約7年ぶりにチェーンメンテナンスします
ハーレーからKTMに乗り換えて、再び必要になったのがチェーンのメンテナンスです。ハーレーは基本ベルトドライブなので、チェーンメンテナンスは不要。これ、本当に楽ちんでした。
しかし新しい相棒、KTM 890 DUKEはチェーンドライブ。(まあほとんどのバイクはチェーンドライブなんですが。)しかもメインスタンドが無いので、先ずはメンテナンススタンドを購入するところから始めなければいけませんでした。(無いとメンテが大変!)
ヒントその111. はじめてのメンテナンススタンド選び(その1)
メンテナンススタンドを購入し、これでようやくチェーンメンテナンスの環境が整いました。
J-TRIP「はじめてスタンド」を使ってみたら、あら大変!!
というわけで約7年ぶりにチェーンメンテナンスしたいと思います。
(最近は ”チェンしこ” とか言うらしいですが。なんだかなあー。)
チェーンメンテナンスの不思議
それにしても、チェーンメンテナンスって不思議です。
バイクメーカーやチェーンメーカーが「こうやってください」と推奨するメンテナンス方法があるにもかかわらず、そのほかの幾多の方法論があり、多々こだわりの流儀があります。
そのあたりのことを書いたのがこちらです。↓↓↓
僕自身は「まあサビなきゃなんでもいいんでしょ」ぐらいに考えていましたが、何でもいいとは言いつつ、チェーンオイル選びには結構悩んできました。
出来れば簡単に塗れて、簡単に拭き取れて、簡単には飛んでしまわないヤツがいいんですが、なかなかそういうチェーンオイルってないんですよね。
チェーンオイルの種類
チェーンオイルには大きく分けると2種類あります。
「白くて固い(粘り強い)チェーンオイル」と
「透明でさらさらとしたチェーンオイル」です。
(その中間的なものもあります。)
前者を「ドライタイプ」、後者を「ウエットタイプ」と呼んだりもします。
ドライタイプは
・塗ると白くなる(古いチェーンもキレイに見えるが、メッキチェーンやカラーチェーンも白くなってしまう。)
〇飛散しにくい。
〇比較的長持ちする。
×塗りすぎると拭き取りが大変。
×ほこりや汚れを拾って黒くなってしまう。
ウエットタイプは
〇無色透明で、きれいなチェーンはよりキレイに見える。
〇塗りやすく浸透しやすい。(粘度にもよりますが。)
〇拭き取りも簡単。
×あまり長持ちしない。雨に弱い。
×すぐ飛び散る。
といった感じです。
ドライとウエット。どっちを使う?
これまで、僕はドライタイプを使う事が多かったですが・・・
①ドライタイプのチェーンオイルを使う。
②「あー、もう、拭き取るのメンドクサイ!すぐ真っ黒になるし!」とイヤになる。
③塗りやすく拭き取りやすいウエットタイプの方がいいんじゃないか?と思い始める。
④で、ウエットタイプに鞍替えする。
でもまたしばらくすると
⑤「あー!、またオイルがホイールに飛び散ってるよぉ・・・」
となって、また
①ドライタイプのチェーンオイルを使う。
(以下同文)
これを繰り返しています。(学習しない、ともいいます。w)
この「負のスパイラル」を断ち切ってくれたのがハーレーのベルトドライブなのでした。
でもそんな ” 甘いハーレーライフ ”(?) は終わりを告げました。
また「ドライ」or「ウエット」の負のスパイラルがはじまるのでしょうか。
チェーンオイル不要論を検証する
ところで、最近巷で「チェーンオイル不要論」というのがあるらしく、あちこちで論争が巻き起こっています。
僕の知る限り、この「チェーンオイル不要論」を唱えだしたのは、バイク系ユーチューバーのアンディさんだと思います。
なぜチェーンメンテ(チェーンオイル)が不要なのか。
要約するとこんな感じです。
①チェーンで潤滑が必要な部分(ピンとブッシュの間)にはグリスがあり、シールで封止されているので、加えての注油は不要。注油してもシールで封止されているので入っていかない。
②防錆のための油は必要。でもチェーン各社の最上位モデルは二重メッキだったり、ピンにもメッキがかかっていたりして錆びないので、注油の必要はない。
③注油するとフリクションが減るが、高速回転するチェーンに塗られたオイルは遠心力などで数十キロで飛んでしまうのでほとんど意味がない。
④グリスを封止しているOリングは注油による保護が必要と言われるが、外から給油しなくても中にグリスが封入されているから問題ない。それに一番Oリングを劣化させるのは紫外線だから、グリスを塗ってもあまり意味はない。
