ハーレーの超豪華な車載工具はどこへ?
車載工具。バイクを買うとついてくる工具セットですが、国産車についてくる車載工具は、数も品質も最低限の工具しかついてきません。
持ち運び用にコンパクトに収めるため、というのもあるでしょうが、メーカーはとにくコストを抑えたいんだろうと思います。(車載工具の良し悪しでバイクを選ぶ人もいないでしょうから。)
ところが、さすがハーレーダビッドソンは違います。
昔から『ハーレーには車載工具とは思えないほどの立派な工具セットがついてくる』という話は聞いていました。
実際はこんなのが付いてきます。↓↓↓
” こんなのバイクに積み込めないんじゃないの? ”というふうにも思いますが、実に立派な工具セットです。
(ちなみにスポーツスターの場合、車載工具どころか車検証すら載せるスペースはありません。)
当然、僕もスポーツスター(XL1200CX ロードスター)を買った時は、こんな工具セットがもらえるものだと思っていました。
ところが納車の際、ディーラーで手渡されたのはコレ。↓↓↓
なんだこれ?
よく言えば、”多様な工具が非常にコンパクトにまとまったマルチツール”。
悪く言えば ”単なるオモチャ” です。
え?これがあのハーレーの車載工具?? と驚きました。
それでも ” そうか、これは車載用で、これとは別に立派な工具セットももらえるんだ。”
なんて思っていましたが、結局手渡された工具はこれだけでした。
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調べたところによると、どうやら2014年か2015年あたりから、ハーレーの車載工具はこのオモチャのような工具に変わったようです。
さらに最近(2018年から?)は車載工具そのものがなくなったらしい・・・
ハーレーの工具セットはちょっと(かなり)楽しみにしていたので、なんだかガッカリでした。
果たして、車載工具は必要なのか?
ところで、はたして現代のバイクにおいて車載工具は必要なものなのでしょうか?
車載工具はどんどん簡素になり、そもそも付いていないバイクも増えています。メーカーが車載工具を重視していないのは明らかです。
そもそも昔のバイクとちがい、今のバイクはそうそう出先で壊れたりしません。
出先でメンテ、というと、なんとなくプラグをチェック、みたいなイメージがあります(僕だけ?)が、最近のプラグはとっても長寿命になり、1万kmぐらい点検しなくてもそうそう問題は起きません。
チェーンも丈夫で延びないので、日本一周でもしない限り出先でチェーン調整する必要はありません。
ウインカーやテールライトはもちろん、バイクよってはヘッドライトさえLEDなので、めったなことで玉切れを起こすこともありません。
つまり、転倒でもしない限り、そうそう出先でトラブルに遭うことはない、ということ。
それに、タンクやエアクリーナーを外さないとプラグ交換さえもできないバイクが多く、出先でちょっとプラグをチェック、というのも難しいですし、インジェクションやコンピューターが壊れたら、たとえ工具があったとしてもお手上げです。
そう考えれば、車載工具を持っていなくても問題はないし、たとえ車載工具を持っていたところでどうしょうもない、という考えも一理あるかと思います。
ただ、バイクの場合、常に転倒の危険がありますし、振動によりボルトが緩むこともあります。さらにはパンクの可能性も。
そう考えれば、やはりなんらかの工具はもっておいた方が安心ですよね。
僕の車載工具歴は・・・
僕の場合、国産バイクに乗っていたときは何も考えず、バイクについてきた車載工具をそのまま使っていました。(・・・というか、ただ積みっぱなしにしていただけ。)
それでも、バイクに乗り始めたころは、多少の追加工具とパンク修理キットなんかを持ち歩いていたような気がします。
ただ、新車&ノーマルバイクに乗っている限り、そうそうメカトラブルなんて起きません。
パンクは長いバイクライフの中で、一度だけありました。
その時は仲間とツーリング中で、信号待ちで後ろに止まった仲間から
” お前のバイク、タイヤになんか刺さってるぞ。”
と言われてはじめてリアタイヤにネジが刺さっていることに気づきました。
幸い、その信号からわずか50mほど先にバイク屋があったので、飛び込んで修理してもらい、そのままツーリングを続けることが出来ました。
また、これも仲間とのツーリング中の話。
シフトペダルをかき上げよう、と思った瞬間、足先が ”スカッ” と空を切りました。
” あれ?あれ? なんだあ?”
