「チェーン給油をどうするか」問題が浮上
新たに我が愛車となったKTM 890 DUKE。ハーレーとはまた違った魅力で大いに気に入っているのですが、もちろん気に入らない点もあります。
それがチェーンドライブ。
まあKTMに限らず、世の大半のバイクはチェーン駆動になっていて、ハーレーのようなベルトドライブやモトグッチのようなシャフトドライブはごく一部のバイクに限られます。
でも楽ちんだったんだよなぁ~、ベルトドライブ。
もちろん、チェーンは見た目がカッコイイのですが(もちろんメーカーは見た目のカッコよさでチェーンを採用しているわけじゃないでしょうけど。w)、どうしても定期的な清掃や注油などのメンテナンスが必要になります。
これがなかなか面倒です。
ベルトドライブはこの手間がありません。(一応定期的な張り具合やベルトの損傷のチェックは必要ですが、スポーツスターだと約10万kmはほぼノーメンテです。)
でもこれも愛するバイクのため。久々にチェーンメンテでもするか、と思ったのですが、なんとKTMにはセンタースタンドがありません!!(びっくりするような話じゃないですが・・・)
まあKTMに限らず、最近の大半のスポーツバイクはセンタースタンドを持っていません。
センタースタンドが無いと、チェーンメンテナンスがより一層面倒になります。チェーンに一周ぐるりと注油しようと思うと、すこし注油してはバイクを動かし、また注油しては動かし、を繰り返すことになるからです。
注油ならまだしも、チェーンクリーナーで清掃しようと思うと、クリーナーが下にダラダラと垂れますから、何らかの養生をする必要があります(トレーで受けるとか、新聞紙を敷くとか。)。
すると、すこしクリーナーを掛けてはバイクを動かし、トレーや新聞紙も動かし、またクリーナーを掛けてはバイクを動かし、トレーや新聞紙も動かし、、、もう書いてるだけでも面倒です。
なので、何らかの方法でリアタイヤを回す方法を考えないといけません。
バイクのリアタイヤを回す方法
バイクのリアタイヤを回すにはいくつか方法がありますが、もっとも王道といえるのがメンテナンススタンドを使う方法です。
レースの現場やバイク屋さんではほぼこれですよね。
ただし、
・値段がちょっと高い。
・大きくて、重くて、保管にも場所をとる。
・持ち上げるにはコツがいる。
・失敗するとバイクを倒す可能性がある。
・(万が一の転倒を避けるには)持ち上げるには二人必要。
などの問題があります。
ちょっとハードルが高い感じです。
その他の方法としては、「ローラースタンド」や「簡易型リアスタンド」を使う方法があります。
ローラースタンドはローラーにタイヤを乗せるタイプのスタンドです。サイドスタンドを立てたままでタイヤを回転させる(手で回す)ことが出来るので、チェーンメンテナンスに最適です。
しかもリアタイヤだけでなくフロントタイヤも回せるのでホイール掃除にも便利。大きさも比較的小さく、持ち運びも可能。値段も手ごろです。
「思ったほど軽く回せない」とか「回しているうちにズレてきてタイヤが落ちる」などのレビューも見ますが、まあチェーンメンテぐらいなら十分使えるでしょう。
もう一つが「(簡易的な)リアスタンド」。これはつっかえ棒のような形でスイングアームを持ち上げ、サイドスタンドとこの棒で車体を支えてリアタイヤを浮かせる道具です。
軽量級のバイクだとパンタグラフジャッキで同様に右側のスイングアームを下から持ち上げ、リアタイヤを浮かせたりする方法がありますが(※僕もやりましたがオススメはしません)、それをより簡単に出来るようにしたツールです。
重量級のバイクだとちょっと不安ですが、DUKEはかなり軽いのでこれでも行けそうな気がします。
どれがいいかな?とちょっと悩みましたが、フロントホイールの清掃にも使えそうですし、価格も手ごろでもっとリスクが少なそうなローラースタンドを買おうかな、と思っていました。
メンテナンススタンドの購入を決意する
というわけで、バイク用品店へローラースタンドを買いに行こうと思っていたのですが、バイクを見ながらそれを使用するイメージを頭の中で想像したところ、ちょっと不安になってきました。
これが我が愛車 「KTM 890DUKE」です。
非常にスイングアームが長いのがお分かりでしょうか。この長いスイングアームがトラクションの良さにつながる・・・らしいのですが、ただ長いだけではなく、全体的にかなり太く、しかも中心部分が一層太くなっています。更にほぼ地面と平行です。
さらには、ドリブンスプロケットが大排気量車としては結構小さいです。
スイングアームが長く、太く、リアスプロケットが小さいとどうなるか。
チェーンとスイングアームとの距離がすごく近いのです。
その結果、チェーンにオイルを上から垂らすことが出来る部分が非常に限られてしまいます。
さらに、サイドスタンドで立てた状態だと車体が傾くため、チェーンの位置が更に低くなり、かなり視線を低くしないとチェーンが見えません。
この状態でチェーンをメンテナンスしようとすると、すごく低く屈んで作業することになり、かなり腰が辛いことになりそうな気がします。(腰痛持ちにはつらい)
さらにメンテローラーや簡易型スタンドを使うと、車体はよりサイドスタンド側に傾いた形になりますから、チェーンの位置はより一層低く感じられるようになるはずです。
うーん。これはツライ。(まだ作業してないですけれど。)
こりゃあやっぱりリアタイヤを持ち上げて作業できるようにしないと厳しいな。
リアを持ち上げ、さらに車体をまっすぐにして作業しようとするなら、もうメンテナンススタンドを購入するしかない。
というわけで、思い切ってリアスタンドを買う事にしたのでした。
(いつもながら前振りが長くてすいません。)
どうメンテナンススタンドを選ぶのか?