⑤「ピンはグリスで潤滑されていても、ブッシュとローラーとの間は何もないから潤滑が必要」というが、ローラーが回転する角度はごくわずかなので潤滑は不要。その前提で設計されている。
これに対する反論の声も当然あります。曰く・・・
・「チェーンが錆びるとOリングが切れるから防錆の為に油分は必要だ」
・「Oリング保護の為にも油分が必要だ」
・「ローラーとブッシュ間、ローラーとプレート間、ローラーとスプロケット間のフリクション低減と保護のために油分が必要だ」
などなど。
いずれもごもっともですが、不要論の理論に対し、これらの「反論」はどうも的を得ていない気がします。(正しい、正しくないは別として。)
チェーンオイルは何のために塗るのか
僕は「チェーンオイル不要論」が正しいかどうかを論じるつもりはありません。(僕にそんな知識はありませんので。w)
ただ、自分なりにチェーンメンテを考える上で「チェーンオイル不要論」は非常に参考になりました。「なぜチェーンオイルを塗る必要があるのか?」ということが、逆説的に明確になるからです。
で、結局おまえはチェーンオイルを塗るの? 塗らないの?
結論。僕はチェーンオイルを塗ります。なぜか。
簡単です。僕のバイクのチェーンはそんな「高級なメッキチェーン」ではないからです。(笑)
普通のチェーンは、たとえメッキチェーンであってもほっておけば錆びます。一口に「メッキチェーン」といってもいろいろランクがあるのです。
したがって、僕は防錆のために(&Oリングの保護にちょっと期待して)チェーンオイルを塗る、ということです。
チェーンオイルを選ぶ
ではチェーンオイルを買いに行きます。(7年前のチェーンオイルを使う気にはなれず。)
まずは「ドライタイプ」にするのか、「ウエットタイプ」にするか。
防錆をメインに考えるなら、油分はうっすら乗っているだけでも十分。むしろ余計なゴミを呼ばないように、できるだけ薄く塗りたい。となれば、拭き取りの楽なウエットタイプがいいと考えました。
(まあ、家に残っていた古いチェーンルブがドライだったので、今度はウエットの順番というのもあるのですが。笑)
ウエットタイプといっても沢山あります。いくつか候補を上げてみました。
ヤマハ製のチェーンルブ。透明なオイルながらフッ素入り。ウエットムースタイプ。ムースなので塗り広げやすいのかもしれません。
CRC-556でおなじみ、呉工業のスーパーチェーンルブ。有機モリブデン入り。ホームセンターなどでも見かけるので入手しやすく、価格も手ごろでコスパ抜群です。
一部に熱狂的なファンが多い(?)AZ(エーゼット)のチェーンオイル。ボトルタイプなので、少しづつ注す塗り方には使いやすそうな感じ。これもコスパ抜群です。
おなじみオイルメーカー モチュールのチェーンルブ。書き込みを見ると最初はさらさらで、しばらくすると粘度が出るタイプらしい。これは150mlのコンパクトタイプですが、近所のバイク用品店には400mlのタイプしか置いてなく、ちょっとお試しに買うには手が出にくい価格でした。
Vipros(ヴィプロス)社製のチェーンオイル。海外メーカーかと思っていたら日本の会社らしい。同じレイキッシュの「グレサージュ」よりも、より防汚性(オイルの飛散や汚れの付着)にを求めたのが「レイキッシュ」なんだそうです。
これも一部に熱心なファンを持つ逸品。円陣屋至高のチェーンオイル C.P.O.R。チェーンに一コマずつ、一滴ずつ垂らすスタイルはこの商品から始まった気がします。ただちょっとお高いです。
ご存じワコーズのチェーンルブ。フッ素入り。「ハーフウエットタイプ」とかいてありますが、高粘着性ポリマー配合で薄い皮膜でも強力密着とあります。また「水置換性」があり、水分の下に潜り込んで油膜をつくるそうで、錆防止効果が高そうです。ただ容量が少ない(180ml)わりに値段はそこそこします。
他にもいろいろありますが、ウエットタイプで比較的入手しやすい(まあネットなら何でも手に入りますが)ものというとこんな感じでしょうか。
ではどれを選ぶか。
今回はワコーズのチェーンルブを選んでみることにしました。
選んだ理由は
① 塗布、拭き取りが楽なウエットタイプ(ハーフウエットらしいですが)。
②「防錆性が高い」とのレヴューが多い。(水置換性のおかげ?)
