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ハーレー スポーツスターのブレーキパッド交換(その1)

今回の内容は、ブレーキの整備について書いていますが、言うまでもなくブレーキは最重要保安部品であり、誤った整備を行うと重大な事故につながる恐れがあります。今回の記事の内容を参考に作業された結果について、当方は一切責任を負えません。少しでも不安があれば、バイクの整備は信頼できるバイク屋さんに依頼する事をお勧めします。

ずっと先送りしてきたブレーキパッドの交換をすることに

今週は一週間の夏休みです。いつもなら田舎に帰省するのですが、今年はコロナ禍で見送り。実家を出てから数十年。帰省しない夏休みは初めてかもしれません。

時間もあることだし、ずっと先送りにしてきたスポーツスター(XL1200CX ロードスター)のブレーキパッド交換をすることにしました。

実は過去何度もブレーキパッドを交換しようと思ってパッドを外しているのですが、そのたび、全然減っていないブレーキパッドを見て ” まだもったいないかなあ~” と思い直し、清掃だけして元に戻す、を繰り返してきました。

ハーレーの純正ブレーキパッドはとても厚みがあり、あれだけ重い車体を止めているにも係わらず、とっても長寿命です。

以前、ディーラーで1年点検を受けた際、教えてもらったブレーキパッドの厚みは、、、

  • 新品のブレーキパッド 6.5mm(フロント)7.0mm(リア)

でした。

後日、実際に自分でパッドを外してみたとき(走行距離15,193km時点)は、まだ4.0mmもパッドの厚みがありました。

この結果から、単純計算でパッドの寿命を推測してみると・・・

15,193km÷(6.5mm-4.0mm)×6.5mm=39,501.8km

(※リアは見ていません。)

となります。なんと約4万Kmです。(あくまで計算上ですが。)

まあ実際はライニングの厚みがゼロになるまでは使えませんが、かなりのロングライフなのは間違いありません。

実際に外したパッドを見てみても、

”こりゃあ、ホントに4万kmぐらいもちそうだなあ~ ”

という感じがしました。

この計算は僕のノギスによるいい加減な測定によるものです。そもそも、この計算通りに距離と比例してパッドが減っていくとは限りませんし、乗り方や走る場所などによってもパッドの寿命は大きく変わってきます。したがって、この計算はあくまで「ご参考」です。ブレーキは定期的にきちんと消耗度合いをチェックするか、信頼できるバイク屋さんにて点検をお願いしてください。

純正パッド(15,193km走行時)です。

摩材(ライニング)に刻まれた溝は使用限界の目安ですが、まだ十分に厚みがあります。

一方、リアブレーキの方はチェックできていません。
サスペンションが邪魔になってキャリパーを外すのが大変そうなので、手を付けられていないからです。
(ディーラーのメカニック氏に聞いたところによると、リアのパッドはキャリパーを外さなくても取り外せるらしいのですが・・・)
外から目視する限り、まだパッドは残っていそうなのですが、フロントと違って位置的に見えずらいので、ちょっと不安が残ります。こちらは近いうちにディーラーへ点検してもらいに行くつもりです。

リアのブレーキパッドは後ろから覗けば目視可能です。ただし奥まっているので目の悪い僕にはちょっと見えずらい ・・・

スマホを突っ込んでカメラで撮影。こうしてみるとまだ大丈夫そうですけどね。

我が愛車の現在の走行距離は約23,300km。フロントのブレーキパッドはまだまだ保つように思えます。
ただ、せっかく買った新しいパッドをいつまでも試さないのも、それはそれでもったい気もします。
作業するなら今だよなあ。これだけまとまった休みはそうないし・・・というわけで、重い腰を持ち上げることにしました。

真夏の作業は「熱中症」&「蚊」との闘い

ということで早速作業を開始したのですが、この季節の作業は猛暑との闘いです。

熱中症を予防するため、真昼を避け、少し日が陰ってから作業を開始したのですが、この日の気温はほぼ体温。まあ暑いのなんの。

帽子をかぶり、キンキンに冷えた麦茶をサーモスに入れ、首には保冷剤を包んだタオルを巻いて作業に臨みます。

まあ暑いぶん、水を使った作業は冷たくて楽しいですが。

もう一つ、作業の敵は”蚊”。

ちゃんと虫よけスプレーを塗って作業しているのですが、あまりの暑さに汗がしたたり落ちるので、1時間も作業をすれば虫よけ効果はすっかりなくなってしまい、そこから先は刺され放題。