長らくバイクに乗っていますが、実はメンテナンススタンドを使ったことが一度もありません。ははは。
なので、使い方も分かりませんし、どういうモノを選べばいいかも全くわかりません。
そこでネット等でいろいろ情報を集めてみました。
メンテナンススタンドの種類 その1 <フロント用とリア用>
まず、バイク用のメンテナンススタンドには「フロント用」と「リア用」があります。
「フロント用」はその名のとおり、フロントタイヤをアップするためのスタンド。「リア用」とリアタイヤを持ち上げるためのスタンドです。もちろんそれぞれ形状が異なります。
フロント用もいくつか種類がありますが、主なものはステム下端の穴にアタッチメントを刺し込んで持ち上げるタイプのものです。
今回はチェーンメンテが目的なので、もちろんリア用を選ぶことになります。
メンテナンススタンドの種類 その2 <受け金具の種類>
リア用メンテナンススタンドは「受け金具」と呼ばれる車体を支える部分の形状の違いで主に3種類あります。
① L字受け
これは最も一般的というか、汎用性が高い受け金具になります。
スイングアームの下面を、このすべり止めゴムを貼ったL字の金具で支えて持ち上げる方法です。
汎用性が高く、この後出てくる「V字受け」や「貫通棒」を使用できないバイクでもリアを持ち上げることが出来ます。
ただし、最近のバイクに多い湾曲したスイングアームの場合は持ち上げるのが難しいようです。
②V字受け(U字受け)
スイングアームに専用のスタンドフック(「フックボルト」とか「スイングアームスプール」とか「ボビン」と言ったりもします。)を取り付け、それをV字形状の受けで引っ掛けて持ち上げるタイプです。
フックボルトが付いているバイクって、なんかレーシーでカッコイイですよね。
ただ乗せているだけのL字と違い、フックに引っ掻けるために外れにくく、スイングアームが真っすぐじゃないバイクでも安定して持ち上げることが出来ます。
ただし、このスタンドフックを使うためには、あらかじめバイクのスイングアーム側にフック取り付け用のボルト穴が開いているバイクでしか使えません。
センタースタンドが付いていないようなスポーツバイクにはあらかじめ用意されていることが多いですけどね。
③貫通式のロッド受け
これは、リアのアクスルシャフトが筒状で穴の開いているタイプ(貫通式)の場合にのみ使えるタイプで、アクスルシャフトに鉄の棒を通して車体を支えるようになっています。
比較的安全性が高い(失敗しづらい)ので初心者向け、ということで、J-TRIPさんでは「ハジメテスタンド(初めてスタンド)」という名前で販売されています。
***
なお、この①②③の「受け金具」はスタンドによっては複数付属していたり、別売りで交換出来たりするようになっています。(③はJ-TRIPさん以外には見かけませんが。)
なので、やっぱりこっちがよかった、という場合は、金具だけ買い替え出来るものが多いです。(そのへんは有名メーカー製のほうが安心ですよね。)
どの受け金具を選ぶか
この「受け金具」ですが、それぞれメリットデメリットがあり、また、金具の種類によって出来ること出来ないことが違います。
表1.受け金具の種類と出来ること、出来ないこと
まず、「L字受け」と「V字受け」はメンテナンススタンドで出来ることはほぼ全て出来ます。
ホイールの清掃やチェーンの注油はもちろん、チェーンの遊び調整やリアホイールの脱着まで可能。タイヤ交換やチェーン交換、スプロケットの交換なんかもできますね。(僕は出来ませんけど。w)
リアサスを外すことは出来ませんが、リア周りのほとんどの整備が可能になります。
一方、貫通式ロッドの受けはホイール清掃やチェーンの清掃・注油は出来ますが、アスクルシャフトを固定するのでチェーンの遊び調整やホイールの脱着は出来ません。
従って、リアホイールの脱着まで行いたい場合は、V字、またはL字受けを選ぶ必要があります。
表2.受け金具の種類とスタンド掛けのやりやすさ
ではL字受けとV字受けではどちらを選ぶのが良いのか。これは使える車種ならV字受けを選びたいところです。V字受けのほうが安定していて、スタンドを掛ける際も外れにくいからです。
L字受けが単にスイングアームを下から支えているだけなのに対し、V字受けはスタンドフックに引っ掻ける形で支えています。
L字受けは何かの拍子に受けと受けの間が広がってしまうと(あるいは車体が横に動くと)、スイングアームから外れてしまう可能性がありますが、V字受けはスタンドフックがスイングアームに固定されているので、横に動いたり、スタンドの幅が広がってしまう心配がありません。
