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ヒントその66.プラリペアでバイク修理

プラスチックパーツを強固に接着するだけでなく、使い方によっては造形も出来るプラリペア。今回バイク修理に使ってみて、苦労もしましたが、いろいろ使ってみて自分なりに使い方もわかってきたので、ここでまとめておきたいと思います。(転んでもタダでは起きない、というか。(笑))

プラリペアとは?

プラリペアは粉末(合成樹脂。アクリル樹脂の粉末)と溶剤(メチルメタクリレート)のセットからなる商品。両者を混ぜる事で粉末が溶け、溶剤が揮発すると強固な樹脂になる、というものです。プラスチック同士を接着したり、それ自身が材料となる造形材としても使えます。

プラリペアと補強用のガラスクロス

主な用途はプラスチックとプラスチックをくっつける「接着剤」なのですが、単に接着するのではなく、プラリペアそれ自体がプラスチックとなり、かつ、接着するプラスチックを溶解して、一体化することで非常に強固にくっつける事が出来ます。

接着というよりは「溶接」に近い感じです。

プラリペアの基本的な使い方

プラリペアの基本的な使い方は・・・

  1. プラリペアの粉末に溶剤を滴下し、出来た小さな塊を針で刺してすくい、これをパーツ同士の隙間を埋めるように乗せていく。
  2. その上からさらに溶剤を滴下し、粉末の塊を溶かして隙間を埋めていく。
  3. 溶剤が揮発すると溶けた粉末がプラスチック状に固まり、パーツ同士を結合する。

というもの。溶かした粉末の塊を針先ですくって使うことから、プラリペアのHPでは「ニードル法」と紹介されています。

一般的な接着剤は、くっつける物と物の間ができるだけ隙間なく密着するように、面を出して貼りつける方が強固にくっつくのですが、プラリペアはたっぷり充填した方が強固になるので、接着面をわざとV字に削ってその溝に埋めるように使う、というのがコツになります。

接合部分にV字の溝を作るため、あらかじめ断面をヤスリで斜めに削ります。

接合するパーツを瞬間接着材や粘着テープなどで仮固定し、接合部分をプラリペアで埋めます。

プラリペアのキット。ビンに入っている溶剤を付属のスポイトで右端の容器に移し、その先に針(ニードル)をセットします。

溶剤は容器に満タンに入れます。少ないと中の空気が熱で膨張し、押し出す量の調整が難しくなるからです。

容器の先にニードルをつけ、粉末の上に溶剤を垂らします。細かい溝を埋める時は、できるだけ小さな滴を垂らす必要があります。

滴を落とすと粉末が吸って団子状になるので、それをニードルの先でつついてすくい取ります。

このニードル(針)ですが、普通の注射器と違って先端には穴が開いておらず、針の真ん中くらいに横向きに穴が開いています。これは先端で「団子」を着いても、穴がつまらないようにするためだそうです。ちなみにこのニードルの構造は特許との事。

また、この穴がつまってしまったら、ライターなどで軽くあぶると解消できます。

パーツ同士の接合部分にプラリペアの「団子」を並べて乗せていきます。並んだら上から溶剤を垂らし、「団子」を溶かして隙間を埋めていきます。

プラリペア ”団子” の上から「溶剤」を垂らすと、団子が溶けて平らになります。

プラリペアの粉末に溶液を垂らし、針の先で平らにならすのですが、針先で均すというのは案外難しいものです。プラリペアはわずか5分で硬化するので(気温25℃の場合)、素早く均さないとすぐ固まってしまいます。

僕はやりませんでしたが、針の代わりに面相筆を使って溶剤を垂らし、平らに均すと割合うまく出来るらしいです。

でもこのプラリペアは紙やすりなどで簡単に削れるので、厚めに持っておいて乾燥後に削る方が簡単だと思います。

更に強度が必要なときは「ガラスクロス」で補強

プラリペアが完全硬化すると、プラスチック並みの強度になり、パーツ同士はかなり強固に固定されます。ただ、それでも更に強度が必要な箇所には、ガラスクロスで補強する方法があります。