屋外メンテの辛いところです。

こういうのを買えば効果あるのかなあ~↓↓↓

キャリパーを洗い、ブレーキパッドを交換する

というわけで、汗だく、手は油まみれ、蚊に刺されても掻くことさえままならず、作業はとても過酷です。しかも日没までには作業を終えなければなりません。

とてもじゃないけど写真を撮っている余裕はありませんでした。今回の作業内容については以前の記事をご参照ください。(スイマセン手抜きで。)

↓↓↓

ただし今回はブレーキクリーナーではなく、水と中性洗剤でキャリパーを洗いました。

この方がキャリパーを丸ごときれいに洗え、シール類への影響の心配もなく、なによりお金がかかりません。

バケツに中性洗剤(食器洗いのヤツね)を水で薄めて泡立て、キャリパーをどぶ漬けし、ブラシでゴシゴシ洗います。

重要部分のボルトは外す前にペイントマーカーで印をつけておきます。

僕はキャリパーの取り付けボルトなど、重要なボルトは外す前にマーカーで印をつけておき、締め付ける時はこれを目安にボルトを締めます。

この方法は「回転角法」といいます。スパークプラグの取り付けなどでは一般的な方法ですが、トルクレンチなどで管理する方法(「トルク法」といいます)に比べるとボルトにかかる軸力のばらつきが大きい(ボルトの弾性域で使用する場合)ので、あまり厳密なボルト管理の方法ではないらしいです。

(詳しく知りたい方は、下記HPを参照されるか、「トルク管理」とか「回転角法」とかでググってみてください。)

※参考:TONE株式会社ホームページ「ねじの締付け 管理方法について

けれど、素人が適当に「勘」で締め付けるよりはずっとマシだろうと思います。

ボルトやナットがちゃんときれいに掃除されていることと、そもそもの締め付け状態が真っ当であることが条件ではありますが。

それに、毎回、マーカーで印をつけたところを目安に締め付けていると、

「ああ、このくらいの感触がちょうどいいボルトの締め具合なんだな~」

という感触があります。これを積み重ねていけば、ある程度は正確なボルト締めが出来るようになる・・・気がします。(笑)

(あくまで素人考えです。真似されても責任は負えませんのでご了承願います。)

左側のキャリパーボルトには「ABS」と書かれた樹脂プレートが共締めされています。ABSのセンサーコードのステーになっているようですが、こんな大事なボルトに樹脂プレートなんか共締めしてしまって、果たしていいものなのでしょうか?

パッドを外してピストンやパッド押さえもきれいに掃除します。ピストンの側壁やパッド押さえ、パッドピンにはシリコングリスやを塗布しました。

新しく入れるパッドは、ネオファクトリー製のGTSです。

G.T.S (ネオファクトリー)

パッド選びについてはコチラの記事をご参照ください↓↓↓

パッド交換にあると便利なツール

新しいパッドを収めるため、せり出してきているピストンを押し込むのですが、指で押しても固くてなかなか入っていかない場合があります。

そんな時は古いパッドを一度装着し、その間にドライバーなどを突っ込んで少しずつこじっていくと、テコの原理でパッドが押され、無事ピストンが収まって・・・というのはNGです。

ピストンに斜めに力が加わると、ピストンがシリンダー壁にかじって、余計に入らなくなることがあるからです。ピストンは真っすぐに押し込む必要があります。

そんな時に活躍する道具が、「ブレーキピストンツール」とか「ブレーキピストン押し込み器」と呼ばれる道具です。

2枚のプレート状の部分をブレーキピストンの間に差し込み、反対側のレバーを回すと徐々にプレートの間隔が広がっていき、ピストンが押し込まれる、というもの。

ブレーキピストンツール

これはハスコー製でもう20年ぐらい前に購入したんですが、確か2万円近くしたと思います。

価格:20,000円
(2020/8/10 17:19時点)
感想(0件)

