直せなければ修理費6.5万ですから。)、接合強度がどんなものなのか、、、。
もうちょっと情報を集めて見ようかなあ。
情報ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。