接合部分に直接ガラスクロスを乗せ、その上からプラリペアの粉末をまんべんなくふりかけ、その上から溶剤を落として溶かします。

あるいは、ポリエチレンの袋(コンビニ袋など)を切ってシート状にし、その上にガラスクロスを乗せ、同じく上からプラリペアの粉と溶剤をおとした後、ポリエチレンを持ってプラリペアを溶かした面を接合部分に乗せ、硬化後にポリエチレンを剥がす(ポリエチレンにはプラリペアはくっつかないので)、という方法もあります。

ガラスクロス+プラリペアを何層にも重ねると、更に強度が増します。

補強に便利な商品「プラリシート」

接合部分の強度を増す方法として「ガラスクロス」を使う方法をご紹介しましたが、より簡単に補強するのに便利なプラリペアの新商品が「プラリシート」です。

MUTOSYOUJI [ 武藤商事 ] プラリペア プラリシート [ 品番 ] PS-K1

これはガラスクロスにあらかじめプラリペアのパウダーをコーティングして板状にしたもので、適当な大きさにハサミで切って接合部分に乗せ、上から溶液を垂らしていけば溶けて固まる、というもの。

先のご紹介した「ガラスクロス」はハサミで簡単にカット出来ますが、端からどんどん繊維がほどけてきてバラバラになりやすい為、特に小さな面積に貼り付けるには結構扱いづらいものです。また、ガラスクロスにプラリペアの粉末をまんべんなく振り掛ける、というのも、面積が広いほど案外大変です。

けれどこの「プラリシート」はあらかじめプラリペアがコーティングされているので、バラバラになり辛いですし、粉がまだらになって表面がデコボコになる心配も少ないと思います。

全てのプラスチックを接着出来るわけではない

僕のロードスター(XL1200CX)をプラリペアで修理した時は、全くプラスチックパーツに食いつかず、ちょっと力が加わっただけで直ぐ剥がれてしまいました。

プラスチックパーツと言えどもいろんなプラスチックがあり、それらをいかに接着できるが、が重要だったりします。

同じプラスチックでも種類によっては全く接着できないものもあり、逆にプラスチック以外でも接続出来るものもあります。

接着できるもの:ABS樹脂(ABS)、AS樹脂(SAN)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリスチレン(PS)、塩化ビニール樹脂(PS)、ポリカーボネート(PC)、ASA樹脂(PC) は接合OK。
種類によってはくっつかないもの:不飽和ポリエステル樹脂(AES)、ポリウレタン(MF)、塩化ビニール樹脂(PS)。
その他接着可能なもの:FRP・バルサ材・アルミ・石・コンクリート など。
接着できないもの:ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)
フッ素樹脂(PTFE)ナイロン(PA)などなど。

プラリペアで接着できるプラスチックか否か、を確かめるには、溶剤を少し対象のプラスチックに垂らしてみて、プラスチックがほんの少しでも溶ければ接合可、となります。要はメチルメタクリレートに溶ける材料なら接着できるという事です。

造形材としてパーツ再生にも使える

プラリペアはパーツとパーツを接合するだけでなく、型に流し込む事でパーツそのものを作る「造形材」としても使えます。

そして、その「型」を簡単に作れるツールが「型取りくん」です。

型取くん

この「型取くん」は熱を加えると軟らかくなり、冷めると固まる(カチカチではなく、弾力のある固まりになります)、という材料(ポリエチレン樹脂)で、かつ、プラリペアにはくっつかない材料なので、型として使用すると綺麗に抜けてくれます。

因みにこの型取りくんの代用品として「おゆまる」という商品が使えるらしいです。ダイソーなどの100均でも扱っているところがあるらしいので、近くの100円ショップを覗いてみるのもいいかもしれません。

  • 熱湯(何度と指定はされていませんが、僕はとりあえずポットのお湯=約90℃を使用しました。)に「型どりくん」を入れ、数分後(2~3分?)に割りばし等で取出します。(お湯につける代わりに、ドライヤーなどで熱しても数分で柔らかくなります。)

    型取くんは3枚入り

    90℃(くらい)のお湯に3分浸けるとふにゃふにゃになります。

  • 熱された「型取りくん」を指でこね、団子状に丸めます。(別に団子状でなくてもよいのですが・・・。)
  • 丸めた「型取りくん」をパーツに押し付け、型を取ります。

    型取くんにパーツを押し付け、待つこと数分

    冷えて固まったら、パーツから外します。(カチカチにはならないので、簡単に剥がれます。)