そのころはプロ向けの高額なツールしかなかった(・・・多分)のですが、 今は安価な製品が沢山出ているので、一つ持っておくのもいいかもしれません。

ただし、構造的にかなり力が掛かる作りなのと、きちっと並行に動かないと意味がないものなので、あまり安価な製品は避けた方がいいと思います。

あと、挟み込むプレート(爪)の部分が大きすぎたり厚すぎたりするとバイクには使えないので注意が必要です。

あと、ピストンの側面をキレイに磨く際、手が届かない部分を磨くため、ピストンを回してやるツールがあります。

これは安いものでもいいような気がしますが、ピストン内壁にキズが付きやすいので、ウエスなどを挟んで回す必要があります。

ピストンを戻す際はブレーキフルードに注意

人力にせよ、ツールを使うにせよ、ピストンを押し戻すとその分、ブレーキフルードが逆流してマスターシリンダーのフルードカップに戻ります。

この時、フルードカップの蓋が閉まったままだと、圧力がかかってピストンを押し戻しにくくなるので、あらかじめフルードカップのキャップを開けておきます。

その際注意しないといけないのは、ブレーキパッドが減った状態でフルードを補充していたりすると、キャリパー側からフルードが押し戻せれてくる分、フルード液がカップからあふれ出てしまう可能性があります。

そのため、フルードがあふれ出ないよう、あらかじめフルードを少し抜いておいたり、あふれ出た場合を考えて、フルードカップの周りに濡れたウエスを巻いておいたりします。

フルードを抜くときはペーパーなどで吸わしたりせず(紙粉や繊維が入るのはNG)、スポイトや注射器を使って抜きましょう。

ピストンを押し戻すときは、あらかじめフルードカップの蓋を開けておく(隙間が空けばOK)のですが、その際、ブレーキフルードが漏れ出て車体にかかると塗装を侵すため、あらかじめフルードカップの周りに濡れタオルを巻いておきます。ブレーキフルードは水溶性で、濡れたタオルだと漏れたフルードを吸い取って(溶かし込んで)くれるからです。

新しいパッドを装着して完成・・・じゃなくて、必ずチェックを!

ブレーキピストンを押し込んだら、新しいブレーキパッドを組み込みます。

パッドを組み込む際は

  1. やすりを使ってパッドの角を斜めに削り落とす。(面取り。ブレーキの鳴き防止)
  2. パッドの裏面(プレート側)に専用グリスやシリコングリスを塗る。(ピストンの当たる部分にごく薄く。)
  3. パッドピンの通る穴やキャリパーに当たる部分にも薄くシリコングリスを塗っておく。
  4. パッドピンやパッド押さえプレートにも薄くシリコングリスを塗っておく。
  5. パッド面には絶対グリスが着かないよう注意する。ついてしまったらブレーキクリーナーで清掃。

などの作業が必要・・・なのですが、今回は1.の面取り作業は省略しました。

ブレーキパッドの面取り

ノーマルブレーキパッド。赤い線で示した部分が面取りされているのがわかるでしょうか?納車、あるいは定期点検の際にディーラーが行ってくれた作業だと思います。

ブレーキパッドの摩材の部分の角を面取りするのは、ブレーキがキーキー鳴ることの防止のためですが、一方で面取りをすることにより、ブレーキディスクに付いたゴミを巻き込みやすくなるので、結果ブレーキディスクに円盤状の傷が残る原因にもなっています。

バイク屋さんなどで作業してもらうと、必ずと言っていいほどパッドの面取りは行われます。これはおそらく、ブレーキが鳴くとユーザーからクレームになるからじゃないでしょうか。

面取りをしなかったら必ずキーキー鳴るというものではありませんし、面取りしても鳴るときは鳴ります。

なので今回はとりあえず面取りしないで試してみます。

全てを元通り組んだら、ブレーキレバーをニギニギして、ピストンを押し出します。これをしないで忘れると、一発目のブレーキが全く効きません。必ずやりましょう。

ブレーキが利くようになったら、あらためてブレーキフルードの量を確認します。ピストンを押し出した分、フルードの液面は下がっているはずです。

パッドが新品なら、ブレーキフルードは上限いっぱいの状態(FとEがあればFの状態)になるように量を調整します。パッドが減っていくにしたがって、ブレーキフルードの液面は下がっていくからです。逆にパッドが減った状態でフルードをいっぱいに継ぎ足していると、パッドを新品に交換したときに溢れます。

ここまで来たらようやく完成!ですが、

  1. 必ずボルトがちゃんとしまっているかを確認し、バイクを押してブレーキが利くかどうかを確認します。
  2. 何度かブレーキを掛けたら、キャリパーなどからフルードが漏れていないかも要チェックです。
  3. タイラップなどでブレーキレバーを固定し、一晩ブレーキが利いた状態で放置。翌日フルードが漏れていないかを確認します。(・・・このぐらいの慎重さがないと失敗します。私のように。涙)

***

ようやく作業が完成したら既に日没でした。なので試乗は翌日以降となりました。

という事で、この項、次回へつづきます。

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