③ ノズル一体式のスプレー缶。さかさまでも噴射可能。コンパクトで使い勝手もよさそう。
といったところ。
防錆を目的にチェーンオイルを塗るので、出来るだけ防錆性が高いものが良いです。
また、防錆を考えればあまり頻繁にチェーンクリーナーは使いたくないので、汚れが付着しづらく、拭き取りやすいものがよいと思います。
さらにこのコンパクトさも利点です。以前はジャンボ缶のチェーンルブを使っていましたが、少しずつ注そうと思うと、重くて腕が疲れてくるんですよね。
あと、一体型のしっかりとしたスプレーノズルもいいと思います。安物のスプレー缶はヘッドが壊れたりして、最後まで使えないことがあるので。
ちょっと高いのが玉にキズですけどね。
チェーンクリーナーより拭き掃除。
さて、いよいよチェーンオイルを塗るわけですが、メンテナンスの方法も僕なりに考えてみます。
目的は「防錆」(+Oリング保護)です。
「防錆」の為にチェーンオイルを注すのですから、チェーンクリーナーはなるべく使いたくありません。油分をわざわざ落としたくないからです。
ではどうするか。
一番大事なのは「走行後にはチェーンを拭く」ことである!
よく ”まずは チェーンクリーナーをたっぷりかけて汚れを落とす ”と書いてあります。
もちろん汚れがひどい時はチェーンクリーナーを使いますが、それよりも、なるべく汚れがひどくならないように、走行後はマメに拭き掃除をすることが大事です。
乾いた布で拭く。あるいはチェーンオイル(クリーナーじゃなく)を塗布した布で拭く。汚れがひどくなる前なら、これで十分キレイになるハズです。
それでもだめなら「チェーンクリーナーを塗布した布」で拭きます。
そして、オイルはなるべくゴミを拾わないように必要最小限とし、余計なオイルはできるだけ拭き取る。防錆で考えればオイルは薄く金属を覆っていればいいはずです。
実際にオイルを塗ります
では実際にオイルを挿していきます。
チェーンオイルを吹くときは、どこまで吹いたか分からなくなるので、チェーンのカシメの部分から吹き付けるといいです。(ドライタイプなら白くなるのでわかりやすいですが。)
ところがが塗れども塗れども終わらない。カシメ部分が来ない・・・!? ん?なんで??
そう、新車のチェーンはカシメていないので、いつまでたってもカシメ部分が回ってこないのでした。(笑)
マメに拭いていれば、チェーンオイルを注して磨き上げるだけでもチェーンはピカピカになります。
手でタイヤを回してみると、心なしか注油前より軽く回る気がします。気持ちいいですね。
でも、実はこのタイヤを手で回してみる時の軽さ。実際にエンジンを掛けて走行するときのチェーンのフリクションの大小とは全く関係ないらしいんですけどね。