あわててバイクを路肩に停め、シフトペダルを見るとシフトロッドが緩んで抜け、シフトペダルがだらりと垂れ下がっていました。
この時も同行していた友人が立派な工具セットを持っていたので、それを借りてシフトロッドを締め直し、無事ツーリングを続ける事が出来ました。
でも数十年バイクに乗っていても、出先でのトラブルはその程度です。
一方、転倒も経験しましたが、自走できなくなった経験はありません。まあたまたまツイていただけなんでしょうけど。
なので、次第に(車載工具以外の)工具を持ち歩かなくなり、パンク修理キットもいつの間にか失くしてしまいました。
ハーレー乗りになって考え直す
ところがハーレー乗りになってから、たびたびいろんなトラブルに見舞われるようになりました。
オルタネーターやクラッチスイッチが壊れたり、振動でベルトガードが折れたり、ブレーキフルードが漏れてきたり(これは自分が悪いのですが・・・)。
これらのトラブルは、たとえ工具を持っていたところでどうにもならなかったものもありますが、工具があればもうちょっと何とかなったかも?ということもありました。
しかも、お守り代わりにと持っていた例の車載工具(=オモチャ)は、そういう時に何の役にも立たないこともわかりました。
こりゃ~このバイクに乗り続ける以上、もうちょっとまともな工具を持ち歩かないとマズイかも・・・少なくとも振動で緩んだボルトを締め直せるぐらいの工具は準備すべき。
そう思い直し、あらためて我がハーレー用の車載工具を考えることにしました。
車載工具にはその人のバイクライフが反映される
では、我がハーレースポーツスターに載せる車載工具はどうするか。
一番簡単なのは、「ハーレー用」として売っている車載工具キットを買ってくることでしょう。
幸い、ハーレー用を謳う工具セットはいろいろと販売されています。
例えばコレ↓↓↓
コンパクトですし無駄なものがなくてリーズナブル。まあ質はそれなりでしょうが、使えないことはないでしょう。
でも、面白くない。
僕は自分の車載工具にはあまり関心を示してこなかった一方で、他人の車載工具を見るのは大好きす。何やら工夫した車載工具が紹介されているのを読むとワクワクします。
自宅ガレージにドーンと据えられた巨大な工具箱なんかを見ても、なにも感じません(まあ、羨ましくはあるものの)が、考え抜かれた車載工具は実に興味深い。
限られたスペースに積む工具をどう選ぶのか、どう組み合わせるのか、というのはその人のバイクに対する考え方やメンテナンスの技量、ついてはバイクライフそのものを反映しているといっても過言ではないからです。
とにかくコンパクトに収めるために、珍しい、面白い工具を探してくるというのも、めちゃくちゃ楽しそうです。
人間、なにもかもが自由な時よりも、いろんな制約の中で工夫した方が面白いものが出来る。車載工具の世界はまさにそれだと思います。
というわけで、こんな面白い遊びを放棄する手はありません。
あえて用意された車載工具セットは買わず、自分なりに考えて工具をセットしてみたいと思います。
どういうコンセプトで車載工具を選ぶのか
『コンセプト』というと大仰ですが、要するにどうゆう目的、どういう基準で車載工具を選ぶのか、ということです。
” そんなの出先のトラブルに対応するための工具 ” なんじゃないの?
・・・いや、まあそうなんですけれど
たとえばこんな風に、選ぶ基準はいろいろあるよ、ということです。
例1:準備万全のセット
どんなトラブルにあっても、何が起きても対処できる、準備万端のセット。でっかい工具バッグの中にあらゆる工具を詰め込み、壊れそうなパーツは予備を持っていく。
出先でもメンテしながらツーリングするような旧車の世界ではこれが必要でしょう。
例2:”お守り”工具セット
1の真逆。どうせトラブルなんてそう起きないと思うけど、まあお守り代わりに持っておくか、というセット。例のハーレーのコンパクトな車載ツールも、”お守り”程度のものでしょう。あるいはハーレー乗りに人気の『レザーマン』なんかもそうかもしれません。(あれは意外に実用的な道具らしいですが。)
例3:とにかく軽量コンパクトにこだわったセット
スポーツスターほどではないにせよ、バイクにはそんなに大きな工具セットを乗せるスペースはないのが普通。したがってバイクの車載工具は必然的にコンパクトなものにならざるを得ません。
でもいろんなトラブルの可能性を考えれば、出来るだけ多様な工具を積んでおきたい。
そこでいかにコンパクトな工具を集め、厳選し、どう収めるのか、というところに知恵を絞るようになっていきます。更にそれを突き詰めると、「コンパクトに収められる道具」を探すこと自体が目的になってしまいます。
