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バイク乗りにオススメの一冊「さいはての彼女」(原田マハ)

巣ごもり中のバイク乗りにオススメの一冊

さいはての彼女 (角川文庫)

日本中が巣ごもりしている今日この頃。

先日出会った一冊が、すんごく良かったのでご紹介します。

原田マハさんの「さいはての彼女」です。

表題の「さいはての彼女」ほか、全4つの短編小説集です。

人生につまづいた女性がハーレーにのる少女と出会い・・・

4つの物語のうち、バイクが登場するのは最初と最後の2話。

「さいはての彼女」

仕事に、人間関係につまづいた主人公のキャリアウーマンが、意図せず行きついた旅先(女満別)でハーレーでツーリングする少女と偶然出会い、ともに旅する中で自分を取り戻していく・・・という話です。

こう書くと「よくありがちなプロット」に思えるでしょうが、

短い話の中に、我々ライダーならだれもが知っている疾走感や、バイクで旅することの楽しさが詰め込まれていて、読んでいてワクワクします。

旅先での人との出会い、美味しいものとの出会い、思いがけない風景との出会い。

そうそう、そうなんだよなあ。だからバイク旅ってやめられないんだよなあ~。

そう共感できる話です。

「風を止めないで」

第一話「さいはての彼女」で登場したハーレーに乗る女性、なぎの母親の視点で語られる話。

娘の留守中に娘を訪ねてきた紳士となぜか不思議な縁を感じた母親は、娘の働くバイクショップを案内。店主とも意気投合した紳士に亡き夫の面影を重ねてしまい・・・

こう書くとなんだか昼メロみたいですが、描かれているのはバイク乗り同士、ハーレー乗り同士の間に芽生える不思議な連帯感のような心地いい空気感です。

初対面なのに、バイク好き同士というだけで一気に距離が縮まり、仲間になってしまうあの感覚が、男くささやオタクっぽさではなく、さわやかで温かい感覚として描かれています。

バイク小説はたくさんありますが・・・

バイクを題材にした小説はたくさんありますが、純粋に小説として楽しめるものは必ずしも多くはない気がします。

” 『バイク乗りあるある』が書かれているけれど、バイクに乗らない人にとっては面白くないかも ” という小説も多いなか、これは、きっとバイク乗りならずとも楽しめるであろう、小説として十分に面白いものになっています。

しかもバイク乗りたちが感じているバイクのすばらしさが、バイクに乗らない人にも伝わるんじゃないか、と思えるほどリアルに描かれています。

原田マハさんって・・・

原田マハさんという小説家の小説は初めて読みました・・・と思ってプロフィールを調べていたら、「カフーを待ちわびて」という小説を書いた人だったことを知り、初めてではなかったことがわかりました。

さらに、お兄さんが原田宗典さんという小説家であることを知って驚きました。

原田宗典さんもバイクが登場する小説を時々書いていて、とても好きな作家さんだったからです。

なるほどなあ~と妙に納得。

兄弟ともきっとバイク好きなんだろうなあ、と思ってプロフィールなんかを読んでみたのですが、どこにもバイクのことは書かれていませんでした。

(ところで、原田マハさん自身が書いているプロフィールが秀逸です。やっぱりこういう面白い話を生み出せる人の人生って、平々凡々としたものじゃないんだなあ~。読んで面白いプロフィールってはじめてみた気がします。https://haradamaha.com/profile )

これを機に、彼女のほかの小説も読んでみようと思います。

バイクに乗れない今だからこそ・・・

あと二つの話「旅をあきらめた友と、その母への手紙」「冬空のクレーン」も秀逸です。

どの話も読後、とっても清々しい気分になれます。

バイク乗りのあなたも、そうでない方も、ぜひ一度騙されたと思って(?)読んでみてください。なに、騙されてもたった572円です(笑)。(kidle版なら382円)

ただし、読むとバイクに乗って旅に出かけたくなります。

そこが今はちょっと残念なところかもしれませんね。

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