    キレイに型が取れました

  • 出来た型に「ニードル法」でプラリペアを埋めていきます。細かいところまできれいに型に流れ込むよう、溶剤を多目に垂らすのがコツ。

    プラリペアを方に流し込んでいきます。

    型にプラリペアの塊を入れ、上から溶剤を落として溶かし、流し込んでいきます。

  • プラリペアが固まったら型から抜きます。ドライヤーで温めると早く固まります。ただし、完全に「型どりくん」冷えてからパーツを外す事が重要です。まだ柔らかいうちにパーツを抜き取ると、折角の型が歪む可能性があるからです。特にプラリペアの硬化促進の為にドライヤーを使った場良いなでどは十分な注意が必要です。
  • 型取くんは冷めてもカチカチにはならないので、型からきれいに抜けます。

  • はみ出たバリ等をハサミやカッターでカットしたり、やすりで削ったりして成形します。

    バリはサンドペーパーで落とします。小さな凹凸まで再現されています。

思った以上に細かい凹凸まで再現できるのがすごいところです。

また「型どりくん」はお湯に漬ければ再び柔らかくなるので、何度でも使えます。

写真のような単純なパーツであれば押し付けるだけで型が出来ますが、複雑な形の場合は隅々までプラリペアを充填し、硬化後に型を抜くために、半面ずつ型をとるなど、工夫が必要になります。

プラリペアの選び方

プラリペアにはいろいろな種類の商品があります。

1)量の違い

最少セットの「PL-16」は粉:5gと液:10mg。むかしはもっと量の多いセットしかなかったように思います、これぐらいだと価格的にも手を出しやすいですよね。

HPによると、これで作れる体積は「単三電池1本分」との事ですが、イメージしづらいですよね。試していないので僕もわかりませんが、割れた板状のパーツ同士の接合であれば、おそらく15cm~30cm位の長さの接合面を補修できると思います(板厚によりますが)。

僕のように「試してみたら接着できない種類のプラスチックだった」という事もあります。余らせるよりはまず、この最少セットで試してみる、あるいは練習してみるのが良いと思います。

ただし、最少セットは粉はカップに入っていてますが、量の多いセットはノズル付の容器に入っています。

カップ入りだと、あらかじめ粉を振り掛けておいて溶剤を垂らす方法(ふりかけ法)をやるには少々やり辛いかもしれません。まあ、100均などで適当なノズル付容器を買ってきて、それに詰め替えてやればいいだけの話ですが。

2)粉の色の違い

プラリペアは粉末の色の違いで「白、黒、青、赤、黄、透明」などの種類があります。

基本は完成後目立たないように、パーツと同色、または透明なものを選ぶのが一般的だと思います。ただ、細かいパーツの接合などの場合、同色だと充填したプラリペアが目立たず、ちゃんと埋められているのかどうかが見分けにくかったりします。

今回ぼくは黒のパーツを直すのに白いプラリペアを使いました。補修後は見えなくなる部分だったので、何色のプラリペアでもよかったのですが、作業中は白を選んでおいてよかったと思いました。

3)「型どりくん」付のセット

先述のとおり、プラリペアは「型取りくん」との併用で無限に(?)用途が広がります。よって最初から「型どりくん」付のセットを選んでおくのもいいかもしれません。

プラスチックパーツを上手く使って造形する

補強したり、パーツを型どりして新たに作ったりする場合、すべてをプラリペアで作る以外に、適当な(プラリペアで接着できる)プラスチックの板や部材を使って、手間を省いたり、プラリペアの使用量を抑えたり、強度を増したりする方法があります。

今回の僕の修理例では、おもちゃの部品(LEGOブロック=ABS樹脂製)を補強材として使いました。

真ん中の立方体の部分がLEGOブロックです。上下のプラリペアの間に接着して補強材としています。

たとえば接合面の強度を増やす場合、前述のようにガラスクロスを使って強度を出す方法もありますが、適当なABS樹脂板やアクリル板などを貼り付けて強度を増やす方法もあると思います。

見た目の問題が無いところなら、接合面にABS樹脂板を垂直に接続してリブを作ってやれば、飛躍的に強度を増す事が出来るますね。

プラリペアを使った様々な補修補法

このほか、プラリペアのHPには様々な作業例や補修例のHPへのリンク集が載っています。

正にアイデアの宝庫なので、興味のある方は是非一度覗いてみる事をお勧めします。

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