ただし、V字受けはスイングアームにスタンドフックを取り付けるネジ穴があるバイクにしか使えません。従って、スタンドフックが使えるバイクはV字を、使えないバイクはL字を選ぶ、ということになります。
一方、貫通式ロッド受けはスタンドが外れてしまう心配がほぼありません。従ってスタンド掛けはもっとも簡単で、かつ安定しています。
出来ることはほかの方式より少ないけど、初心者でも簡単にスタンド掛けが出来る。これがJ-TRIPさんが「ハジメテスタンド」と命名している理由なんですね。
ただし、これはリアのアクスルシャフトが貫通しているタイプでないと使用できません。
で、お前はどれを選ぶの? という話なのですが、
実際問題としてタイヤを外すメンテナンスをやるとは思えません(スキルもないですが、マンションの駐輪場でタイヤを外して置くのは怖いので)が、チェーン調整ぐらいはやるかもしれません。(これはやったこともあります。)
じゃあ、せっかくフックボルトの取付穴もあるのでV字受けかなあ、と思っていました。
どのメーカーのメンテナンススタンドを選ぶのか。
もうひとつ。どこのメーカーのメンテナンススタンドを選ぶのか、という問題があります。
これは「いくらぐらいのメンテナンススタンドを買うのか」と言い換えてもいいと思います。
僕なりの候補としては3つ。
1.J-TRIP
実績や評判など、とにかくメンテナンススタンドといえばだれもが認めるのがこの「J-TRIP」です。安心の日本製。安心の専門メーカー。レースチームやバイク屋さんなど、ほぼこれ一択なんじゃないか、と思うぐらい皆さん口をそろえて「J-TRIP」と言われます。
使い勝手も耐久性も最高! なんでしょうね。
ただし、お値段も最高!です。まあべらぼうに高いというわけではなく、耐久性なんかを考えたら毎日使うバイク屋さんなんかはコスパもいいんでしょうけれど、サンデーメカニックの僕ら(いや、マンスリーメカニックかな。)にしてみれば、オーバークオリティーの可能性もあります。
2.デイトナ
次の候補は毎度おなじみの「デイトナ」さんです。こちらもレビューなどを見ると評判は高いようです。生産はおそらく中国製だったりするんでしょうけれど、生産管理・販売が日本のメーカーだとやはり安心感があります。
お値段も安くはありませんが、J-TRIPさんよりは手ごろです。
色がオレンジ、というのもKTMユーザーとしては惹かれます。(笑)
3.ネット通販モデル
最後にamazonなどで販売されている廉価モデルです。メーカー名はいろいろですが、このツールアイランド製はよく見かけます。僕が以前ハーレーのメンテナンス用に購入したジャッキもツールアイランド製でした。
とにかく安いのが魅力。J-TRIPさんの1/3以下でしょう。
モノによって当たり外れはあると思いますが、Amazonのレビューを見る限り案外評価は悪くないようで「意外と問題なく使える」という声が多いようです。
結局僕が選んだのは・・・
で、結局はどれにするのか。
そりゃー、J-TRIPを選んでおけば間違いのないところなんでしょう。けどなあ、なんとなく面白くないよなあ。
バイク屋さんみたいに酷使するわけじゃないし、使うのはせいぜい月に1,2回でしょう。僕のDUKEは超軽量級ですし、耐久性に大きな差が出るとは思えません。
それになによりもったいない。(お金が。w)
ここはひとつ、人柱になるぐらいのつもりで5000円位のヤツを買って「安いのでも案外十分使えました!」ってレポートする方が、読んでくれる人も面白いよなぁ。(いちばん高いの買って「大丈夫です!」って言っても「そりゃそうだろう。」ってなるし。)
なので、5000円位のやつを選んでネットで買おう、そう思っていました。この時は。
でもそうすんなりいかないんだよなあ。(笑)
というわけで、この話続きます。
コメント
同じToolsislandブランドの一体型メンテスタンドを使っています。890DUKE Rにちょうどよいサイズ感・剛性感だと思っております。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B08LVNQMXX/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o07_s00?ie=UTF8&psc=1
かつて分割型を使っておりましたが、接続部分に歪みが出て左右均等に上がらなくなり、危険を感じたため入れ替えました。授業料としてはちょっと高かったです…
愛知屋米店さん。
いや、僕は結局Toolsisland製は買ってないんです。でも良さそうですよね。890Dukeは軽量級だから、これでも十分な剛性はあるんだろうな。それでもやっぱり分割型は厳しいんですね。ありがとうございます。いい情報を頂きました。