例3:他力本願工具セット
「コンセプト」といえるかどうかわかりませんが・・・
” 俺、メンテなんかやったこと無いし、メカにも弱いから工具なんかもってても使えないし。” という方もいらっしゃると思います。(僕も大して詳しいわけではありません。)
でも、そんな方でも、車載工具さえ持っておけば、たとえ自分では直せなくても、同行のライダーや、たまたま通りかかった親切な方に、助けてもらえる可能性もあります。
(ちゃんと自分で勉強しろよ!という声が聞こえそうですが。まあ固いことは抜きで。)
特にハーレーの場合、インチ工具が必要ですから、それが無いとバイク屋さんですらお手上げということもあり得ます。
そう考えれば、自分でバイクをいじらない方でも、車載工具はもっておくべきと言えます。
車載する工具の選び方
では実際に車載する工具はどうやって選ぶのか。そこはまさにライダーの経験と知識が試されるといえます。(ちょっとオーバーでしょうか。笑)
1.トラブルを想定しそれに対応できる工具を選ぶ
出先で起こりそうなトラブルをいくつか想定し、それに対応できる工具を選ぶ、という方法です。
トラブルは予測できないからこそトラブル、、、なのですが、ツーリング中に起こりそうなトラブルというのはある程度予測できるものもあります。
・パンク
・転倒による破損(レバーやペダル、ウインカーなど)
・灯火類の玉切れ(ヘッドライト、ウインカー、ブレーキランプなど)
・バッテリー上がり
・各部ボルトの緩み、パーツの脱落。
などなど。
なかにはその車種特有のウイークポイントみたいなものがあって、”いつもここが壊れるんだよなぁ ” という「持病」を持つバイクもあると思います。
それらに対応できる工具を持っておく、予備パーツを持っておく、という方法。
まあ、これで的確な工具を選べるというのは、かなりのベテランでしょうね。
2.過去のメンテ経験から選ぶ
日頃のメンテナンスでよく使う工具を調べておき、それを携帯する、という方法。
出先で修理、といっても、全く触ったことのない箇所を修理するというのは難易度が高いもの。実際に修理できるのは普段メンテナンスで触ったことのある場所だとすると、普段よく使う道具を選んで持ち歩く、というのは理にかなっていると思います。
僕の場合、ハーレー用にデイトナのインチ工具セットを買ったのですが、その工具を使うたびに、その工具が収まる部分に白いマーカーで印をつけています。自分の愛車いじりで必要になる工具を知るためです。
こうすれば、自分のバイクでよく使われているボルトのサイズを知ることができ、持ち歩くべき工具も絞りやすくなります。
3.車載工具を基準に置き換え&拡張する
これがもっとも一般的な方法でしょうね。
純正で付いてくる車載工具はそのバイクでよく使われるサイズのものを選んでいるはず。
ただし、付属の車載工具は往々にして品質がいまいちなので、その車載工具をすこしづつ良質なものに置き換えていく。
さらにはその車載工具に前後のサイズを追加していく、
・・・という方法です。
4.セット例からピックアップして選ぶ
それぞれのバイクの付属工具のほかに、さまざまな工具メーカーから、バイク向きの車載工具のセットが販売されています。
こうしたバイク用車載工具に選ばれている工具の種類やサイズを参考に、自分で工具を選ぶ、という方法です。
特にハーレーの場合、『ハーレー用車載工具セット』といったものが、様々な工具メーカーや販売店などから発売されています。
これらで使われている工具のサイズを調べ、それをまねて工具セットを組む、という方法はかなり効率的な方法だと思います。(一番効率的なのは、そうしたバイク工具セットをそのまま買ってくる事でしょうけれど。笑)
” MY車載工具セット” を考える
それではいよいよ僕なりの車載工具セットを考えることにします。
実は前々からいろいろな構想は考えていたのですが、考えれば考えるほど悩むばかり。しかもハーレー用はインチサイズということもあって案外高価な道具が多く、一通りそろえるとなると結構な金額になってしまいます。
お財布と相談しつつ、あーでもない、こーでもないと悩んでいるとなかなかこれと決められず、いつまでたっても「MY車載工具セット」は実現しないままだったのでした。
そこで、最初から ” 理想の車載工具を作る!” と意気込むのは止め、まずは手持ちの工具を中心に、暫定の工具セットを考えることにしました。
いわば「MY車載工具セット Version 1.0」です。
それを使いながら、必要な工具に入れ替えたり、付け替えたりして、徐々にMYセットを育てていこうと思います。
で、実際に選んだ工具は・・・・
この項、次回に続きます。